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9-6、さぁ、地獄の始まりだよ

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

評価いただきました! ありがとうございます!

「GRUUUAAAA!!!!」

 緑肌のゴブリンとは異なる青い肌の上位種ホブゴブリンが、雄叫びと共にグラリスとマテリに襲い掛かる。

 マテリに向けて振り下ろされた右拳を、天使(アマレ)がシールドで打ち弾く。

 体が開いてしまったホブゴブリンに向け、天使(アマレ)が白銀の剣を振り下ろす。が、敵は咄嗟に左腕で防御。腕半ばまで食い込んだ刃は、そこで食い止められる。


「GRUAA!!」

 左腕を切り落とされかけたホブゴブリンは、怒声をあげながら右腕を振り回す。マテリと天使(アマレ)はそれをバックステップで回避する。

「く……、硬い」


 近衛兵団長グラリスも、その手に装着した籠手状の約定体(アバタル)、「その手に劫火を(フラマ=カエストゥス)」でホブゴブリンに拳打を浴びせる。が、

「あらぁ、大して効いてない……?」

 ホブゴブリンはやや後ずさったが、殴られた頬を掻いた後、再びグラリスに襲い掛かる。


「しゃーねぇな」

 グラリスは、手甲(フラマ)に1つだけ灯っていた宝珠の光を解放する。すると、籠手が光に包まれ、

「オラァ!!」

 先ほどよりも威力を増した拳打が、ホブゴブリンの顔面を強打し、顔を陥没させた敵が吹き飛んでいく。

「ふぅ、割に合わないな……」

 

 グラリスの戦いを見たマテリは、意を決する。天使(アマレ)に盾を捨てさせ、白銀の剣を両手持ちに切り替えた。

「GAAAAAA!!」

 再び襲い掛かってくるホブゴブリンに天使(アマレ)は急接近し、右拳による攻撃が繰り出されるより速く、下段に構えた両手持ちの白銀剣を切り上げた。

「GA……」

 逆袈裟に切り裂かれたホブゴブリンは、主要な内臓器官を損傷し、仰向けに倒れて息絶える。


「「GAGAAAAAA!!」」

 周囲にいる10体以上のホブゴブリンたちが、マテリ達に向けて威嚇の叫びを浴びせる。

「っ!」

「うわぁ……」 

 その様子に、マテリは息をのみ、グラリスはうんざりした声を漏らした。


「お嬢様、こりゃ、少々"命懸け"かもしれませんぜ」

「それでも、護るべき人たちが居ます」

 マテリが敵を睨み、天使(アマレ)が白銀剣を構える。

「やれやれ、騎士稼業も辛いもんですなぁ」

 手甲(フラマ)を打合せながら愚痴を漏らしたグラリスだが、直後、目にも止まらぬ速さで敵の群れへと飛び込んでいった。




 グラリスの拳打が敵に炸裂する。が、大柄なゴブリン亜種は怯みはするが大したダメージが入っていない。

「くそっ! もうこれ、オーガって言った方がいいんじゃないですかね!」

 グラリスは手甲(フラマ)に灯る宝珠の光を2つ消費する。ひと際強烈な光を放つ拳打がゴブリン亜種に襲い掛かり、その首をへし折った。

「っ!」

 拳打を振りぬいたグラリスの背後から、別の個体が襲い掛かる。が、その個体の喉に、白銀の剣が突き刺さった。

「助かりますよ! お嬢様!!」

 天使(アマレ)が喉を貫いた敵を、グラリスが裏拳で吹き飛ばし、さらに横合いから近づくもう一体に蹴りを見舞う。その攻撃の結果、再び手甲(フラマ)の宝珠2つに光が灯った。

 グラリスは自身の手甲(フラマ)に素早く視線を走らせる。両手に3つずつ、合計6つの宝珠が光っていることを確認した。


「きりがないんで、でかいの行きます。ちょっとお願いしますね」

「え?」

 グラリスは右手のひらを広げて水平に掲げる。彼の所作に呼応し手甲(フラマ)の宝珠から一気に6つの光が消え、直後、その手のひらへと光が収束し始めた。集まる光は閃光と電撃を漏らしながら眩い光球を成す。

