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東亜戦記  作者: 栗林
3/14

第三話,新富嶽

9/1 誤字修正

*10月1日早朝-平壌空軍基地*

*本営*

1人の飛行士が机を叩き

飛行第12師団長である下原中将を責めていた

「師団長!我が爆撃隊には最新鋭ステルス戦略爆撃機天龍があるではないですか!

 それをなぜわざわざ新富嶽なんぞの時代遅れ戦略爆撃機で出撃する必要があるのですか!」


天龍とは、B-2を参考に中島飛行機が

独自開発したステルス戦略爆撃機である

B-2並にレーダーに映りにくくしかもB-2よりも大型で

爆弾搭載量はB-2よりも僅かに上である

そのくせ最高速度はB-2とほぼ同じレベルで世界からはB-2のパクリと

言われているが細部こそB-2と異なっており

運用開始は2004年



新富嶽も中島飛行機が開発した6発大型噴進戦略爆撃機である

B-52よりも巨大で爆弾搭載量も半端なものではなかった

しかしその大きさがベトナム戦争での大損害を生み

初期型はほとんどが空対空ミサイルや地対空ミサイルで失われた



改良を重ねつつも現代まで運用されているが

それでも何世代か古い飛行機である

だがB-52よりすごいんだとみせつける為大量に生産した

日本空軍はこの新富嶽を置きかえれるほど爆撃機を生産できなかった


(スペックは現在の六三型)

最高速度923km/h 航続距離17500km

武装・九七式30粍機関砲(上部、尾部にそれぞれ一門)

