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6/8

 ④

「嫌だなぁ……。ボクだってちゃんと考えてる時くらいあるよ?」

「……なら、魔王城消すな……」

 めんどくさげに言うバイアズ。

 てか、何言ってんの?

「不可抗力に決まってるじゃん」

「……不可抗力でも、現に消えてんだろ」

 ため息交じりなバイアズ。

 酷いよね。

 それが友達に対する対応の仕方?

「いやだなぁ。巨大な魔王城を、新しくするきっかけを与えただけだよ!」

 そうそう。

 巨大なんだよ?

 中でも、亜空間とか。

 魔窟とか。

 変なとことか、色々あってね。

 最初は迷ったんだけど――。

「これで十七回。魔王城を破壊した奴が言うか……」

 あ。

 この声はバイアズじゃないよ?

 だって、バイアズは呆れた顔で包丁持ってない方の手で頭掻いてるし。

 誰?

 そう思って声のした方を見た。

 そこに居たのは目に痛いピンク色のツンツン頭。

 おかしな髪色だなぁ。

 てか、痛すぎやしないかい?

 お兄ちゃん。

 いい年してそれ(ピンク)はないよ~。

 とっても痛いわぁ!

 ふぷぷぷ!

「サンダニオ。口に出てるぞ……」 

 え?

 あら、これを失礼。

 あと、バイアズ。

 教えてくれるもは良いけど、顔引きつってるゾ!

「俺の顔はどうでも良んだよ」

 どうでもよくないと思いますよ~。

 てか、どの辺から漏れてるの?

「『おかしな髪色だなぁ』のとこから今まで」

「………………と言うことは。聞かれたらやばいとこ全部ですなぁ~」

 あははは!

 通りでピンク頭の兄ちゃんの額に青筋浮かんでるわけだわ!

「……………もっと早く教えてくれてもいいじゃないか。薄情者……」

「はぁ……。お前が馬鹿すぎて、声が出なかったんだ」

 バイアズは空いてる方の手で、めんどくさそうな顔のまま。

 前髪をかき上げた。

 薄情としか言いようがないよ……。 

「ひどい! 友達を見捨てたな!!」

「『友』と『飯』だと、迷いなく『飯』を選ぶ奴が言うな」

「イヤだな! バイアズは見捨てないよ!」

「はいはい。飯のためな」

「あたり前じゃないか!!」

 バイアズが居なくなったらボクのご飯はどうなるのさ!

 まったく。

 ボク、ご飯ないと死んじゃう……。

「……どうでも良いが、話を聞いてくれないか…………?」

 そう言ったのは変なピンク頭のお兄さん。

「え? ヤダ!!」

 もちろん即答さ!

 だってこういう変な人って、絶対めんどくさいことしか言わないんだよ?

 ボクめんどくさいの嫌い!

 遊ぶの大好き!!

 あれ?

 ピンクが居のあたり押さえて背を丸めたぞ?

 なにかあったのかな?

「…………ホグロス……。後は私が」

 そう言ったのは、腰まである長い銀髪を片側に寄せてまとめ。

 目はインディゴで、丸眼鏡をかけた、すらりとした体つきの――。

「マイファス様。あのピンクさん、どうかしたんですか?」

 ボクはそう言ってそそくさと立ち去るピンク頭を指さす。

 そしたらマイファス様の顔色が悪くなった。

 その上顔をひきつらせてる。

 大丈夫? 

「………………(『あなたのせいですよ』とは言えませんね……)」

「どうかした? マイファス様」

 なんか小難しい顔してるけど……。

 そう言えば、あのピンク頭ずいぶん昔にあった気がする。

 何だったけ?

 忘れちゃった。

「あ、あぁ。いえ、何でもありません。ただ、一刻も早く魔王城の再生を行ってくださいね。サンダニオ」

 ニコっと笑うマイファス様。

 ボクはめんどくさいことは嫌いです!

「あ! ボク、今日用事があったんだった!! じゃぁね、マイファス様!」

 だから逃げる。

 転移魔法で速攻逃げるよ!

 あ。

 それともちろん用事なんてないよ。

 だって、逃げる口実だもの!




 ――――――


 ――――


短編ではまだ二話は終わりませんが、長編ではここで二話をかたづけます。

ので、次はタイトル変更です。

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