続。主人公は途方もない馬鹿
…………ん?
あれ。
さっき真っかっかの雑魚タコ隊長はなんてった?
『晩飯抜き』?
って。
「えぇぇぇぇ?! なんで!!」
ご飯抜きって!
そりゃないよ!!
ボクの夕方の楽しみを奪うっての?!
「あ? いやなら仕事しろ。いいな?」
う……。
そんなこと言ったって、こいつら魔族がはびこってる森を抜けて来てるんだよ?
いやまぁ、はびこってるのは城にも入れない超雑魚なんだけどさ。
でも、結構いるよ?
群れで来るの。
倒してもまたすぐ再生するの。
すっごくめんどくさくって、テキトーやったら再生のエンドレス。
そ、死なないんだよ。
あの雑魚たち……。
消す方法は細胞を残さず消すことができる巨大魔法ぐらいかな?
ま、扱おうと思えば扱えるけど、めんどくさくて嫌んなっちゃうもん。
てことで、結論。
こうやって城まで来た勇者組は、結構めんどくさい。
その上、無駄に諦め悪いし、ウザいんだよ。
それと、今ボクの目の前に居る勇者たちは、すっごく顔引きつってるし……。
はい。
ボクの一言。
「めんどくさい!」
「よし。飯抜き」
そういって 一つ頷いてさっさと歩き出したタコ雑魚くそ隊長。
あれ?
あいつ、今なんてった?
「……うわぁぁぁぁぁあああ! 待って待ってごめんなしゃいごめんなさい!! ちゃんと仕事します! 本気でふざけてすみませんでした!! だからご飯抜きだけはやだあぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」
勢いよくその場から走り出して、ボクは隊長の前に行って土下座。
でも隊長はサッとよけて歩いてく。
「待って! 待って隊長!!」
ガシッと掴んで引き寄せたのは、ボクの横を通り過ぎようと隊長のだした足。
「うわ! この馬鹿!」
「へ……? あ……」
ぐらっと体が前に。
――ゴッ……。
あちゃぁ……。
隊長、ボクのすぐ横で両膝、したたかに打ったみたいだね。
顔は……うん。
手をついてガードしたっぽい。
残念……。
つまり、今隊長の体制はまさに腕立て伏せ!
やばい。
笑いが――。
「よほど飯抜きにされたいと見える……」
そう言ったのは無様に転んだ隊長。
あ。
本気で怒ってるっぽい、だって隊長から冷気漏れてるもん……。
目が、表情が、すっごく冷たいんだ!!
や、やばいよ?
本格的に、や・ば・い!!
「え? い、いやだな、隊長。じ、事故。そう! 事故ですよ!! ね? ね?」
「…………バイアズ! サンダニオの晩飯と明日の朝飯抜きだ!!」
『あ、隊長。了解ッス』
と、隊長の言葉に反応するだるそうな声。
この声はバイアズだな!
あ、彼はボクの友達で、料理がとってもおいしい。
だから、ボクらの隊の食事を用意してくれる。
ん?
てことは、隊長が直接バイアズに言ったってことは……。
「うわぁぁぁぁぁぁ! 了解するなよ、バイアズぅぅぅううぅ!!」
『じゃ、なんか馬鹿が言ってるみたいッスけど、切るッスね?』
「あぁ。頼んだ」
「いやだぁあぁぁぁあ! ボクの日々楽しみが、生きがいがぁぁぁぁぁぁあああ!!」
ぢぐしょぉぉぉおお!
――ドンドンドン!
こいつらは有言実行なんだよぉぉぉぉ!!
やるっていったら絶対やるんだ!
うわぁぁぁぁああぁぁああ!!
もう、床がヒビだらけになっても知らないんだからなぁ!
うわぁぁぁああぁん!!
「行かないでぇ! ボクのごはん~~~~~!!」
そう言って隊長が羽織ってるマントに手を伸ばすけど、掴めなくて、さっさと隊長の姿は見えなくなった。
――結局、ボクは部屋に置いといたお菓子を頬張って、お昼まで我慢しました。
泣きそうだ……。
しかも、勇者たちは逃げたっぽい。
え?
なんで知ってんのかって?
食堂でお昼ご飯食べ終わって。
るんるん気分で廊下歩いてたら、隊長とばったり会って。
今、三時間目に突入した鬼タコ雑魚隊長の説教を受けてるからさ!
まったく、舌が良く回るよね。
隊長って。
二枚舌なのかな?
うわぁ、ぶっきみぃい!
「サンダニオ……?」
あれ?
さっきまでと比べたらすっごく声が低くなったよ?
冷気も出てるの。
なんで?
「は、はいなんでしょしゅか、体調」
「あ?」
うわわわ!
噛んだし、間違えた!!
冷気がさらに冷たくなったよ?!
ここは素直に!
「はい、なんでしょうか。隊長」
「……何百回も言っているが、お前は魔術、剣術、体術。すべてにおいて優れているんだ。だからしっかり仕事しろ。良いな?」
うぇ……。
めんどくさぁ……。
でも、伊達に何百回も怒られてないもんね!
だからここは素直にうなずくのさ!
「はい。すみませんでした」
「次からは気をつけるように。行ってよし」
「はい……。ありがとうございました」
イヤッホーイ!
さっさと離れて持ち場につこっと。
それに、勇者ってあんまりこっちまで来ないんだよね……。
外で皆頑張ってくれてるから、ボクはすっごく楽ちんさ!
さて。
ヤなこと忘れて玄関ホールでお昼寝だ!




