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07 よく分からんと、最弱勇者①

土で汚れたおっさんが…………なぜか聖剣の入っている引き車にケツからハマっていた。


 「どうしたん?」

「い、いやぁ実はパンチをよけようと後ろに下がったんじゃが…………何故か穴がほってあってのう、そのまま落ちた」


 え? マジで?


「で、でもさっき足元で声が……」

「私の特技はノーツじいちゃんの声真似だ」


 足元で転がっているヨシノがしたり顔で答える。

 体を動かせたらグッジョブとかやっていたんだろうか?


「そして、そのスキに後ろに回り込もうとしたらこの引き車につまずいたというわけじゃ。たのむ出してくれ」


 おっさんが手足をジタバタさせてるの面白いな。


「何を笑っとるんじゃ!」

「じいちゃん、おぶってくれぇ」


 引き車でジタバタするおっさんとそれにおんぶを頼む少女

 文字にするとめっちゃやばい状況だよな。


「早く出してくれ!」

「もうそっちの兄ちゃんでもいいからおぶってくれ」

「お〜い聞こえとるか?」

「早く帰りたいんだけどぉ」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶれ!」

「出〜せ!」

「おぶ――」

「うるせぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 一気に周りが静まり返る。

 ちょっと興奮しすぎたかな?


「急に起こっちゃっておっかないのうあいつ」

「ホントそうだよね~。もうちょっと優しくしてくれてもいいのに」


 クソっ! 僕に力があればこの足元の二人をぶっ飛ばせ……

 あれ? なんでおっさんが足元にいるの?

 おかしくない?

 さっきまでハマってたよね。


「それはじゃのこの引き車、車輪が無……ブッ……無駄にデカいから抜け……ブッ……抜けずにも移動でき……ブッ……っていい加減にせんか!」

「んな! 僕のパンチを3発もくらってまだそんなに余裕がある、だと」


 僕勇者なのにな、一応主人公なのにな!

 何? なろうのファンタジー系の主人公は理由もなく力を手に入れて『あれ、僕なんかやりました?』が普通じゃないの?


「お、お主……本物の勇者じゃったのか」

「確かに魔王もそんなこと言ってた気がする」


 あれ? ヨシノも心の声がわかるタイプの人間?

「へ? そんなわけないじゃないか」

「あ、…………すいません」


 いや、顔がマジだわ。

 あぁ、本当に恥ずかしい!


「君が主人公だからって無自覚無双できるとか思っているやばい奴だなんて微塵も知ら――」

「見えてるじゃん!」


 恥ずかしさ(+怒り)のあまり、顔が真っ赤に染まる。

 そのまま座り込んだ僕の視界におっさんが入り込む。


「なぁ、考え整理できた〜?」

「え? いや、それは……」

「まぁ、どうせ出来とらんじゃろうし勝手に話進めるぞ」


 失礼なおっさんだな!

 まぁできてないから助かるんだけどさ。


「そんな訳で家に帰りたいからヨシノをおんぶし――」

「ムリ!」


 出来るわけないんだよな、これが。


「そ、そんなこと言わずに頼まれ――」

「出来ない」


 聖剣を持ち上げるどころか引きずることもできないしね!

 たとえ幼児体型でも人間、持ち上がるはずないんだよな……


「勇者なのに?」

「マジで?」

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