表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/80

11-3、世界を救う……

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

「あ、ぁ……」

「……、無理だ……」

 フィデスは呻き、カルリディが絶望からの言葉を零した。



「あ、諦めるのかよ……!」

 ルスフはボロボロになりながらも立ち上がり、まだまだ闘志を漲らせてフィデスに問う。


「では、どうするというのだ、こちらの攻撃は効かず、敵の攻撃は防げず、問答無用で約定体(アバタル)は破壊される……」

 両手と膝を地面に付け、立ち上がる気力も残っていないフィデスが呟くように零す。

「……」

 自身も満身創痍であるルスフは、それ以上フィデスに詰め寄ることはできず、自分の拳を握り、悔しさをにじませる。



「いや、壊れていない……」

 いつもとは違い、はっきりとした口調でラクティスが言う。

「なにをバカな──」

 フィデスはラクティスを叱責しようと振り返り、そして、その横にある鎧が健在であることに気が付いた。



「そ、それは、まさか……」

 フィデスはふらふらと立ち上がり、その鎧へと近づき、

「しょ……」


「しょ?」


「しょ、小生は無理だから!! 壊れないだけだから!!」

 鎧の中から、いつも通りの泣き言が発せられた。

「まだ、方法はあります……」

 マテリも無敵鎧(アルムス)の横に近づき、フィデスへ告げる。


「き、期待!? これは期待!? こういうときどんな顔すればいいかわからないのぉぉぉ!!」

 無敵鎧(アルムス)の中からは、相変わらず酷い泣き言が漏れ続けている。


「確かに、無双というべき防御力だが、それは敵も同じ……」

属性無効(レシステ)とて、護りは完全ではありません。ですよね? ヴァレト」

 マテリが水を向けると、ヴァレトは小さく頷く。

「可能性はあります。が、そもそも攻撃の"威力"が圧倒的に足りません……」

 その時、マテリの体から白と黒の入り混じったオーラがあふれ出すと、その内の白いオーラのみが集まり天使(アマレ)を形作った。


「え?」

 その出現には、マテリ自身も驚いていた。彼女が呼び出したわけではないのだ。

 さらに、天使(アマレ)に黒いオーラが吸い込まれ、右片翼と頭髪の右半分が黒く染まる。右目も眼球の白黒が反転している。


「こ、これは……」

 マテリの脳裏に、魔王と共に息絶えたオヴィエンティアの姿が浮かぶ。彼女は今わの際にマテリの手を取り、何かを託したのだ。

「これは、巫女の力……、わかる……、わかります……」

 マテリの感覚が、大きく広がっていく。オヴィエンティアの記憶と共に……。




 巫女は"刻印"を刻んだの大地から瑪那(マナ)を得ることができる。そのため、彼女、オヴィエンティアはこの大陸のあちこちに出向き、刻印を施した。


 地道な作業である。来る日も来る日も、瑪那(マナ)の溜まる地形をしらべ、刻印を刻む。なぜ? それは魔王のため。


 魔族と人族の対立を無くすために、全ての種族を"眷属化"する計画。そのためには、膨大な瑪那(マナ)が必要だった。


 彼女は刻印を刻み続けた。魔王がそれを求めたから。しかし、刻印は、彼女が約定体(アバタル)を消してしまえば消滅してしまう。だから、彼女はほとんど不眠状態で、それを続けた。何度も倒れそうになった。


 そんな時、預言者デルスィが現れた。預言者デルスィは"疑似巫女"を作り、彼女が休んでいても、刻印が消えないようにしてくれた。"疑似巫女"は、十字架に据えられ、神殿に安置された。


 これで、もっと刻印を増やせる。魔王の願いを叶えられる……。叶えられるはずだった。

 でも、魔王は変わってしまった。彼の願いは、世界を滅ぼすことではなかったはずなのに……。





「世界を、救う……」

 オヴィエンティアの想いが伝わり、マテリの瞳から一筋の涙がこぼれる。

「ヴァレト、手を……」

 差し出されたマテリの手を、ヴァレトがとる。柔らかな光と共に、恐ろしく大量の瑪那(マナ)がヴァレトの体に流れ込んでくる。

「うっ……」

 あまりの瑪那(マナ)の量に、ヴァレトは小さく呻く。マテリが彼に不安気な表情を向けるが、ヴァレトは小さく頷き、大丈夫であることを示す。


「リア……」

 そして、マテリは反対の手をリアに差し出した。

「えぇぇぇ……」

 渋るリア、が、マテリは無言で彼女に視線を向ける。


「……、あーもう、わかりましたよ! 小生もやるときゃやるんだからね!!」

 リアがマテリの手を勢いよくとり、

「おぼぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 突然大量の瑪那(マナ)が突然流れ込んだために、盛大にえずいた。嘔吐しなかったのは、せめてものプライドか……。



 ヴァレトと、リアの体から無色のオーラが立ち上る。そして、2人は詠唱する。



「……、顕現せよ(レベラータ・アバタル)無能の化生(ロレム・V・イプスム)

「レ、顕現せよ(レベラータ・アバタル)破壊不能(アルムス=)で絶対無敵(イメクシティウム)


