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東亜戦記  作者: 栗林
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第六話,黄海海戦1

11月7日早朝、連合艦隊は黄海へ進入した。

高杉中将率いる高杉機動部隊はほかに存在するどの機動部隊よりも精鋭であった。


一方中国海軍北海艦隊は旧式の装備ではあるが新鋭空母2隻が存在。

中国も機動部隊を持っていたのであった。

上海では丁度、韓国・台湾・フィリピンの海軍が中国海軍を足止めしていた。

そのすきに日本海軍は黄海へと進入したのである。


だが中国も防衛体制にはいっておりこの地域の防衛を担当する北海艦隊のほぼすべての

兵力を日本海軍に差し向けたのであった。

毛は機動部隊司令官瑚中将にこう述べた。

日本海軍には兵器の質で劣る、だが兵士の能力は我が人民のほうが上である、と。



一方の高杉は、不安な事を抱えていた。

それは日本海軍は、第二次世界大戦以来機動部隊同士の海戦をやったことがないのである。

訓練はよくされているがはたして大丈夫なのだろうか、と不安で仕方が無かったのである。

「提督、どうしたのですか?」


「君は、角川君ではないか」

角川才吉、海軍少将。第二航空戦隊司令官。

巡洋艦「魁」の艦長を務めていたが航空機や空母機動部隊に興味をもちそっちに走った。

指揮官としても優れており海軍は第二の多聞として彼を重視していた。

長年機動部隊同士の決戦について研究してきた彼。黄海で起こることが予想される

この海戦は、彼の知識、能力すべてが発揮される瞬間である。

「いよいよですな、敵海軍も空母をもっているとのことですな」


「ええ、まったく驚きですわいあの中国がまさか航空母艦を持つほどになるとは」

「我が海軍はしばらく、機動部隊による戦いは行われなったので、不安な所はあるが。

 それは敵も同じだろう」


「ええ、敵は新設したばかりだといいますからね」

共に不安要素はある。日本海軍がやる事は二つ。

黄海及び渤海の制海権を得る事と北海艦隊司令部のある青島への攻撃である。

(青島にはいずれ海兵隊の上陸が予定されている)

その頃、中国海軍は…


「敵は4隻の空母を率いている、こちらは2隻。劣勢は明らかである」

「しかしここで日本海軍の侵攻を止めなければ制海権を失いこのあたりの戦局は日本軍優勢へとなってしまう」

「我が艦隊は大損害をうけても、敵艦隊の撃滅を行わねばならぬ」

「ただし艦艇の数は敵よりもわがほうが多い、つまり勝てるのだ!」

勝利を確信した中国海軍北海艦隊総司令官 巴中将はこう熱弁していた。

彼は海軍内でもエリート中のエリートで、空母が配備されたのはつい最近であるにも

かかわらず空母機動部隊同士の戦いがどんなものか大体の理解はできていた。

問題は今回が始めての機動部隊同士の戦いだということだけである。


*一方原子力空母「天鶴」甲板*

「笹川中佐」


「はい」


「…頼むぞ」


「お任せください」

天鶴艦長と海軍航空隊の笹川中佐は握手をする。

甲板は飛行機のエンジンの音が響きあまり会話は聞こえない状態である。

今から、笹川大尉率いる第1次攻撃隊が出撃するのである。


轟音を響かせながら30機は次々と発艦してゆく、はたして何機が生き残るだろうか?

*黄海上空*

「古賀少佐、こんなところへ志願してきやがって貴様もどうかしておる」

「中国海軍航空隊は第4.5世代ジェット戦闘機を持っている、迎撃されたらただじゃすまないだろう」


「天鶴飛行機隊隊長が笹川先輩と聞いて心強いです」

「覚悟はできております」


「まあ、空中戦は飛行機の性能ではなく、腕が最も重要だからな」


「隊長!右前方30度、まもなく敵機がきます。数は50」


「大編隊できやがったか、行くぞ!」

第一次攻撃隊の任務は制空である。敵艦への攻撃は中国軍の航空兵力が消耗してから行われる予定である。









天鶴飛行機隊は迎撃にきた50機を相手に戦いを挑むのであった。

(よし!)

