6章最終話、貴女、だったのですか……
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蜘蛛拳士と天使に叩きのめされた2体の魔族だが、意識を失い倒れているが、どちらも死んではいない。何者の差し金で現れたのか、それを話してもらう必要があるからだ。
「ふぅ……」
しかし敵は撃退した。数秒間"残心"していたマテリだったが、魔族たちが身動きしないことを確認し、息を吐いた。
「お、終わった、のか……? はっ! イグノーラ!」
満身創痍のフィデス王太子は安堵しつつもイグノーラの姿を探し、今だに木に持たれかかったまま意識の無い彼女の元へと駆け寄り──
──パァァァン!
フィデス王太子が光線に貫かれ、「紋章」が付与された。
狙撃手を従える少女は、王太子に狙いをつけながら呟く。
「今しかない。今なら王太子を殺れる……」
本来なら、フィデスの能力に、「狙撃」は効果が薄い。
白馬騎士にはダメージ軽減能力がある。その上、イグノーラの緑エルフが瑪那を供給できるため、狙撃はほぼ無効化される。
しかし、今は別だ。フィデス王太子は直前の戦闘で煌気が尽き、イグノーラは昏倒し意識が無い。
フィデスに向け、複数の光線が飛来する。
「殿下!」
既に回復したマテリが、その身を盾とすべく光線の前に立ちはだかる。しかし、マテリの献身虚しく、光線は全て彼女と天使を綺麗に迂回しフィデスへと命中した。
「ごはっ……」
胸を貫かれたフィデスが盛大に吐血する。直後、胸の傷が光と共にきれいさっぱり消滅した。
「!?」
「頭を護れ殿下!! 体のどこでもいい! 頭以外で光線を受けろ!!」
ヴァレトは不敬覚悟でフィデスに宣言すると同時に、白司祭でフィデスを殴りつけて回復し続ける。
続けて飛来する光弾を、フィデスは言われたとおりに腕や足を犠牲にして受け止める。
狙撃手の少女は、地面に拳を叩きつけた。
「くそっくそっ!! あんな能力は見てない! やっぱり他の"変異"も隠していたか!!」
ヴァレトの能力に悪態をつく彼女の眼前に、天使を従えたマテリが舞い降りた。
「ペラム……。貴女、だったのですか……」
狙撃手と共に居たのは、3人目の騎士爵として学園に入学したペラム・マギクエスであった。
マテリとペラム。睨み合う両者。しかし、接近された段階で狙撃手に勝ち目がないことは明白である。
「貴女の負けです。投降してください」
油断なく天使を構えたマテリがペラムに投降を促す。しかし、そこにもう1人の声が割り込んだ。
「やれやれ、任務達成意識が高いのは大変良いことですが、"契約者"は貴重なのですよ」
黒いタキシード型のスーツを纏い、仮面をつけた男が木陰から姿を現し、ペラムを護るように天使との間に立つ。
「というわけで、彼らは連れ帰ります」
「させると思いますか?」
殺意を漲らせ、天使が切っ先を向ける。
「ええ、問題なく」
男が告げた直後、日の光が遮られた。
「え……」
見上げたマテリは理解した。身長50mには達しようという巨体が出現し、この一帯へと影を落としていたのだ。
その巨体は見ている間にグラリと傾き、マテリ達に向けて倒れこんでくる。
「全員防御だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ヴァレトの声が森に響く。直後、巨大な石像が自壊しながら森へと倒れこみ、ヴァレト達は石塊や土砂の雨に押しつぶされた。
「……、お、お嬢様!」
岩や土砂の山から這い出たヴァレトは、マテリを探して叫ぶ。
「だ、大丈夫です、ここです」
マテリも天使を使って石や土砂の山から這い出した。
それに呼応するかのように、他の契約者たちも次々と姿を現す。
「くそっ、魔族を逃がしたか……」
フィデス王太子が、岩に拳を打ち当て苦々しい表情を浮かべる。が、直後その表情を一変させた。
「イグノーラ? イグノーラはどこだ!?」
フィデスが周囲の土砂や岩を退かしイグノーラを探す。が、彼女の姿はどこにも無かった。