「吹き飛べ!!」

 光球が裂け、溢れた光は極太の光線となり、敵の群れへと襲い掛かった。


「GRUAAAA──」

「GYAAAA──」

「GAAAAAA──」


 射線上の建物、ゴブリン亜種たちが、光に飲まれて消えていく。


「オォォォォラァァァァァ!!」

 光線を放射したままグラリスは右腕を動かし、ゴブリンに埋め尽くされた貧民街を薙ぎ払っていく。光線が通過した後には、何もない焼け野原だけが残る。


「ハァ、ハァ、ハァ」

「……」

 光線の放出が止み、グラリスは膝を付き荒く息を吐く。

 彼の前には、扇状の荒れ地が広がっていた。あまりの攻撃力に、マテリは言葉を失っている。


「ハァ、ハァ、……、チッ」

 勝敗は決したかに思われた。しかし、荒れ地の先へ視線を向けたグラリスが小さく舌打ちをした。彼の反応に、マテリも視線を向ける。


 焼け野原のただ中。これまでで最も大柄なゴブリン亜種が数体ほど立っていた。その敵たちは光線に耐え、さらには、その背に何かを庇うように立っていた。

 巨躯のゴブリン亜種たちが退くと、その背後から魔族の男女が現れた。


「オイオイ……、トンッッでもねぇ奴がいるもんだなァァ」

 扇状の焼け野原を見渡しながら、魔族の男が感嘆の声を上げる。

「焼けちゃうとこだったねぇ、ネファス?」

 魔族の女が、男にしな垂れかかりながら告げる。


「魔族の契約者(フィルマ)……。まさか、このゴブリンどもは"能力"だったのか!?」

 睨みつけながら、グラリスが魔族に問いかける。

「ア~ァ、可哀そうに、まだ生きてる奴が居たかもしれないのになァ~」

 ネファスと呼ばれた魔族の男が視線を向ける。そこにはグラリスの攻撃で半壊した建物があり、その中では、ゴブリンたちが元は"人間だった"と思われるモノを捕食していた……。


「なんということを……」

「魔物の仕業じゃなく、お前たちが……。この外道どもがっ」

 マテリは青ざめ、グラリスはいつもの飄々とした様子が消え、怒りを露わにしている。

「外道?」

 ネファスと呼ばれた魔族の男は、そんな2人の様子に愉悦を覚えたのか、口角を吊り上げる。


「はっ! 俺たちにとっちゃ、むしろこっちが"正道"だぜ。我らが王、"魔王様のご意思"ってやつさ。人間どもに厄災を、ってなァァ!」

「ぎゃっはっはっ!」

 ネファスの言葉に、魔族の女が下品な笑いを挙げる。


「言葉は通じるのに、"痛み"は理解できないのか」

「うわ、人間を"理解"とか、気色ワリィなァ」

「無理無理っ!」

 グラリスの怒気を滲ませた問いに、2人の魔族は生理的に受け付けないと言った様子で答える。

「そうか、俺も無理そうだよ」

 そう言って歩を進めるグラリスからは、強烈な殺気が迸る。


「おっと、ありゃヤバそうだ。もう少し増やしたかったが……、仕方ねぇ、ポレスィス!」

「アタシの出番ね」

 ポレスィスと呼ばれた魔族女の体から黒いオーラが溢れる。そのオーラが集約し、黒い十字架を背負った女が出現した。瞬間、その約定体(アバタル)から黒い波動のようなものが周囲へと放たれた。


「ぎゃはっはっはっはっ! 死よりも苦痛を(シュネルギュ・)卑劣に酷薄に(インフェリ・オルガニ)は発動した!」

 ポレスィスが叫ぶように告げた直後、周囲のゴブリンたちが苦しみ、そしてバタバタと倒れていく。


「な、なに……?」

 何事かと警戒するグラリス。そして、倒れたゴブリンたちが、ゆらりと起き上がる。その目は白濁し、一切の生気を感じさせない。

 いや、それだけではない。先ほどまで完全に息絶えていたはずのゴブリンたちまでもが立ち上がっている。


「さぁ、地獄の始まりだよ」

「「「「GAVAAAAAA!!!!」」」」

 ポレスィスの言葉に、ゾンビ化したゴブリンたちが一斉に産声を上げた。



=================

<情報開示>


卑劣と(レクス・)酷薄の支配者(インフェリ・オルガニ)

・3等級(顕現に必要な煌気(オド)は3ポイント)

・属性<赤>

・攻撃力:低 防御力:低 耐久性:低

能力アクティブ:[性別<メス>の胎に種を植え付ける]:3体のゴブリンコピー約定体(アバタル)を生み出す。この約定体(アバタル)卑劣と(レクス・)酷薄の支配者(インフェリ・オルガニ)のコピーである。

能力アクティブ:[生物を1体捕食する]:攻撃力、防御力、耐久性のいずれか1つを永続的に1ランク上昇させる。


死よりも苦痛を(シュネルギュ・)卑劣に酷薄に(インフェリ・オルガニ)

・2等級(顕現に必要な煌気(オド)は2ポイント)

・属性<黒>

・攻撃力:低 防御力:並耐久性:並

能力パッシブ:すべてのゴブリンをゾンビ化し、攻撃力、防御力、耐久性を全て1ランク上昇させる。この効果は、死よりも苦痛を(シュネルギュ・)卑劣に酷薄に(インフェリ・オルガニ)を中心に、半径10km内に及ぼす



+++++++++++++++++

<次回予告>


「つ、ついに、ついに完成したにゃ!」

「いや、何がだよ」

「これこそが、真のネコパンチにゃ! 名付けて、スターライトネコパンチ!」

「そこはかとなくパクりくさい!」

「うるさいにゃ、スターライトネコパンチ」☆彡

「ぐぼっ!」


次回:★が宿るネコパンチ


 (これは嘘予告です)



次回更新は、1/27(金)の予定です。

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