「ゴォォ…」

ミサイルが勢いよく放たれ、外れるものもあるが炸裂すれば火達磨になって落ちる。

笹川中佐の放ったミサイルは見事に炸裂した、パイロットは脱出したがそのパイロットに

笹川は最大の敬意を払って敬礼をするのであった。


熱風とSu-30は激戦を展開した。

(敵の海軍もなかなかやるな)

そう思いつつ笹川は機体を急旋回させた、この旋回は中国軍にはできない。

日本海軍航空隊は世界一練度が高い航空隊と言われている。

戦闘機同士の空中戦ならどこの空軍を越えるとも。


もちろん、真似をして日本海軍と同じように動こうとする中国軍機もあった。

だが9GものGに長時間耐える体ができていない、日本海軍はあの予科練の厳しい訓練に

現代技術が加わった事により、さらなる凄腕パイロットが生まれるのであった。

「ブオオ…」


「!!」

笹川の機のうしろから機関砲のような音が聞こえた。

ピュンピュンピュン!!

数発が機体に命中した、幸い熱風はまだ戦闘可能である。

だが笹川を撃墜しようとした中国軍機はしつこく追ってくるのであった。

「メーデー!メーデー!パワーが足りない!誰か追っ払ってくれ!」


「隊長!私は今隊長機の近くにおります!」

古賀少尉は丁度2機の下を飛んでいた。

「古賀少尉、そこから回りこめるか?」

笹川は必死に逃げる、そのとき後を追う中国軍機にバルカン砲の弾の雨が降り注ぐ。

古賀少尉の威嚇射撃であった。

「すまない」

笹川は部下に助けられ恥ずかしいと思いつつも素直に礼を言った

だがその時!

「ゴオ!!」


「古賀少尉!」

古賀の機体に突如ミサイルが命中したのであった。

「…よかった、脱出したか」

「心配するな、後で海軍救助隊が必ず助けに来る」















*空母「南雲」*

「お伝えします、第一次攻撃隊は30機で出撃、23機を撃墜、予想を遥かに上回る大戦果です」


「そうか、では次は私の第二航空戦隊の出番だな」

「一次の二波と第二次攻撃隊を出撃させよ」


「は!」

その後、古賀ら、撃墜され脱出したパイロット達は敵味方問わず救助隊に助けられた。

これまでにも朝鮮半島での陸軍と陸軍の戦いで中国、満州兵捕虜を捕らえたが日本の捕虜に対する

待遇は第二次世界大戦時と比べるととてもよいものであった。

国際法を厳守し、捕虜を丁重に扱っていた。


対する中国、満州の捕虜の扱いは非難をうけるものであった。

捕虜が多いと足手まといになるだけなので虐殺されたり時には実験台にされた。


また中国・満州兵は捕虜になる事を禁じられていた。

日本の捕虜になると実験台にされ一箇所に集められて機関銃で虐殺され、

顔の皮を剥がされたり手足を切断されたりすると、上は兵士達に教えている。

その為、日本の捕虜になると話が違うじゃないかと思う兵士は多い。

…というか全員がそうであった。


食事も高水準であった。

*内地*

「…これって?」


食堂のおばさんはやさしく捕虜へ言った。

「これぐらい安いよ、たっぷり食べなさい」

今回出されたのはちょっとした定食であった。

量は兵士だからよく食べるとして、多めである。

しかも味はおいしい。

「…」

兵士は涙を流すものが多かった。

「どうしたの?日本食は嫌いかしら?」


「いえ…ありがとうございます、こんなうまい飯は始めてです…」


「あら、じゃあたんとこお食べ」

日本にはまだこういう面で余裕があった。

しかしその余裕はいつまで続くであろうか?

そして、黄海海戦の結果はいかに?










次回:

黄海の戦いはさらに熾烈さを増す。

一進一退の攻防戦はさらに続く。



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