 ヴァレトから間欠泉のように吹き上がった大量の無色オーラが収束し、"無能の化生(ロレム・V・イプスム)"が形作られる。

 その周囲にリアから噴き出したオーラが旋回し、拳闘士(ロレム)が装着する形で"破壊不能(アルムス=)で絶対無敵(イメクシティウム)"が出現した。


 約定体(アバタル)の顕現は成った。が、2人から吹き出るオーラは止まらない。


 無敵鎧(アルムス)拳闘士(ロレム)に、どんどんとオーラ化した瑪那(マナ)が注ぎ込まれていく。



 ──ズォォォォォォォォォォォ



 異常な瑪那(マナ)の励起を感知したのか、突然、"約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)"が、ヴァレト達へと意識を向けた。無造作に振るわれた巨大な触手が、ヴァレト達の上へと振り下ろされ──


 響く凄まじい衝突音。


 "約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)"の触手は、マテリ達3人を覆うように出現した巨大な右腕によって受け止められていた。

 そう、右腕だけが異常に巨大化した拳闘士(ロレム)が受け止めたのだ。



 ──!?



 "約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)"から戸惑いの気配が伝わる。


 それにかまうことなく、バキバキと異常な音を立てながら、拳闘士(ロレム)の全身がどんどん巨大化していく。それに応えるように装着された無敵鎧(アルムス)も巨大化していく。

「ぐっ」

 大量の瑪那(マナ)が体を通る不快感と、無敵鎧(アルムス)を押し広げられる違和感に、リアが呻きを漏らす。



 ──ズォォォォォォォ……



 3人を庇うように、片膝を付いた状態のままで巨大化していく拳闘士(ロレム)、もとい強拳闘士(ロレム)は、ついに"約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)"と並ぶほどの巨体へと変貌する。



 ──ズォォォォ



 暴力的なまでの瑪那(マナ)によって強化された強拳闘士(ロレム)は、超硬、超重量の無敵鎧(アルムス)を以てしても、その身は縛られない。


 右手で受け止めた触手、それをそのまま掴み、力任せに"約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)"を引き寄せながら左拳を叩き込む。

 咄嗟に複数の触手で強拳闘士(ロレム)の拳を防御した"約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)"。しかし、拳を叩き込まれた触手は、立方体ブロック状に分割され、跡形もなく虚空へと消え去った。



 ──オロォォォォォォォ……



 巫女の能力を通じ、世界の想い、終末に抗う意思が3人に流れ込む。

「ヴォェェ……」

「……」

「世界は、終わらせません……」

 相変わらずえづくリアに、無言のヴァレト。呟くマテリの背後では、大量の瑪那(マナ)が全身を渦巻く天使(アマレ)が、白黒の翼を広げていた。


 天使(アマレ)が飛翔し、3人は空へと舞い上がる。

「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ……──」


 巨大化した無敵鎧(アルムス)の胸部、鎧の飾り部分が展開し、そこへ3人は着地した。

「うそっ!? こんな機能あったの!? 今の今まで知らなかったんだけど!!」



「ヴァレト……、頼みます」

「ええ……、終末を終わらせます」

 飾りが閉じ、3人は無敵鎧(アルムス)内部へと収納される。

 フルフェイスから覗く、強拳闘士(ロレム)の両眼が、蒼く力強く輝く。



「GOAAAAAAAAAA!!」

 無敵鎧(アルムス)を纏い、体高100m超まで巨大化した強拳闘士(ロレム)、改め、終末を滅す者(フィネム・スペリア)が、約束されたエリフィスフ・ルイーナ終末(・ルイーナ)と相対した。




=================

<情報開示>


無能の化生(ロレム・V・イプスム)

・3等級(顕現に必要な煌気(オド)は3ポイント)

・属性<無色>

・攻撃力:高 防御力:高 耐久性:高

能力アクティブ:[煌気(オド)を2ポイント消費]:変異する


 ↓


終末を滅す者(フィネム・スペリア)

無能の化生(ロレム・V・イプスム)<無色変異>)

・1048576等級(変異に投入した瑪那(マナ)は1048576ポイント)

・属性<無色>

・攻撃力:救世主級 防御力:神話級 耐久性:伝説の勇者級

能力アクティブ[煌気(オド)を0ポイント消費]:変異を解除する

・装備:破壊不能(アルムス=)で絶対無敵(イメクシティウム)



+++++++++++++++++

<次回予告>


「小生、気になることがあるんだけど」

「そのまま気にしといてください」

「聞いて! せめて内容だけでも聞いて!!」

「僕も気になってしまうといけないので、聞きたくないです」

「まぁまぁ、ヴァレト。聞くだけ聞いてあげましょう」

「御意に。さぁ、早く話してください」

「態度! 変わり方酷すぎ!!」

「話す気が無いなら、もう終わりますよ?」

「言うから!! 言うからちょっと待って!! 今回出てきた巨大ロボ──」

終末を滅す者(フィネム・スペリア)です」

「……、スペリアさんですけど、耐久性が"伝説の勇者級"じゃないですか~」

「……、はい」

「あのクラゲって、たしか耐久性が"破壊神級"だったと思うんだけど、明らかに負けてない?」

「油断ならない相手ですね……」

「それはあれです。"竜を探し求める伝説"で語られる勇者さんに、"破壊神を破壊した男"が居ますから、そういったアレです」

「あぁ~……、なら、"攻撃力:伝説の勇者級"のがいいのでは?」

「……」


次回:週末を滅する仕事


 (これは嘘予告です)


「それただの休日出勤だ!」

「はっはっは、在宅勤務だから出勤ではないのだ!」


次回更新は、3/10(金)の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