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01 司会ちゃんと、最弱勇者

 2年前、新たに誕生した魔王によってこの世界の飲食事業は、危機におちいった。

 総額72億(ゴルド)にも及ぶ魔王の食い逃げの被害に世界中の王達は怒り、全力で勇者を探し出した。


 村で勇者オーディションが始まり……なぜか勇者になった。


「さぁ勇者ダーヤマ、このさやに聖剣をしまいなさい」


 そう言って差し出されたさやを腰につけ、聖剣を持ち上げ――

「重!? なにこれ? 全然持ち上がらないんだけど!」

「「「…………」」」


 や、やめて! そんな冷たい目線を僕に向けないで。


「……あ、あの……くすっ……ゆ、勇者さ……ま、こ、これを、ぶははははは」


 オーディションの司会はさやに聖剣をしまい、引き車に乗せる。


「そ、それじゃあ……い、行ってきます!」


 皆の楽しげな笑い声に見送られて僕は引き車を引……引き車を引……フンッ! 動けぇ〜!


「……あ、あの〜隣町まで連れていきましょうか?」

「司会ちゃん……ありがとぉぉぉおおお!!!!!」


 司会ちゃんの優しさに感激して思わず抱きつく。


 なんていい人なんだろう! 顔が引きつって見えたのはきっと僕の見間違いだろう。


 そういえば何故かさっきから静かだな?

 恐る恐る振り返ると

「頑張れよ!」「あぁ……頑張れ」「気を確かにね!」「君ならきっと魔王を倒せるよ……きっと」

 みんな顔や言葉は優しいのに……なんか胸が痛い!


「そ、それじゃあ行きましょうか!」


 隣町へ向かう間、何故か空気はシーンとしており何かを話せる雰囲気じゃなかった。


 きっと魔物を警戒してるんだろう……そうだよね……きっと……たぶんだけど……

「魔物の大群だぁ〜!」何処かから声がひびく。


 やっぱり! 僕は出てきてくれると信じていたよ魔物くん……本当、ありがとう!


「ゆ、勇者ダーヤマは馬車の中で大人しく……ってぇぇぇぇええ! ちょっと、なんで外に出ようとしてるんです!」


 腰に抱きつく司会ちゃんの力強さは、何が何でも外に出さないという意志の強さを感じる。

 でも、もう少し弾力もほしいな~


「ここは、勇者の力が必要だと思うから……ほら! みんな苦戦してる」


「……ダーヤマ様」


 どうやら分かってくれたようだね……それになんだか腕の力も弱くなった感じがする。


「今のうゎぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!! いだい! いだい! 骨がミシミシ鳴ってる!」


「ダーヤマ様? あなた聖剣を持ち上げることさえ出来なかったですよねぇ? 今、行っても邪魔になるだけですよ。それに、あの調子ならあと5分で片付きますから……安心してください」


 ……あ、これマジの目だ……


「それに、あの中に行ったらあなた死んじゃいますよ……この中には蘇生魔法が使える人もいないんです……もしあなたが死んじゃったら、私……」

「司会ちゃん……でもね、このままじゃ僕……きっと別の意味で死んじゃう。だからさ……腕、離して」


 あ、やべぇ……腰の感覚無くなってきた……川の向こうでじいちゃんが手ぇ振って――

「ガクリ……」

「ダーヤマ様!」


  ★★★


「おぉ、勇者よ! 死んでしまうとは情けない!」


 目が覚めると村の教会に帰ってきていた。

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