7-3、さすが王太子殿下と、そのお仲間たちですなぁ
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「やはりあの時の!」
巨像を呼び出した公爵私設騎士団団長リオリタスを睨み、マテリが叫ぶ。
オリエンテーリングでの襲撃の際、狙撃手を使役していたペラムと相対したマテリ、その前に現れた仮面の男。それは、リオリタスであった。
「おぉぅ……、聞いてたより、威圧感すげぇ」
リアが巨像を見上げ、呻くように呟く。
リアの情報によれば、巨像の約定体はゲームに登場しない。つまり、ここにもシナリオとの相違が発生してるのである。
「全員かかれ! 敵の生死は問わん!」
リオリタス団長の指示により、公爵私設騎士団の騎士たちが一斉にヴァレト達に襲い掛かった。
しかし、屹立している巨像に動きはない。契約者であるリオリタスは、様子見するようだ。
ヴァレト達、7人の契約者は、自然とお互いに背中を護るように円となり、騎士たちと相対する。
「すまんな。少々の怪我は覚悟しろ!」
フィデス王太子が敵の騎士に告げると、彼の白馬騎士がランスを薙ぎ払い、その騎士たちを吹き飛ばす。
その瞬間、公爵邸の屋上で光が発し、そこから発射された光線がフィデス王太子に迫る。
「効かぬ!」
白馬騎士の能力によりダメージ軽減バリアが展開され、光線は無効化される。
「チッ!」
公爵邸の屋上、狙撃手の横でペラムが舌打ちする。今度は王太子以外を狙い、再び光線を発射しようと──
「RAFAAAAAAAA!!!」
ペラムの頭上から不協和音が響く。直後、白銀の刃により狙撃手が両断された。
崩れ消え去る狙撃手の向こう側には、天使とマテリが立っていた。
「ペラム!」
マテリの叫びと共に、天使がシールドバッシュを繰り出す。
「甘いね、お嬢様!!」
ペラムはそれを進んでその身に受け、勢いのまま屋上から落下していった。
「くっ!」
マテリが屋上の縁から覗き込んだ時には、すでにペラムの姿が無かった。
「おらよ!!」
ルスフの炎ゴーレムが赤熱した剛腕を振るい騎士を殴り飛ばす。殴られた騎士の鎧は、ひしゃげてへこんでいる。
さらに暴れる炎ゴーレム。しかし、騎士の1人が、その拳打を腕で受け止めた。
「なっ!?」
ルスフが戸惑ったのはほんの一瞬である。しかし、その一瞬で炎ゴーレムが放った拳打の威力は騎士の右腕を伝い、背を通って左腕から同質のエネルギーとして撃ち返された。
炎ゴーレムの腹に、赤熱したエネルギーの塊が命中する。
「これは、コピー能力!」
騎士の鎧が融解し、中から律儀な債務者が姿を現した。
「騎士に紛れてやがったか! はっ! 面白れぇ!!」
ルスフは喜々として炎ゴーレムで債務者に襲い掛かる。
先ほど、撃ち返された拳撃を腹に食らった炎ゴーレムだが、自身同様の火炎を纏う攻撃であったために効果が薄く、ほとんどダメージが入っていないのだ。
「炎ゴーレムの攻撃は、炎ゴーレムには効かねぇぜ!」
再び殴りかかる炎ゴーレムだが、意外にも債務者は炎ゴーレムから距離を取った。そして、その間に1人の騎士が割り込む。
「!?」
炎ゴーレムの拳をまともに受ける騎士。よく見ればその男、先ほども炎ゴーレムによって殴り飛ばされた騎士だ。
騎士のフルフェイスが吹き飛び、中の顔が露わになる。
「て、てめぇは!」
その騎士の影から、ふわりと円盤状の約定体が現れ、頭上を飛び回る。
「信じる者は救われるがある限り、あっしは無敵っす」
円盤使いが両手を広げ、炎ゴーレムの前に立ちはだかる。
「くそっ!」
ルスフには円盤使いをあてがい、債務者はフィデス王太子へとターゲットを変更した。
さらに、王太子を挟んだ逆サイドからも怪しい動きの騎士が接近する。
「蜘蛛拳士!!」
蜘蛛拳士が手から糸を発射し、宙をふらふらと舞っていた円盤を捕獲。
「SHIAA!!」
蜘蛛拳士がその糸を振り回し、円盤投げもとい、円盤投げで王太子に忍び寄る騎士へと叩きつけた。
「GA!!」
なんと騎士の首がもげ、転がり落ちた兜からは土くれが零れ落ちる。全身鎧もバラバラに崩れ落ちた。
騎士の中身は"その円環は正気を宿す"によって生み出された泥人形であった。
円環は、装着された約定体を"破壊した約定体"に乗り移る。
「んなっ!?」
円盤使いが妙な声で悲鳴を上げる。彼の約定体であるはずの円盤にサイズの合わない円環が装着されていた。
「チャンス!!」
ルスフが喜々として叫び、炎ゴーレムの拳が円盤使いをしたたかに打ち付ける。
「ぎにゃぁぁぁぁぁ!」
円盤使いは再び吹き飛び、今度は倒れたまま起き上がらない。
円盤に装着されていた円環が消滅し、やや後方で様子を伺っていた別の騎士の側に、泥人形が再出現した。直後、円環が破壊され泥人形が崩れ落ちた。
