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ジャック・イン・アストラル〜ガラクタと魔術師〜  作者: 羊倉ふと
2章

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13 種明かし

 キティとルシェが地下通路の捜索を始めて二日が経った。〈教会〉を拠点にして、ひたすら〈ハイブ〉内をウロウロしていた。

 そもそも地下通路なんてものが本当にあるのかどうかわからないのだが、レイン曰く、


『昔の増築のせいで埋もれてしまった場所も〈ハイブ〉にはたくさんあるからな。小麦粉の倉庫に使われている部屋みたいに、まだ見つかっていない空間があるかも』


 とのことだ。

 そして今のルシェはスカート姿ではなく、半ズボンを履いていた。

 どうやらレインの欲望を満たすための着せ替え人形にされていたことに気づいたようで、スカートを止めて、スラックスを短く破いたものを履くことにしたのだった。だがそれでも裾の長さはスカートと同じで膝より上だ。相変わらず悩ましげな白い脚が覗いている。

 髪型も変わった。レインが『そのままだと邪魔だろう』と言って三つ編みにしてしまった。ルシェはレインにビビり散らしていたようで抵抗しなかった。半ズボンを履いていても女の子のような見た目で、レインは満足顔だった。よほど譲れないものがあるらしい。


「下の層に行きたかったのに、いつの間にか上階にのぼっていたんだ」


 ルシェがキティの後ろから話しかけた。グールズに襲われた時のことを言っているらしい。


「ここの構造は利便性なんて度外視だからね。闇雲に進んでいると、自分がどこにいるのかわからなくなるよ」


 当然だが、王城だった頃に作られたという未発見の部屋──地下通路へつながる──は、下の層に埋もれているはずだ。そういうわけで、なるべく建物の下の方に絞って二人は探索していた。

 黙々と歩き続ける。空気が重く、なんだか気まずかった。何か話題が欲しいな、そう思ったキティは「そういえばさ」と前に訊きそびれていたことを口にした。


「グールズを倒した時、私の刻印装の制御を奪ったんでしょ? すごい音が出てたけど、あれ、何したの?」


 ルシェと行動するようになってから刻印装を使っていなかったので、忘れていたことだった。


「まずは過剰駆動オーヴァドライブをした」

「おーばどら……?」

「〈アストラル〉からルーンへのダウンロード量を増やして出力を上げた」


 相変わらずよくわからない。専門知識ありきで説明をするのはやめてほしいものである。とりあえず〈ウィズ〉はルーンを強化できるということだと解釈した。


「……それで?」

「その刻印装、中に物操系の細かいルーンが並べられていて、中の弾を発射できるようになってるよね。かなり発射効率が悪い並びだったから、部品同士の位置を操作して、発射に最適な配置に並び替えた。それで精度と威力が上がったんだ」


 刻印装を開いて中を見てみると、確かに内部の構造が変化している……気がする。とりあえず、釘が射程外の相手に命中したことと、壁を抜けるほどの貫通力を持ったことには説明がついた。


「跳弾も?」


 釘が天井に跳ね返って敵に当たった時のことを訊いた。普通は狙ってそんなことはできない。どこに当たったらどう跳ね返るかなんて、予想できるわけがないのだ。


「それも狙いを制御して当てた。キティの視界も使って、〈アストラル〉で反射角と軌道を計算した」

「私の視界?」

「目に刻印装が入ってるでしょ。そこに侵入した」

「目に侵入? どういうこと?」

「はぁ……。キティが見ている視覚情報は、〈アストラル〉を経由して僕も見れるんだよ」


 非常に問題がある発言を聞いた気がしたが、キティは一旦置いておいた。


「〈アストラル〉で計算した、ってのは……やっぱいいや」

「どうせ理解できないよ」


 ほんと感じ悪いなこのガキ! とキティは思ったがぐっとこらえた。

 ともあれ〈ウィズ〉にとって、ルシェが言ったことは朝飯前なのだろうか。それとも彼が特別なのだろうか。そんなことを考えながらグールズを倒した時のことを思い出している最中に、ふと思い立った。

 あの場所は二つの建物が並んだ隙間で、上下方向に開けていた。下からも上からも見通しが良い場所だった。

 あそこでの出来事が誰かに見られていたかもしれない。そして、その情報が〈ハイブ〉内に伝播してしまっている可能性がある。ルシェを探していたのは自分だけのはずだが、彼の存在を知った人間がどんな行動を取るか、それは予測できない。〈ハイブ〉での危険因子にどんなものがあったか、レインの話を思い出す。


『〈フュリアス〉と〈イコライザー〉って二人組だ。目をつけられないようにしておけよ』


 ──急いだほうがいいかもしれないな。

キティはそう考えながら、手持ちの釘の量を確認した。

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