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東亜戦記  作者: 栗林
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第五話,日米首脳会談

2005年11月3日、帝都東京…

*羽田*


「おお!エアフォースワンだ!」


「本物は始めて見たわ」

羽田空港ではいつも以上の賑わいを見せていた。

今日は米国大統領、ジョージ・S・アンブッシュが来日。

翌日の日米軍事会談の為である。



日本はアメリカのおかげで現在まで強国として存在しているがアメリカは日本に対して

弱腰であった。かつて弱いとなめていたこの国に負けたからであった。

羽田空港では警察や憲兵隊による厳しい検問があるも大統領来日のシーンを一般公開した。

大統領機の近くには軍楽隊がずらりとならんでいる。

今日の為にアメリカ合衆国国歌を練習してきたそうだ。



飛行機の扉があくと、同時に軍楽隊がアメリカの国歌を演奏し始めた。

ゆっくりと、飛行機を降りてきたアンブッシュ大統領はとても嬉しそうな表情であった。

そして、正面に立っていた宮田首相と、それは日米友好を象徴するかのようなかたい握手をした。



宮田首相も笑顔を見せていた。

ちなみに日本の総理大臣がアメリカにいっても似たような扱いをうける。

最もアメリカの軍楽隊が演奏するのは日本の国歌ではなくたいてい陸軍分列行進曲か軍艦行進曲である。


「いやぁ、俺大統領生で見たの始めてだ」


「宮田さんと仲よさそうだわ」

日本国民の皆様も笑顔でその光景を見ていた。

かつて敵対していた両国も今となっては強固な絆で結ばれていた。

冷たい戦争がきっかけで。



その後、総理、大統領らは防弾された坂井自動車が製造した「坂井八八」で宮城へ向かった。

これまで来日した歴代大統領も日本を訪れた礼儀として天皇陛下と面会していた。

アンブッシュも天皇と面会したいと自ら言った。



*宮城*

厳重な警戒の中アンブッシュらは天皇の下へ向かう。

「お久しぶりであります」


今上天皇「昭仁」

「おお、お久しぶりですなアンブッシュ殿」

「短い間と聞いておりますが、どうぞ我が日本でごゆっくりしていってください」


「ありがとうございます、天皇陛下」

その後、大統領は厳重な警戒の元都内のホテルに宿泊した。

翌日、首相官邸にて各大臣を交えた形で日米首脳による会談が行われた。

会談は何時間にも及んだが一番おおきいのはやはり今日本中心とする大東亜共栄圏諸国と

中国、満州軍の戦争である。

「こちらとしても、日本に協力したい、イラクやアフガンをEUに任せておいて陸海空軍25万ほどを大陸に送ろう」

アンブッシュ大統領は日本と共に最後まで戦う意志だ。

日本としてもアメリカという味方は頼もしい、はっきり言えば大東亜共栄圏に加盟しているどの

国よりも強くまた一番か二番を争うぐらいの友好国である。

「大日本帝国は大きい、そして強い、我々も素直に認めることです」

「ですが、質で大きく劣っていた中国や満州も近年は急速な近代化を遂げている」


「それは我が陸軍も承知であります。あの戦車の上部さときたら複合装甲を使用しているの

 ではないかという疑惑もあります」

そういったのは陸軍省大臣吉村正二である。

反攻開始から1ヶ月、朝鮮半島のすべてを奪還しそこで進軍を止めた陸軍であるがその途中に

出くわした中国軍の戦車の一部はとても頑丈であった。


九〇式戦車の120mm砲でさえ貫くことが困難なほどである。

ただしお互い上部で2〜3発宛てなければ貫けない、一部の戦車の性能が日本軍のものに匹敵している。


だが問題は別にあった。

「このまま戦争が長引けば…日本は負けるでしょうね」


「物量…ですな」

「質で勝ってても、戦争は物がおおければ負ける、第二次世界大戦のヨーロッパを見ていればよくわかることですな」


「最近の中国及び満州の兵器は西側陣営の兵器も参考にしています、つまり東側の簡素なものよりも高度で精度も高い、のです」

日本としては、いくら大東亜共栄圏という連合を組んでいても基本的な資源や人員で中国や満州に不足する、特に人員は深刻だ。

アンブッシュ大統領の指摘では両国人口あわせ13億、正規軍だけでも一千万を越えるがさらに

国民が根こそぎ徴兵された場合人員は1億を越える、それだけの相手をするには人も弾も足りないのである。


アメリカも鬼畜レベルの物量を誇るが今の中国と満州はそれを上回る。

現時点で質では日本やアメリカの勝ちであるがもし質でも追いつかれたら。

「アメリカは全面協力をしましょう、この戦争で朝鮮半島をぶん取られ日本が敵の手に

 堕ちた場合、世界中に大きな影響をもたらす」

日本には職人がおりその職人が職人芸でつくりあげたものは様々な製品に使われる。

世界中の軍需品ですら日本の職人なしにはつくれないのである。

