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5/8

 ③

 生理的な涙で視界が歪んじゃったじゃないか!

「なにするのさ雑魚長のくせに!!」

「あぁ? その雑魚の下についてる馬鹿が何言ってやがる!!」

「ふーんだ! ボクは馬鹿じゃないもん! 力だって誰にも負けないくらい持ってるもーん!!」

 巨大魔法とかバンバン使えるんだからな!

 接近戦も得意なんだぞ!

 でも、おかしいな。

 タコ長はボクの実力。

 誰よりも良く知ってると思うんだけどなぁ……。

「こんのっ馬鹿たれ!! お前のせいでこんなことになってるんだろうが!!!!」

「ボク知らないもん! 起きたらこうなってたんだ!!」 

 だいたい。

 目を開けて空が見えるとか、おかしいでしょ?!

 誰だよ!

 こんなことしてボクに罪着せた奴!!

 見つけたらただじゃおかないんだから!

「お前が寝ぼけたまま巨大魔法ぶっ放すからだろうが!!!!」

「はぁ?! 何言ってんの? 寝言ははねていいなしゃい!」

「訳分からんわ!! 間違えるか噛むかどっちかにしろ!」

 タコ長は細かいな……。

 これぐらい脳内変換してよね!

「わかった。寝言は寝ていえ!!」

「おまえがな!!」


 ――――スカコ――――ン!


「痛! もう、その汚い靴で頭叩かないでよ!」

 まったく。

 また踵で叩かれた……。

 ボクの頭が踵の形に凹んじゃったらどうしてくれるのさ!

 てか、タコ雑魚長。

 いつの間に靴脱いだの?

 あれ?

 なんでタコが疲れた顔してんの?

 タコに表情なんて作れたの?

 あ。

 こいつ今。

 人型の魔族で、髪が赤いだけだったわ~。

 ほかに人間と違う所って言ったら、縦長の瞳孔と、髪と同じ赤い目。

 おまけに、このタコ長の姿は、偽りね!

 本当の姿は赤い大きなタコだから!

 嘘じゃないぞ。

 ホントだよ!

 だって、おいしそうだなって思って見てたら、タコ長ったら、顔引きつらせてその姿をつ・ね・に!

 とるようになったんだよ?

 ……タコって、生で食べてもおいしいよね。

 焼いてもいいよね!

 あ。

 煮ても最高! 

 じゅるり……。

「おい、馬鹿ニオ。俺を見て涎を垂らすな」

「え? あ、これは失礼――。そうだ! 隊長、足一本ちょうだい! 丸かじりするから!」

「ふざけんな! なんでお前に足をやらねぇといけねぇんだよ!!」

「良いじゃん。どうせすぐに再生するんだし!」

 魔族だし、なんせタコだもんね!

 むふふ。

 タコのお刺身、タコのマリネ、タコのカルパッチョ……。

 素揚げ。

 あ。

 軽く炒めて食べるのもいいよね~。

「……もう、俺。こいつの相手無理だ…………。バイアズ。すまんが後、頼む……」

「あ、はい。了解ッス」

 あ!

 ボクの食料がどっか行こうとしてる!

「待って、タコ長! どこか行く前に足一本置いてって!!」

「っ~~! 死ねぇぇぇぇぇえええ!!」


 ――ギュオォン!!


 飛んできたのは、大きな氷の塊。

 それはボクの頭上に――って!

 うわ!

 危なっ!!

 ……なーんちゃって!

 ベットからひょいっと抜け出せば済むもんね。

 ………………あ。

 氷砕いた方がましだったかも……。

「ちょっとタコ長! ボクのベット粉々になっちゃったじゃん、どうしてくれるのさ!!」

 そう。

 今ボクの目の前にあるのは、大きな氷につぶされて、見るも無残な姿になった。

 血まみれの木製ベット。

 ……なんで血まみれ?

 あ。

 そう言えば、後頭部がじくじく痛い様な気がする。

 なんとなく確認のために、手で後頭部を軽く触ってみた。

 ……鋭利な何かで刺されたみたいになってる。

 どのくらいの出血量かな?

 そう思って、傷口を触ってた手を見た。

 うん、真っ赤だね!

 それと出ちゃいけないなにかも出てるっぽい。

 人間だったら即死だよ、これ。

 まぁ、ボクは魔族だから死なないけどさ!

 そんなことより。

 タコ長め!

 ボクに今夜どこで寝ろってのさ!

 文句言ってやる!!

「って、あれ? 雑魚タコ長どこ行った?」

 辺りを見回すけど、どこにもいない。

 傍に居たバイアズに聞いたら。

 めんどくさそうにため息つかれた。

「何なんだよ。まったく」

「……お前の場合。自業自得な」

「はぁ? 何だよそれ? 訳わかんないんだけど!」

 まったく。

 バイアズまでそんな訳わかんないこと言うし!

 二人とも何がしたいのさ!!

「……サンダニオ。手」

 突然バイアズがそう言って、ボクの手を指さした。

 だから、ボクは血まみれの片手と、そうじゃない手を良く見える高さに上げる。

「? 手がどうか――……おりょ?」

 血まみれの右手・掌。

 そこに浮かび上がってる赤い文字の様な、複雑で変な丸い陣。

 左手にも同じような丸い陣。

 色は青。

 ボクの知る限りでは、これは巨大魔法を発生させたらしばらく出てるモノ。

「あは! やっちゃった!!」

「……この惨事を、それで片づけようとするお前が信じられねぇよ…………」

 そう言ってバイアズはため息をついたのだった。

 まったく。

 失礼しちゃう!

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