九二式空対地噴進弾か八七式巡航噴進弾を20基

七九式通常爆弾を胴体内に88発も翼下に28発


ちなみにレシプロ機の富嶽爆撃機は1947年初飛行、1949年運用開始と

同期のB-36に大きく遅れをとり、計画より遥かに遅い680km/hが限界であったことと

大型すぎるわりにB-29より弱武装だったので朝鮮戦争では

B-29よりも多く損害を出しており当時軍は当初より100km/h遅く

航続距離も減ったもののそれでも渡来の爆撃機より遥かに高性能で

本機に期待していたのだがそれは大ハズレでまた1951年に登場した

2発噴進爆撃機「連龍」のほうが早く爆弾搭載量は少ないものの

富嶽よりも重武装で防御力も十分ありまたジェット機なので富嶽よりも高速であり

あげた戦果もこちらのほうが多かった



ちなみ新富嶽は総生産数は量産を想定していないにも関わらず

897機と先に登場したB-52を上回っている

そのうち現在56機が現役である

このうち32機は湾岸戦争で使用された

また名前こそ富嶽がついているが基本設計は大きく変更されている



だが、B-52でさえ時代遅れが

指摘されているのにかつてB-52よりも

大きな損害を出し改良されたとはいえ

今配備されている中国・満州軍戦闘機のどれでも

迎撃が可能である当機をなぜ、この戦争つかわなければいけないのか

一番機の大蔵機長は不思議であった


「…」

下原中将はしばらく黙り込むが

すぐに口を動かした

「…心理作戦だよ」


「し…心理作戦?」


「確かに新富嶽は彼らの飛行機に1〜2世代劣るかもしれない」

「だが、いくらなんでもそんな時代遅れの爆撃機にやられるわけがない、と

 中国人は思っている」


「彼らは士気が高いがあの機で無事爆撃ができれば

 敵の士気は大幅に低下することだろう」


「しかし師団長!新富嶽は湾岸戦争で

 ほぼ制空権を握った状態でも数機が失われています!」

「中国上空の制空権は中国のものです!ここは天龍で行くべきです!」

だが、下原師団長は考えを

改めなかった

「いや、富嶽でやったほうが効果がある、頼めないか?」

あまりに真剣すぎる上官に

流石の大蔵も逆らうことはできなかった

「わかりました…ただし生きて帰ってくる保障はありません」


「心配はない、韓国空軍のF-16が、しかも中の人は空軍内でも

トップレベルのものが8ほど護衛につく」


F-16は日本空軍にも配備もされている

その軽快な動きは日本海軍航空隊の戦闘機では

ついていけないほどであった、その事から

第二の九七式戦闘機と呼ばれ逆に空軍からは第二の零戦と呼ばれている


「発動機始動」

老兵のジェットエンジンは

順調に始動した

「我の発動機快調、他機は?」


「快調です」


「よし、命令を待て」

10分後…

「全機に告ぐ、出撃を開始せよ」

その瞬間爆撃機達は

エンジン音を唸らせゆっくりと加速してゆく

十分な速度に達すれば操縦桿をひき離陸を始める

6機の爆撃機と8機の戦闘機は順調に離陸し爆撃目的地である

大連、蓬莱へと向かった













中国領空に入っても地対空ミサイルが飛んできたり

戦闘機による迎撃はなかった

もちろん中国軍にもレーダーはある

いくら悪くてももう移っててもおかしくない時である

「おかしいですね、敵はまったく侵犯を対処しませんよ?」


「よし、チャンスだ、このまま無事にいけば我々は無傷で帰れる」

はたして中国軍はなにをやっているのだろうか?

それは彼らに知る術はない、一方


*大連*


「大丈夫なのか?レーダーが故障って」


「心配ないですよ、日本も韓国も中華民国もヘタレですから

 我が本土を爆撃する気なんてありませんよ」

中国の防空体制はそれは建設当時の大東亜共栄圏以上に

ずさんであった、レーダーが故障したのなら

予備の移動式レーダーがありそちらを使用すれば

大体敵がくるというのはわかるが、ここ大連の中国軍は

それすら行わなかった、これは大失敗であった



結局、爆撃隊を捕らえたのは山東半島のレーダー基地であった

「閣下、国籍不明機が大連へ」


「レーダーが故障していると聞いていた、警戒するよう伝えろ」

「こちらが管制をおこなう」

だが大連の中国軍は山東半島の警告を

敵はきていない、人民の視力でなんとかなる、我々は無敵と

いう根拠もない理由である


山東半島のレーダー基地の人々は

この回答に唖然とした、ここの人たちは中国の中でも

まともな人々の集まりであった


その後も何度も呼びかけた、のだが

大連は拒否を続けた

「…もう私は知らん!」

彼は大連を捨てた


一方爆撃隊は大連上空に迫っていた

「目標…大連港…」


「よし、こちら機長、投下しろ」


「よし!投下だ!」


「投下!」

扉があきそして

黒い物体を何十個が連続で落した

「蓬莱も爆撃するから40発ぐらい爆弾残しとけよ」


「了解」

投下された爆弾は

なにも言わずに工業地帯へと落ちていった

6機の大型機から半分以上も爆弾が投下され

さらに地上は各種工業を扱う地区である事から

爆弾の効果はよりいっそう増す



この情報を知った大連軍は…

「誰だ!移動式レーダーを設置しなかったり山東からの報告を無視した奴は!」

「すぐに迎撃機を!それから貴様!貴様は処刑だ!」

ここの指揮官はご立腹であった

不安であったのに部下の行動で大連が爆撃されたのである

たまたま飛んでいた偵察機より写真がとどいた

「…おのれ…奴らステルス爆撃機を持っているはずだ!