日本がなくなることは世界に大きな影響をもたらすのである、しかもここでは口にしなかったがアンブッシュは

日本という防波堤がなくなれば中国や満州はすぐに太平洋に展開しアメリカにやってくると考えていた。


日本や大東亜共栄圏諸国はもちろんアメリカはおろか世界にとっても日本には負けてほしくないのである。

だが日本には有利な点がある、簡単に敵国の情報が入るのである。

政府のトップ3に入る温の情報提供のおかげである。

彼は11月の時点で完全に毛の考えに反対し忠実なふりをしている反面裏では日本やその同盟国に支援をしていた。


中国からみれば裏切り者である。

そのときである、建物の外からものかごい声が聞こえた。

「なんだ貴様は!!」


「放せ!日本帝国主義者め!!」

「俺は許さんぞ!!日帝も米帝も!!首相と大統領をぶっ殺してやるぞ!!」

男はいかにも中国人といった顔つきであった。

勝手に首相官邸に忍び込もうとしていた所を憲兵隊にとりおさえられたのである。

彼は憲兵の手をほどき木々の中に逃げ込んだ、憲兵は追うがそのご銃声が聞こえ、数十分後中国人はブルーシートに包まれ担がれていた。


「…中国か満州のスパイでしょうか?」

アンブッシュが訊いてきた。

「多分…でしょうね、しかし自決してしまうとは…」


「どうやら私は、日本にいると危険な目にあいそうですな」


「ははは、大統領それは私もですよ、左翼や工作員が多いですからね。

 最近は軍の護衛までつくほどです」

…とはいうが宮田は軍に中国人と満州人を匿うよう命令している。

中国、満州では国民が日本人を反日団体が虐殺している、一方の日本にもそういった団体はあり戦争開始後すぐに

機関銃を持った人たちが中国・満州人を虐殺していった。

しかし宮田はそんなことではいかんと、軍に彼らを匿うように指示し現在軍が厳重に警戒する

中施設で平和に暮らしている。学校という施設もあり子供は母国の言葉で勉強している。

もちろん日本語の時間はあるが授業は基本中国語で行われている。



新たに新設された軍内にある在日少年学校では軍人じゃない普通の人が教師を務めている。

軍人が教師なのはさすがにちょっとという宮田の方針である。


一方で外交面では中国、満州に厳しく接している。


翌日、大統領は途中まで空軍の戦闘機の護衛がつきアメリカへ帰還した。

一方戦場では。


日本・韓国・台湾軍は中国本土を爆撃していた。

この時配備されていた新富嶽はかなり数が減ってしまった。やはり現代では新富嶽は力不足であった。



変わりに八九式戦略重爆撃機を投入した。

現在までに93機が生産されたこの機はステルスではないものの爆弾搭載量は天龍より多い。

また天龍よりも安価かつ音速での爆撃も可能であるので見えない爆撃機として期待された天龍よりも評価が高く

生産数も多い。


天龍は12機しか生産されていない、コストがあまりにもかかるのである。

B-2をモデルにしただけあって開発費はB-2のそれを越す。

それなら天龍より八九式を生産したほうが効率もよい。



ちなみに、中国と満州の国境は日露戦争の激戦地、奉天あたりである。

ここは戦後すぐの侵攻でも激戦地となりその戦後ここを国境とした。



-閑話休題-



11月6日、4隻の原子力空母含む30隻あまりの、各地の基地から送られた艦艇による連合艦隊は黄海、渤海の制海権を得るべく、上海を台湾・韓国・フィリピンの多国籍艦隊に任せ

青島や烟台、威海の海軍基地を奇襲しようと、その場へ向かっていた。

だが対する中国軍は山東半島近海に空母2、駆逐艦8、フリゲート5、原水6、その他艦艇8隻が浮いている。


これは貧弱と言われる中国海軍北海艦隊の大半の兵力であった。

ただし数なら日本軍の上をいっている。

ちなみに中国の空母の動力原子力ではない、2隻あわせて搭載できる機は140機ほどである。

対する日本海軍の4隻は旗艦「南雲」ほか「紅龍」「雷鶴」「天鶴」。

特に南雲はかつて太平洋で恐れられた南雲長官(功績が認められ戦後山本の後任となった)の

名をかりているにふさわしくニミッツ級に匹敵する規模と能力を備えている。


ただしお金がかかるのでこれほど巨大な空母は南雲1隻しか造られていない。

なおこのほかに大型正規空母は8隻存在する、アメリカよりも多く保有しているが

南雲以外はニミッツより多少小型である。



なおアメリカを真似て原子力空母を10隻造ったら海軍の予算だけやたら高くなったという。

(残り2隻は通常動力)


アメリカを上回ると言われている日本海軍、そして北海艦隊のほぼすべての兵力を

つぎ込んだ中国海軍、黄海、渤海を巡る海戦は大規模になりそうである。




次回:

高杉幸作中将率いる高杉機動部隊は黄海へ突入。

そこで北海艦隊のほぼすべての兵力と衝突した。

WW2、経験していない空母機動部隊同士の対決に日本海軍は勝つことができるのか?



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