「破滅の魔眼……」
ラクティスの黒衣収穫人は両眼に怪しげな光を宿し、その能力により円環を破壊したのだ。
「いいのか? 俺だけに構っていて!」
フィデス王太子が、自身の目の前で応酬を繰り返す債務者に告げる。
白馬騎士がランスの突きを放ち、債務者がそれを左手で受け止める。
「同時ならどうだ!!」
同時に、逆サイドから炎ゴーレムの拳が迫る。債務者は咄嗟にその拳を右手で受け止めた。受け止めてしまった。
両の手から叩き込まれたエネルギー。それが債務者の体、その丁度中心で衝突し、背中を破って噴き出した。
吹き上がるエネルギー。それを白銀の剣が、切り裂きながら落下する。
マテリの天使が、エネルギーの奔流ごと、まとめて債務者を一刀両断した。即座に消滅する債務者。
「あ! 美味しいとこ持っていきやがった!」
マテリに対しルスフが文句を告げる。が、彼らの頭上から差し込む影が、それ以上の会話を遮った。
これまで静観していた巨像が、彼らの上へと倒れこんできていた。
体を崩壊させ岩石と土砂に変わりながら、ヴァレト達と、そして残った公爵の騎士たちまで巻き込み、石の雨が降り注ぐ。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
叫び、騎士たちが逃げ惑う中、少女が体から透き通ったオーラを噴き上げながら手をかざす。
オーラが形作るのは鎧。無敵鎧は、しかし、いつもよりも倍以上のサイズでそこに顕現した。
申し合わせたように、ヴァレト達はリアが作り出した傘の下へと飛び込む。直後に降り注ぐ土砂や石の雨。しかし、無敵鎧はその程度の衝撃はものともしない。
「ぐぉぉぉぉ……、む、むり、これ、むり、なんか体の中がミシミシ言ってる!」
無理やり鎧をサイズアップさせたリアが、悲鳴を上げる。
程なくして石の雨が降り止むと、リアは即座に鎧を消した。
周囲には、石と土砂に塗れた公爵の騎士たちが倒れている。
ヴァレト達そんな山に囲まれつつも、7人全員が現在であった。
「全く……、5対7では、不利ですな」
団長リオリタスは愚痴りながらも、再度巨像を出現させる。そして、ヴァレト達とは全く関係ない方向へと巨像を倒した。
誰もいない場所へ石の雨を降らせる巨像。いや、そこへ駆け込む人影、もとい、約定体が1体。
再度現出した債務者が石の雨の下へと駆け込み、左手をかざす。その身に石の雨を浴びた債務者は、右手から石礫を水平に発射した。
コピーしきれない石の雨を身に受けた債務者が崩壊していく。崩壊しつつも水平に放出した石礫がヴァレト達に殺到する。
7人はそれぞれに防御態勢を取ってそれを凌ぐ。が、その飛礫の隙間を光線が駆け抜けてくる。
「はぇ!?」
狙撃手が放った光線の目指す先、自分に来ると思っていなかったリアが間抜けな声を上げる。
命中直前、黒衣収穫人がその身でリアを庇う。撃ち抜かれた黒衣収穫人は、崩れ消え去る。
「だい、じょぶ?」
「あ、え、はい」
黒衣収穫人と共にリアの横に駆けつけていたラクティスが、彼女の無事を確認する。お互いに呂律の怪しいやり取りである。
──パチパチパチ
「さすが王太子殿下と、そのお仲間たちですなぁ」
拍手の音と共に、フィデス達の頭上から声が落ちてくる。
公爵邸2階のテラス。そこに新たな人影が現れ、彼らを称賛する声をかける。
「叔父上……」
その人物に向け、フィデス王太子は、自身との関係性を示す名前を苦々しい表情で告げる。
この屋敷の主であるアイム・レギア・ウィル・ドルクス公爵。その人が黒いマントを翻しフィデス王太子たちを睥睨していた。
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<情報開示>
破壊不能で絶対無敵
・3等級(顕現に必要な煌気は3ポイント)
・属性<無色>
・攻撃力:なし 防御力:破壊不能 耐久性:破壊不能
・能力:破壊不能
・【新能力】能力:[煌気を1ポイント消費]:鎧のサイズを変化させる。(ただし、変化できる量は、能力起動前の状態から最大で5割程度)
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<次回予告>
公爵「配下の契約者たちと戦わねばならないと思っているようだが、別に戦わなくても勝てる」
殿下「俺も、攫われたヒロインがいるような気がしていたが、そんなことはなかったぜ!」
殿下「ウオオオ、いくぞオオオ!!」
公爵「さあ来いフィデス!」
フィデスの勇気が世界を救うと信じて…!
ご愛読ありがとうございました!
(これは嘘予告です)
次回更新は、12/23(金)の予定です。