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「おらおらおらおらぁぁぁぁぁ」
ルスフの炎ゴーレムが、燃える拳を、敵の本体へ叩き込む。
男の衣服は炎ゴーレムの炎に燃やされ、すでにボロボロである。にも拘わらず、男自身には目立った傷も火傷も無い。
男は攻撃により吹き飛び、石畳に叩きつけられる。が、再び何事もなかったかのようにムクリと起き上がった。
「くそっ、気持ち悪い奴だ……」
敵本体はニヤニヤと笑みを浮かべつつ、不用意に距離を詰めてくる。
そんな敵に不気味さを覚えつつも、ルスフは攻撃を続けていた。
敵の円盤のような約定体は、攻撃するどころか、近づいてくることすらせず、本体ばかりがルスフに直接攻撃を仕掛けてくるのだ。
明らかに、あの約定体の"能力"が働いていることは確かだ。しかし、それが何なのか、ルスフには皆目見当がつかなかった。
そんな不毛な戦いを続ける2人の眼にも、その異常な巨体は見えた。
"学園の森"に、突然巨大な石像が出現したのである。
「な、なんだありゃぁ……」
思わず攻撃の手をとめ、ルスフは言葉を零した。
見ているうちに巨像は転倒し、鈍い倒壊音と共に、"学園の森"を覆うほどの砂煙を噴き上げた。
「まさか、殿下に何かが!? あっ!?」
ルスフが気が付いたときには、彼が先ほどまで戦っていた相手は消え失せていた。
「一体なんなんだよ!!」
無人の遊歩道に、ルスフの叫びだけがこだました。
****************
「この女は"生かして捕獲"と伝えていたはずですが?」
仮面の男が、肩に担いだイグノーラを指しながら苦言を呈する。
「死んではおらぬなら、過程はどうあれ、予定通りだろう」
黒スーツの魔族が、その指摘に反抗する。
「うっかり、で殺されてはたまらないので言っています」
「それはこちらとて同じだ。契約者3人相手とは聞いていない。貴様らの"うっかり"で殺されてはたまらん」
そう言って、一瞬にらみ合う仮面の男と黒スーツの魔族。
「勘違いするな。我らは貴様らの部下でも同志でもない」
そこに、緑スーツの魔族も介入する。
「……」
それきり、仮面の男は言葉を足すことはしなかった。
無言のまま、襲撃者たちは姿を消した。
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<情報開示>
灰塵の巨像
・3等級(顕現に必要な煌気は3ポイント)
・属性<無色>
・攻撃力:高 防御力:低 耐久性:超低
・特徴:身長50mの巨像。高い攻撃力を持つが、関節が存在しないため、動くと自壊する。
信じる者は救われる
・3等級(顕現に必要な煌気は3ポイント)
・属性<白>
・攻撃力:なし 防御力:並 耐久性:並
・能力:飛行
・能力:この約定体が存在する限り、本体がダメージで負傷、死亡することはない。
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<次回予告>
リア「……」
ヴァ「どうしたんですか? 柄にもなく静かですね」
リア「……6章最後だよ? 小生、マジで出番無いとか思わないじゃん?」
ラク「あ、あの……」
ヴァ「"森"に駆けつければよかったじゃないですか」
リア「Hey You! お主らみたいな"使える"契約者と一緒にするなよ! 体力だってヘッポコだからな!!」
ヴァ「自慢になってない……」
ラク「ごめ、お、俺が……」
リア「これは、次回こそ! 1話丸ごと小生祭りの開催が必要ですよ!」
ヴァ「話が進まんでしょ」
ラク「そ、それ、俺も……」
リア「進めるよ! 小生ガンガン進めるって! 乙女ゲー経験者なめんな!!」
ラク「お、おとめげー……?」
ヴァ「なら、この先のイベント教えてください」
リア「そりゃぁ、あれですよ、あれ。えっと……、ここまで出かかってるんだけど、あの、それだよ、うん」
ヴァ「だめじゃん」
次回:ラスボスはリア
(これは嘘予告です)
「いや、ソレだけはナイ!」
次回更新は、12/16(金)の予定です。




