第一二話,ワシントンにて
一方ワシントンでは各国首脳による会談が行われた。
チャパエフ大統領と宮田首相はモスクワにて会談を行っている為代わりにロシアからはウラジミール・プーチン首相が、日本からは加藤憲一郎国家戦略大臣ら数名が出席した。
「今や中国及び満州は人員だけを見れば世界最大軍事大国と化している」
アンブッシュ大統領が各国首相や大統領に語りかける。
「しかし、噂では毛の恐怖政治がああなった原因だと言われております」
そういったのはプーチンだ。たしかに毛が主席になったあと控えめになりつつあった中国と満州が再度燃え上がりしまいには多国籍軍vs中国・その傀儡の満州になってしまったのである。
その事をよく知るのは加藤だ。
主に中国の軍事行動を温が日本に密告しておりその密告の元日本は作戦を立て戦っているのである。つい先日多国籍軍は奉天にて中国軍を打ち負かしこの地を占領している。
その頃、モンゴル・ウランバートルでは…
ジュドーン!!!
「突撃!!」
「萬歲!!!!!」
中国兵、満州兵が大兵力でロシア・モンゴル軍に突撃する。
すでに首都以外は占領されておりモンゴルの戦況はロシア・モンゴル軍にとって最悪であった。
一方弾薬が残り少ないロシア兵も最後の賭けを行うのだった。
「ураーーーーー!!!!!(ウラー、ロシア語で万歳の意味)」
タタタ…
ほかロシア軍には装甲車の支援もあった。
「アバルキン大尉!前方に敵歩兵多数!!」
彼らが乗っていたのはBTR-90装甲車、ロシアはこの戦いに新型の兵器を大量に投入しまた陸軍の三分の一をここモンゴルに送り込んだ。
だが数で圧倒されもはやモンゴルで戦い続ける事は陸軍の壊滅を意味するのと同然の状況であった。
「撃ち方始め!」
7.62mm機関銃を撃ちながらかなりの速度で走った。
タタタ…
歩兵には十分有効な武器である。
しかし戦車に対しては無意味でありそれは30mmでも同じであった。
「99式です!」
「対戦車ミサイル用意!」
「ただいま照準を合わせています」
この装甲車には対戦車ミサイルを搭載しており戦車との戦いも想定していた。
「発射!」
ゴォォ…
ボッ!!
「よっしゃあ撃破1だ!!」
「前進しろ!」
BTR-90は前進を開始した。
歩兵が放った銃弾が命中したがさすがにそれには耐えた。
ところが。
「うわああ!!」
突然ものすごい音がし、埃が舞う。
「対戦車兵器にやられたか、おい大丈夫か!?」
幸いアバルキン大尉車は1人の死亡で住み車を放棄して撤退したが…
パァン!
「アバルキン大尉!!」
ピュンピュン…!
「ああ゛あ゛!!」
狙撃兵に狙撃され戦死してしまうのだった。
モンゴルは12月12日、陥落しロシア軍数万の将兵はロシア本国に逃げモンゴル政府もロシアに逃げ、モンゴル臨時政府という亡命政権が樹立する事になった。
だが一部のモンゴル高官は満州の将兵に捕らえられた。
毛の計画ではここに『モンゴル民主主義人民共和国』という名ばかりは民主主義国家だが実質は毛の独裁国を建国しようとしていた。
その事は本日12月18日、首相も国家戦略相も不在の中、温を通じて日本に報告された。
またその事は携帯を通じて宮田や加藤に伝えられた。
「たった今入った情報ですが。どうやら中国と満州は6日前に降伏したモンゴルに新国家を建設する予定だとの事です」
「新国家だと!?」
「『モンゴル民主主義人民共和国』という名らしいですが、どちらにしても社会主義の中国の傀儡です」
「奴らめ!調子に乗りおって!」
モンゴルと友好関係にあったロシアの首相、プーチンは激怒する。
「落ち着いてくださいプーチンさん…」
そういったのはフランス大統領シャン・アルベールである。
ヨーロッパでも屈指の国力を持つフランスの大統領でドイツ・イギリスの大統領や首相と共にEUの中核の人間である。
