表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/80

10-9、この世界は滅ぶ。私が滅ぼす

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

「これらは我が、"憎悪で死(レクス・)を冒涜する支配者ドミナティ・オディウム"の"眷属"である」

 神殿の内外に出現した"眷属"は、総勢30以上にも膨れ上がった。



「さぁ、貴様らも我が"眷属"に加えてやろう」

 魔王が手を振り下ろすと、"眷属"たちは、死体とは思えぬほどの俊敏さで、フィデスたちへと襲い掛かった。


「遊んでいる場合ではありませんよ。私たちも加勢します!」

 マテリが天使(アマレ)を出しながら叫ぶ。

「はい!」

「わ、わかった!」

 ヴァレトとラクティスも、それぞれの約定体(アバタル)を出現させ、フィデスたちへと加勢する。


「お前は行かにゃいのか?」

「小生は足手まといだからね! 端っこで大人しく……?」

 リアの視線の先、先ほど加勢に入ったばかりのヴァレトと拳闘士(ロレム)が必至な様子で彼女に向かって駆けてくる。

 直後、彼女の背後に"何者か"の気配。


「あ……」

 嫌な予感を覚えたリアは、ゆっくりと振り返り、

「ヴァァァァァァァ……」

「ぎょわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 すぐ背後に居た1体の"眷属"と、鼻先が触れそうな距離でのご対面となった。


「ヴァアアァァァァァアァァアァ!!」

「ぎょうわぁぁああぁあぁぁぁぁ!!」

 近距離で叫び合うリアと"眷属"。そんな彼女を、拳闘士(ロレム)がヒョイと担ぎ上げた。

「おぉぉぅ、ヴァレトぉぉぉぉ……」

 助け上げられ、感謝の言葉を告げようとしたリアだったが、それを述べるより先に、拳闘士(ロレム)によってぶん投げられた。

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 空を飛ぶリア、そして、密集する眷属のただ中へと落下していく。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 そして、無敵鎧(アルムス)を纏ったリアが"眷属"の群れに着弾し、5体の"眷属"がバラバラに吹き飛んだ。

「やめて! 小生を質量兵器扱いするのやめて!!」

 無敵鎧(アルムス)から発する抗議の声は、さらなる戦闘の喧噪に掻き消える。



 敵陣で騒音をまき散らす無敵のデコイとなったリアは放置し、ヴァレトたちはイグノーラを中心とした円陣を組み、"眷属"を撃破していく。

 フィデスの白馬騎士(エクウィテス)が放つ突きで、"眷属"最後の1体が貫かれて倒れる。

「次は貴様だ! 魔王!!」

 ランスの切っ先を魔王に向け、フィデスが魔王に言葉を叩きつける。


「く、」

 魔王が手で顔を覆う。

「くっくっく」

 その手の隙間から、嗤い声が漏れた。


「これで終わりだと、思うか?」

 魔王が右手を翳すと、死の支配者(ドミナティ)から再び黒い波動が迸る。

 それを受け、バラバラになった"眷属"たちの遺体が蠢き、比較的原形をとどめていたパーツ同士が接合し、新たな"眷属"となって立ち上がった。その数約20。

「なっ……」

 ツギハギで、ちゃらんぽらんな組み合わせで再構成された"眷属"たち。そのあまりにおぞましい姿に、フィデスたちは言葉を失う。


「ま、まだです! 数自体は減っています! 全身を破壊できれば……」

 言っていて気分の悪くなる話ではあるが、ヴァレトは"損傷の激しいパーツ"は戻らないことを告げる。

「そう、だな……。俺が燃やし尽くす……」

「手間取りそうですけどね……」

「やるしかあるまい!!」

 顔色は優れないが、ルスフ、カルリディ、フィデスも気合を入れて再び円陣を組み……、


「ならば、数も増やそうか……」

 魔王がそう告げた直後、神殿の入り口や、何も嵌っていない窓から、次々と兵士がなだれ込んできた。

「遠征部隊の!?」

 遠征部隊の構成員であった兵士や、騎士たち、その数は優に200。全員、目は白濁し、とても正気とは思えないうめき声を漏らしつつも、その濁った眼はヴァレトたちに向けられていた。


「まだまだいるぞ。お前たちが何千体も"素材"を持ってきてくれたのでな」

「貴様!!」

 フィデスの怒声をかき消すように、新たな"眷属"たちは彼らへと殺到した。


 "眷属"の攻撃を盾で防ぎ、天使(アマレ)が白銀の剣を敵に向かって振り下ろし……、その敵が、遠征部隊で何度か会話した従者の少年であることに気が付き、マテリは剣を止めた。が、敵は攻撃を止めない。マテリへと飛び掛かり、その牙を彼女に突き立てようとして天使(アマレ)のシールドによって吹き飛ばされた。


