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7.

本編7話です。

タイトルはもう疲れたので考えません。ナンバリングだけにしました。

今日は、あの魔法少女と話す日。

一晩経ってよく考えたけど、「明日学校で落ち合おう」ってなんだ?


今日はたまたま講習があったから登校したけど、今日は土曜日だ。

あの人が本当に演劇部にいた人なら、確か他校の人だったはず。大抵の学校は休日に登校はしないはずだし、土曜日は学校がないと考えるのが自然なはずだけど。講習が午前いっぱいなのも知っているんだろうか。


それに待ち合わせ場所も時間も、何も決めてない。また演劇部に寄ればいいのかな。それとも、わかりやすく前会った場所で待ってるとか?


悶々と考えていると、すぐに講習が終わった。

憂鬱な気持ちで荷物をまとめていると、廊下から悲鳴にしか聞こえない歓声が聞こえてきた。興味本位で、人の隙間から廊下を覗き込む。


そこには、男物の着物と袴を着た、あの青い魔法少女がいた。

いや、なんで?


「あ!」


私が見ているのに気づいた魔法少女、いや、線の細い男子にしか見えないな。

別の呼び方を考えようかな。演劇部の先輩、あれ?先輩かなこの人。でも演劇部の部長さんと親しそうだったし、先輩な気がする。まあ、どうせこの後名前聞くのだけど。

そうこうしている内に、演劇部の先輩が私の目の前にやってきていた。


「昨日ぶりだね。この後暇かな。」


随分と白々しい。昨日会ったと言っておきながら、こっちの都合を聞いてくる感じが嫌だな。

単純に優しいだけの可能性もあるけど、隠すために白々しかったりするのなら、昨日会ったことも隠すべきじゃないのか。

せっかくの手掛かりを目の前で取り上げられ、昨日から続く苛立ちに拍車がかかっていく。不機嫌な時はどんなことでも可燃物なのだ。仕方ないといえば仕方ないが。

それはそうと、さっきから友達の視線と肘鉄が地味に痛い。やけに格好いいとか言ってたな。明日、は、日曜日だから、明後日から面倒くさそう。いつ知り合ったのとか、絶対根掘り葉掘り聞かれる。


「用事はありません。それはともかく、その恰好は?」

「ああ、今度の劇は殺陣中心でさ。私が所属してる方の演劇部のね。それの練習してたら、こっちの演劇部の子が衣装付けたいって言いだして…」

「似合ってるからいいでしょ!なんか文句あるわけ?」


第三者の声が聞こえた。演劇部の先輩の背後からだ。

背後から頭だけを出した、女子生徒。先輩にため口だったから、この人も先輩だろうか。


今気づいたけど、さっきまで一緒にいた友達がいない。きっと変な気を利かせて先に帰ったのだろうけど、これからの話についてこなくてよかったとも言えるし、ちょっと複雑な気持ち。


「うーん、ごめんね。正直、時代物じゃないからあんまり意味ないかも」

「何事も経験でしょ。まったく、根性ないんだから!」

「私これでも先輩なんだけどなあ。あ、君に紹介してなかったね」


先輩は背後の女子生徒の両肩をつかみ、前に押し出した。


「ここの演劇部1年生の子。君と同級生だね。裁縫がとっても上手な子なんだ。初対面から結構、なんだろ。自信家、うーん、大胆?な性格というか…」


ああ、何となくわかった気がする。初対面でもこの態度だっただろうし、生意気な、って言いたいんだろうな。濁したい気持ちもわかるけど、時にはがつんと言うべき時があるよ、先輩。

この短時間で、この先輩に親しみを感じ始めている気がする。


1年生だと紹介された彼女は、怒りで吊り上がった目じりと、眉間に皺をさらに追加して声を荒げた。


「ちょっと!濁すってことはなにか隠してる本音があるんでしょ!さっとと吐きなさい!」

「そういうところ、かなあ」

「どういうとこよ!」


会話のテンポがいいのは、流石演劇部とは思うけど。もうそろそろ話を聞きたいのだけれど、会話が途切れる気配がないとは。このままはぐらかされる可能性を考えると、焦りで心拍数が上がってきた。


「ごめんね、すぐに着替えてくるから、玄関で待っててくれるかな」

「ちょっと!なに脱ごうとしてるのよ、さっき来たばかりでしょ」

「申し訳ないけど、この子が先約なんだ。また今度ね」

「言ったわね!言質はとったから、破ったらタダじゃおかないんだからねっ」

「もちろんだよ。予定を後で送るから、スケジュールを決めてくれ。予定さえ合えば、何時間でも付き合うさ。」

「約束だから。約束なんだからね!」


先輩の話の切り上げ方が上手いのか、この子がちょろいだけなのか。多分両方だろうけど、今の恰好で言っていると人たらしかホストか何かだと思えてくるな。


さっきの子。吊り上がった目じりと強い口調にばかり注目していたけど、頬も確かに赤かった。あれは怒りだけにしては赤かったし、口元もお留守だったな。

約束をやたらと強調して走り去っていったあの子は、果たしてどちらが本命なのか。

思わず先輩を半目で見つめる。


「さて、行こうかっ、ど。どうしたの。そんな目で見つめて」

「何も。というか、その衣装返すんでしょう。先に玄関で待ってますね」

「そうだね。急いで着替えるから、少しだけ待っててくれると嬉しいな」

「…」

「どうしたの」

「そういうところですよ」

「何が!?」

4月になりましたね。新年度おめでとうございます。

今回は予想外に長くなりました。心理描写だいすき。

次回は5月の投稿となります。それではさようなら。


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