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出合い

¨あ、お兄ちゃん?¨

「…お…おお。」



¨今から迎えにきて欲しいんだけど…¨

「用事が済んだの?」



¨うん。ただ、ちょっと金欠でさ、お願いっ。¨

「…ひょっとして、○○の前のコンビニにいるの?」



¨えっ?…何で分かったの?¨

「可愛い妹の事なら、何だってわかるさ。」



¨ぱんつの色も?¨

「黒。」



¨くそー。…で、迎えに来てくれるの?¨

「すぐ行くよ。」



¨じゃ、待ってる。……あ、お兄ちゃん、確か彼女いなかったよね?¨

「…?」



¨お礼にさ、今度ともだち紹介してあげるね。¨

「……年齢1桁はヤバいだろ。」



¨そうかな?¨

「そうだろ。…じゃ、今から行くから待ってて。」


¨うん。¨

「すぐ行くから。」

──電話を切り、出かける準備を始めた。


 火の元や戸締まりを確認し、対霊品が詰まったリュックを背負う。


 そして、一昨日に仕上がったばかりの大型スクーター(痛単車仕様)を引っ張り出してきて跨った。


──エンジンをかけ、部屋の中で静かに走らせてみる。



……おお。


 エンジン音やバイク外装に施された女神キャラの溢れる笑顔に、心が癒される思いがした。


……よし


 バイクの機嫌が良いのを確認し軽く手で撫でると、そのまま玄関を出てドアの鍵を閉める。


──このバイクは、他に特殊仕様のマフラーに交換済みで、エンジンの回転数が一定以上になると排気音がアニメ声に変換される。


 ハンドルの所にボイス切り替え用スイッチがあり、音量や性別だけでなく、登録させたどんな台詞も喋らせられるのだ。


 ドキドキしながらアクセルを操作すると、



《おにーたんっ、がんばれっ》



と、バイクが励ましてくれた。…妹より可愛い。


──そして、特注のフルフェイスのヘルメット(透明)を被る。


《おにーたんっ、がんばれっ》


……うん、頑張る。



 ヘルメットの中で、表情をデレデレに崩しながらバイクを走らせ、妹が待っているコンビニを目指した。


 辺りは段々暗くなってきた。

 自慢の痛単車を見てもらえないのが残念だ。


……仕方ないな



──ボイスを切り替える



 ピンク色のライトを点灯させ、スピードを上げた。



《ごーごーおにーたんっ》



 それから、10分ほどバイクを走らせ、妹がいると思われるコンビニに着いた。

 駐車場に車は止まっていなかった。


……?


──辺りに、妹はいない


…コンビニの中かな?



 バイクを駐車場に止めると、コンビニのドアを押して中に入った。


 店員が小さな声で、


¨い…しゃい…せ。¨


と、言った。


 フルフェイスのヘルメットを被っていたが、透明だからなのか店員はそれ以上、何も言わなかった。


……。


 妹を探して店内を一周したが、見当たらなかった。


……やっぱり外かな?



 静かな店内を更に一周してレジの前を通り、そのまま外に出ようとした時、立ち読みをしている女性に気付いた。



……確か…夢で見たあの女性だろうか?


 気になって女性の隣に立ち、棚の本を手に取った。

 そして、本を見る振りをして、隣の女性が見ている雑誌を横目でチラッと覗いた。


……週刊少年…


 その後、女性は¨車¨¨オカルト¨¨ゲーム¨¨パチンコ¨と、次々と雑誌を手に取りパラパラとページをめくっては棚へ戻していく。


 そして、ある程度満足すると、女性は移動してエロ本を手に取り、真剣な表情になった。


……。


 ため息をつき、現実逃避的に携帯電話を取り出すと、妹に連絡をとってみた。


──2回コールの後、妹が電話に出た。


¨あ、ごめん。お兄ちゃんを待ってたらお父さんが車で偶然コンビニ寄ってさ、じゃね。¨


……。


──寂しく、携帯電話をしまった。



……。


 女性の事を思い出して振り向くと、目の前に女性の顔があった。


「わっ」

「さっきから、こっち見てたでしょ。」



「いえ、あの、その…」

「わたしが、珍しい女に見えますか?」



「……。」

「否定しないんだ。」



──女性が、更に顔を近づける


「えと…」

「…ところで、その大きなリュック背負ってどこかに行くの?」



「えっ?……あ…えと」

「わたし暇でさ、どこか連れてってよ。」



「……う。」

「…どこかに行く途中じゃないの?」



「……そうなんだけど、その…道に迷って…」

「じゃあ、わたしが案内してやるよ。どこ行くんだ?」



「この辺に、有名な心霊スポットが…」

「…あったかな?」



「多分、この辺らしいと…」

「…あ、…ああ、あそこか。見た目は普通の家なんだけど、中が凄いらしいって話を聞いたことがあるよ。」



「……。」

「今から行く?」



「…行きます。」

「じゃ、行こう。」

──そして


 私達は、その家の前に立っている。


 女性は、ここに近づくにつれ無口になり静かになり、先程とは別人のようだった。

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