「ロシアは世界的に見ても高い軍事力を持ちしかも今は中国と満州と戦うためにロシアの若者勇士達が大勢軍に志願、たしかに今のままなら負けるかもしれないですが相手はたかが共産主義の生き残りです。自らそれをやめた貴方達ならなんとかなるはずですぞ!」
やたら気合をいれた説得をする、いかにもドイツ親父といった男の名はフリードリヒ・フォン・ヒンデンブルク大統領である。パウル・フォン・ヒンデンブルクとは遠いが血が繋がっている男だ。
先祖はプロイセンの貴族で今も家は裕福でドイツ屈指の豪邸に住んでいる。
しかも国民からの支持率は非常に高い。
「我がドイッチュラントはすべての国が滅びようとも、戦う覚悟であります」
「流石はヒンデンブルク大統領、有事の時は頼りになりますな」
そう言うのはイギリスの首相アーサー・クロムウェルである。
ちなみにEUも西進を始めた中国に対しある程度の危機感を覚えている。
このまま進めばまちがいなくヨーロッパまできてあの軍事力の差だと最初の半年や一年なら有利に戦えるだろうが長引けば長引くほど不利になるのは目に見えていた。
ドイツはフランスと並びEUの中核で工業・経済力も高くなにより頭のいいドイツ人は機械に強いので頼りになる国であった。
「…ただし、中国は命中率の悪いミサイルや、あまり練度高くない兵士しかいない、米国と日本が本気を出せばかならず勝てる相手だ」
アンブッシュは強気だ。アメリカは人員では中国に劣るがそれでも最強と言われている。
アメリカは既に反攻作戦を立てていた。イラクをヨーロッパ諸国の軍に任せ16万をアフガンへ。そこから中国領となったタジキスタンへ侵攻するのだ。
さらに反米国家であるイランも今回に限ってはアメリカに協力する姿勢をみせた。
宗教完全否定の共産主義は、イスラム原理主義を唱えるイランにとって最悪の敵である。
アメリカも反共国家である事から共通の敵が出来、距離を縮ませた。
「だが、アメリカさんが反攻に移るまで我が国はまつかわかりません」
「海軍・空軍力にはまだ余裕がありますが陸軍力にはもはや余裕がありません」
その時。
「大統領!報告です。中国軍がアフガニスタンに侵攻を開始しました!」
「なにぃ!?それで今は!?」
「連合軍が交戦中です」
その頃、アフガンに侵攻した中国軍は連合軍との戦闘を行っていた。
「戦況は?」
「まだ始まったばかりなので…」
だが、装備や練度で勝る連合軍が夕方になれば巻き返しを始めた。
翌日には国境まで押し戻した。さらに翌日からは現地の司令官から電文が入り「数は多いが質は劣悪で小国を攻め落とすには十分だと思うが我々を倒すことは戦いが長引かなければ不可能」といった。
中国も満州も、鼻をたらして田舎で生活している汚いイメージがある人々を強制徴兵したいした訓練も行わずに前線に出している。
そんな兵士が職業軍人に敵うはずもなかった。
あまりの大兵力でちょっと恐怖心を覚えていたEU各国はこれにて安心し、アメリカと共に反攻に転じる事を決意した。
一方山東方面ではツーポー、済南を占領。
済南には30万がいたが日米の空軍の激しい攻撃が地上軍を苦しめさらに練度の高い兵士と質の高い兵器に破れここの守備隊はハンタン方面に後退した。
一方ウラジオストクではロシアの陸海空軍や大東亜共栄圏各国の援軍が到着し今やいつでも攻勢に出れる状態になった。
インド・ビルマ軍はランツァン川を遠の昔に突破し昆明に迫りつつあった。
社会主義国のベトナムやラオスの首脳部も「中国じゃない、毛がおかしい」という結論に達そうとしていた。毛は大人員計画を推進しようとしていたが中国と満州は毛の仕業で世界から孤立し始めていた。
またモンゴルより一時撤退したロシア・モンゴル軍は既にロシア国内で態勢を立て直し始め反撃の機会を窺っていた。
孤立はおろか少々攻勢に出ていた中国・満州の戦況も悪化していった。
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