 なぜこんな時代遅れ機で!しかもなんでこんな低空で!」

それは、自分たちがなめられているかのような

写真であった…

「一機たりとも残すな!全部撃墜しろ!」



一方、爆撃を終了し

次の目的地へ向かうべく高度をあげる

爆撃隊の皆は…

「日本機を告ぐ、敵戦闘機2機襲来、我々は迎撃にいきますのでここで離脱します」


「了解した」

F-16二機が中国機と戦うべく

ここで離脱した

「きずくのが遅いですな」


「低空でやったのにな」


「だが、これで中国人に心理的にダメージを与える事はできるのだろうか?」


「さあな、まあ工業地帯をやったんだ、少しは効果があると思うぞ」

その後、爆撃隊は蓬莱市にある

戦争勃発前に新たに造られた兵器生産の為の軍工廠へ向かった

そこを爆撃しすこしでも工業力を減らすと共に、時代遅れの飛行機で

爆撃したことにより心理的にダメージを与える。下原師団長の作戦であった

「見えました、蓬莱です」


「こちら韓国空軍!敵迎撃機8!」


「このままだと護衛がいなくなるが離脱を許可する」

こうして、敵機迎撃の為

すべての韓国機か新富嶽爆撃機のそばからいなくなった

戦闘機に対し圧倒的に劣勢である新富嶽

はたして蓬莱爆撃は成功するか


目標が近づくにつれ高度を下げてゆく

人々からも見えるような所から爆弾を投下

だがそれによりどんな機体を使っているかをわからせる



*軍工廠*

「なんだ?この音は?」


「解放軍の訓練じゃないのか?」

そのとき彼らの見ている前に爆弾が落ちて着て

空を見上げると6機の大きな爆撃機がいた

「違う!日本の爆撃機だ!!」

時すでに遅し、爆撃はもうそろそろ

終わろうとしており工廠もかなりの

ダメージを受けていた

「撃て!一機でもいいから落せ!」


中国の軍工廠も

高射砲で応戦した



「奴ら高射砲を撃ってきましたよ」


「ボフォースか、いつの軍隊だ?」

そのとき、機長、大蔵が横を見ると

3番機がエンジンから火を噴いていた

「まずい!あの感じは高射機関砲が命中したのか!?」


「爆撃終了です!」


「よし、即座に帰投する」

爆撃隊はすぐに工廠から身を引いた

爆撃作戦は成功した…数時間後…


「そうか、新富嶽2機と韓国のF-16一機か…だが君達は予想以上の戦果をあげた

 今日はゆっくり、休んでくれ」

下原師団長は今までに見た事がないぐらいの笑顔だった

部下がさると表情を変えたが…

「…普通に考えれば…今となってはあんなボロで…ひどい任務だ、ムリをさせてしまった」

だがこの攻撃は中国に大きな影響を与えた

毛主席は非常に怒っていた

「我が最強の人民解放軍がなぜ!なぜベトナム戦争よりも

 前に開発された爆撃機に重要な拠点を爆撃されたのだ!」


「しかし主席…」


「大連と蓬莱、そして管制を行わなかった山東の司令官は公開銃殺だ!」


「だめです主席!司令官の育成には時間がかかります!

 無闇に殺害していっては!軍の弱体化を進めるだけです!」


「温!私に逆らうとどうなるかわかっているか」


「…か…かしこまりました…」

その後温は三人を暗殺したと報告

さらに毛により日本殲滅大作戦開始宣言が行われ

洗脳されている人々は日の丸を燃やしたり国鳥を惨殺したりした


だが、半数は中国や満州はおかしいと思っている人がいた

だが温は、彼らを殺す事はなかった

彼がこっそり建設した施設に閉じ込めただけで

司令官のみを変えたのである


温は元からであったものの今回の事で毛の言う事に

さらに反感を覚えた



*その頃、内地*


「大本営空軍部発表、本日早朝新富嶽による爆撃隊が

 中国本土へ決死の爆撃を敢行、見事な戦果をあげ無事帰還せり」

「今後空軍部はしばらく、中国本土を爆撃するとのことであります」

その後、今度は敵は幾万が流され

またテレビでも映像付きでほぼ同様の内容が放送され

日本国内は久々に勝利ムードでにぎやかになった



しかし下原の思惑通りにはならなかった

たしかに目撃者はショックをうけたが中国は

古い爆撃機にやられたことを隠蔽した

(中国の報道では最新型の爆撃機)


だが、この報道は

嘘にちがいないと思う人は国内に半分ほどいた





次回:

中国は本土爆撃の報復として逆に

日本本土爆撃を行おうとした

日本は中国から飛来する爆撃機をすべて

迎撃することができるだろうか?

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