「ヴァレト! 貴方の"呪怨"能力で魔王を倒せませんか!?」

「無理にゃ」

 堪えきれず、マテリがヴァレトに問いかけるも、彼が答えるより先にアルブがそれを制した。


「今回は間違いないのにゃ。この"眷属"というのは約定体(アバタル)じゃにゃい。だから"呪怨"は効果を発揮しないにゃ」

 "呪怨能力"は、約定体(アバタル)を攻撃することで、その本体にも同じダメージを伝播させる効果である。が、"眷属"は魔王の約定体(アバタル)ではないため、その効果は意味をなさない。


「ぐおぉぉぉぉ!!」

 2体の元兵士がマテリに向かってとびかかる。瞬間の逡巡、そして、彼らは白刃により両断された。

「……謝罪はしません。私たちは、任務を全うします」

 そして天使(アマレ)迷うことなく、次々と周囲の"眷属"たちを斬り倒す。だが、斬られた眷属たちは互いに部品を補い合って再び立ち上がり、それをも、天使(アマレ)は斬り刻む。


「SHIAAAAAAA!!」

 拳闘士(ロレム)も、眷属の全身を叩き潰すように拳打を連続で叩き込む。

「可能な限り、迅速に破壊する!!」

 無事な部位があれば、再び"眷属"として利用されてしまう。ヴァレトは歯を食いしばりながら、襲ってくる元仲間たちの体を可能な限り破壊していく。


 襲い来る"眷属"を次々と打ち砕くヴァレトたち。しかし、神殿の外から次々と"眷属"が補充され、倒しても倒しても減らない。いや、むしろ徐々に増えていた。


「もう、もうやめて!!」

 そんな中、イグノーラが叫びを上げ、魔王に言葉を投げかけた。


「貴方には昔、人族との間で悲しいことがあったんだと思う! でも! 人族すべてを"眷属"に変えても、貴方の心は救われない!」

 イグノーラの言葉に、魔王ではなく、フィデスたちが反応する。

「なに!? そうなのか? 人間すべてを"眷属"にするだと!?」

「そんなことができるのかよ!」

「いや、あれだけの瑪那(マナ)があればあるいは……、しかし許せませんね!」


 そして、ヴァレトの背後でも、彼女の言葉に反応する者がいた。

「あちゃ~、焦ったかな、あれは……」

 いつの間にか、円陣の中央にリアと無敵鎧(アルムス)が居た。むしろ、ヴァレトたち自身が、背後の安全を確保するために無敵鎧(アルムス)を中心とした戦闘陣形に自然と推移した結果なのかもしれないが……。

 そのリアが、イグノーラの発言に渋い反応をする。


本編(ゲーム)では、魔王戦でこんな物量戦なんて仕掛けてこないからなぁ……。先に"戦いの理由"をネタバラシしちゃってら……」

「今のが、その理由?」

 ヴァレトの問いかけに、無敵鎧(アルムス)からの返事はない。が、なんとなく、中でウンウンとリアが頷いているような気配がした。



「貴様、何を言っている?」

 当の魔王は、イグノーラの言葉に大した反応は見せない。が、それでもイグノーラは続ける。

「貴方の身近に、愛があるはず、それに気が付いて!!」

 この問いかけには、魔王だけでなく、全員の頭に疑問符が浮いた。

「支離滅裂で、何が言いたいのかよくわからないですが……」

「あれ、どういう意味ですか?」

 マテリとヴァレトの疑問に、リアが答える。

「横に居る巫女さん、魔王のことが好きなんですよ。その想いに気が付いて、愛に目覚めることで思いとどまる……、的な展開なんだけど……」



「だから、何のことだ? 我は人間などに興味はない」

「……へ?」

 イグノーラは、過去一番というほどに間抜けな表情で魔王を見上げている。


「この世界は滅ぶ。私が滅ぼす。そのようになるべきだからだ。そのようにあるべきだからだ」

 魔王は両手を広げ、天上の存在へ祈りを捧げるように告げる。


「……、魔王様……」

 その魔王の隣に侍る巫女、オヴィエンティアは痛まし気な表情を向ける。


「なんか話が違いますけど?」

「あるぇぇぇぇぇぇ?」

 リアは首を傾げた。



+++++++++++++++++

<次回予告>


「この世界を終わらせる。すべての時間を戻し、元ある世界へと還すのだ」

「時間が、巻き戻る!?」

「ふ、ここは僕の出番ですね」

「カルリディ!!」

 こうして、世界の命運は、本作で1番影の薄い彼に託された!!


次回:腹黒とは言わせない


 (これは嘘予告です)


「影が薄いとか、腹黒とか、言いがかりが酷すぎますよ」

(言いがかりじゃないんだよなぁ……)


次回更新は、2/24(金)の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