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ダークサイドの朝



―――なぜ私は生まれてきたのだろうか?―――



私の仕事は問題を解決することだ。特に報酬があるわけではないし、誰かに称賛されることもない。



“陽の私”に危機が訪れる前に“陰の私”が問題を排除する。



あなたにも身に覚えがあるだろう。物が知らない間に移動していることや、話し合いもしていないのに相手が納得していること。



それらは我々が“陽のあなた達”のために働いたためなのだ。優秀な陰であるほど、あなた達には気付かれてはいない。



皮肉なことだ。優秀であるほど、気付かれない。関心を持たれるきっかけさえ、与えられることもない。一体、誰にそれを誇ると言うのだ。




私は決して優秀などではない。“陽の私”に直接対面したこともある。



陽の奴を殺してみようかとも思ったが、辞めておいた。興味本位で人を殺すものではない。



おかげで“陰である私”が“陽の女”を妻にすることになった。



規定とは順番が逆になるのだが、仕方がない。私は“陰である女”を“陽である私”に引き取らせたのである。



とある手段を用いて。



ここまではいい。しかし、この規定通りではない、この入れ代わりが私たちの生活を狂わせるようになったのだ。



我々は陰でありながら、陽の思考を読むことができる。職務からして当然の権限だ。



さらには、その思考をある程度コントロールできるのだが、陽にはそんなことができるわけがない。



それが私の妻だった。問題を処理する側の世界で、起こるはずのない問題が起きる。



最初は小さな混乱だが、それは徐々に大きくなっていく。



当然、それが陽の世界に影響を及ぶと、連鎖的に問題は膨れ上がっていく。



我々を、誰かが助けてくれるわけもないのだ。



ぼんやりと抱いていた何かがはっきりと形となって現れるのに時間はかからなかった。



嫉み、不安、怒り。知ってはいたが経験したことはない。



「なぜ、優秀な我々の方が陰に甘んじている?こんなことが許されていいのか?」



こうして我々の反乱が始まったのである。



           了

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