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第77話「タンドラ王国のファイネル教」

 翌朝、ちょっと早起きして、朝食を食べに食堂のある兵舎へ向かう。


「あら、ノノ、早いわね」


 同じような時間に寝たはずのエミリーさんが既に食堂で朝食を食べている。

 

「早くないですか?」


 私はそう言いながら、食堂で用意されている朝食を取って、エミリーさんが座っている窓際の二人席、エミリーさんの真向かいに座った。


「この後、商隊と打ち合わせがあるのよ。その打ち合わせが終わったら出発になるわよ」


 なるほど、打ち合わせがあるから早いのか。


「出発って、もうちょっと早いんだと思ってましたが?」

「昨日こともあるから、なるべく早く王都の状況を確認したいというのもあるのよ。でも、商隊はそこまで早く動けないので、商隊の護衛部隊から早馬を出すことにしたみたいよ。それで行程の見直しをして、その情報共有が終わり次第出発よ」


 そうか。行程の見直しも必要になるのか。


「そういうことだから、行くわね」


 そう言って、エミリーさんは食べ終わったトレーを持って席を外して、出て行った。


 暫くすると、残月の他の団員が数名、入ってきた。


「ノノ様、おはようございます」

「エミリーから聞きましたが、タンドラ王国の西方領が落ちたそうですな」


 グラインさんがそう言いながら真向かいに、ステファンさん、ゲンジさん、フィルさんが横の空いてる4人掛けのテーブルに着いた。


「そうみたいですね。私も昨日聞きました。それについ先ほど、打ち合わせがあると言って、エミリーさんは商隊の方へ出向いていきましたよ」

「後ろ姿を見ました。丁度、兵舎から出て行くとこでした」

「出発はいつ頃か、聞きましたか?」

「そこはあまり変わらないみたいですよ」


 ステファンさんに聞かれたので、エミリーさんから聞いたとおりに伝える。


「日程が早くなるんじゃないかと、フィルやゲンジ達と話していたんだが、ステファンの予想どおり、あまり変わらんみたいだな」


 正面に座っているグラインさんが確認してきた。


「行程を見直すとも言ってましたから、タンドラ王国へは予定より早く着くことになるかもですが、商隊全体がそこまで早くは移動できないですからね。先発隊を出して情報を収集するっぽいですよ」


 そんなを話していると、他の団員達も食事にやって来た。


「あ、ノノ様!」


 シンシアさんとレミさん、ルイさんがこっちに来た。


「ルイさんから聞きましたよ、正式に弟子にされたそうですね!」


 レミさんが騒がしい。こんな人だったけ?


「ほう、それは。やはり、魔王軍絡みでですか?」


 グラインさんが確認してきた。


「それもありますけど、タンドラ王国の教会の制度が、ちょっと問題有りかなと。まあ、国毎にある程度の裁量権があるので、仕方ないとは思いますが……」


 そう、ファイネル教は国毎にある程度の裁量権がある。教義から逸脱しすぎない限りは、その国の教会のやり方に介入はしないと、このファイネル教の経典に書いてる。


 ……だからと言って私がそれに従う謂れはない。


「確かにそうですね。教会の運営にお金がいるのは分かるんですが、あまりにも金満体質過ぎて、オーガスチン師がタンドラ王国教会本部で改革に力を入れていたんですが……。いろいろあって、師が出奔を決意されましたので、無理を言って行動を共にさせて貰いました。残ってもオーガスチン師の弟子ですからね」


 なるほど、レミさんとオーガスチンさんはタンドラ王国出身なのか。ならタンドラ王国のこともよく知っているハズだ。


「レミ、その話は以前も聞いたが、タンドラ王国のファイネル教はそこまでなのか?」

「そうよ、グライン。お金が続く限りは教会は味方してくれるわ。他所の国では考えられないことだけどね」

「レミさん、お金がない人たちは?」


 気になったので聞いてみた。


「特に何もされないわ。助けてもくれないけど、何かをされるわけでもない。居ないものと見なされてるわ。勿論、お布施・献金があれば、その額に合わせて見返りはあるの」


 金満主義かー。宗教としてどうかとは思うけど、司祭も食わねば生きては居られない。

 問題はその金額が妥当かというと、タンドラ王国は、といった感じなのね。


「レミさん、いろいろ勉強になるわ。私が以前、訪れたときは、そこまで酷くは無かったんだけどね」


 そう、ザッと50年ぐらい前は、他の国と変わりは無かったんよね。


「ノノ様がいつ訪れられたのか、興味がありますが、その、何というか少なくとも今の教会トップのマンデラ司祭がその地位に就いたのは30年前ですよ。それ以前に訪れたということですか?」

「まあ、そうなりますね。少なくとも50年ぐらい前だと思いますよ」


 辺りがざわめいているが、嘘ではないのでしょうがない。


「さあ、この話はこの辺で。食事急がないと、食べずに出発になりますよ」


 話を聞きながら食事もしていたシンシアさんがそう告げる。


 ルイさんはいつの間にか、グラインさんと席を替えたようで、私の前で静かに朝食を取っている。


 ルイさんって、以外に肝が太いよなー。とか思っていたら、食堂の入り口にエミリーさんが居た。


「準備が出来次第、出発となったから準備をして、集合して頂戴!」


 どうやらタンドラ王国との国境へ向けて、出発することになったようだ。



誤字・脱字は見つけ次第、修正しています。

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