第一一話,ウラジオストク決戦
12月8日、突然の如く満州軍が国境を越えロシアに侵攻。
満州軍はウラジオストク目指して進軍を続けていた。
ウラジオストクにはウラディミール・スヴォーロフ中将が防衛に当たっていた。
東西冷戦が終了した今、当時はソビエトにとって重要拠点であったこのあたりからも多くの兵士は撤退し、今や数万が残るのみであった。
だがスヴォーロフ中将はめげなかった。
「現在敵軍はウスリースクにて戦闘中、おそらくこのままウラジオストクに来るだろう」
「敵の兵力は?」
「わからないが数十万はいるだろう」
「すでに鉄道が破壊され、あまり重要拠点ではなかったあの辺の部隊はこちらに撤退し始めている」
「もうしばらくすれば我々は孤立してしまうだろう、ハバロフスクには強固な陣地がありそこに撤退して火力を集中するという手もある」
「…だがウラジオストクには50万人以上の人が住んでおりハバロフスクも国境からほど近い。そこに逃げた時点で満州軍が攻めにきているかもしれん」
「我が守備隊は、祖国の名において、ウラジオストク防衛の為最後まで戦う」
「しかし全滅したら元も子も…」
「その場合は、海軍の艦艇を使って日本に逃げるしかない」
「共通の敵がいる日本なら我々を受け入れてくれるはずだ」
「とにかく、今はやるだけやろう…」
ロシア軍は、ウラジオストク付近にて決戦を行うことを決意し、守備隊の戦力をそこへ集中させた。
対する満州軍はウラジオストクへ迫り、ほかさらに30万の陸軍、空軍はハバロフスクへと侵攻を開始、本格的なロシアとの戦闘に踏み切った。
一方モンゴルではロシア軍の援助も空しく領土の半分を中国・満州軍に占領され首都ウランバートルに接近していた。モンゴル・ロシア軍はここで決戦を行う予定でここで負ければモンゴル亡命政府をロシア国内に樹立させる。
スヴォーロフ中将はこの辺の傾斜を利用し砲陣地の建設にとりかかった。
市民50万を守る為、今できる事のすべてを行った。
一方12月10日、与那国島沖にて中国駆逐艦「長沙」「南寧」「南昌」と日本海軍航空隊との間で海戦があり勝敗は航空機3機を失ったのに対し中国海軍は南昌、長沙が小破という損害を負う。
与那国島は近くに同盟国台湾があったり面積自体広くない為か守備隊の数が少なく陸軍560、海軍420(そのほとんどが駆逐艦乗りで数百名が航空機パイロット)空軍100と、現在のアリューシャン列島の島々(一番多いアッツ島ですら1200名の将兵しかおらず、現在中国や満州の事で手いっぱいである日本はここの防衛を自軍の僅かな守備隊かどうでもいい島の防衛はアッツ島などにいる空軍、または駐屯するアメリカ軍に任せている)
与那国島はほどなく中国に近いがその前には台湾があり敵軍が上陸してくるとすれば台湾だと軍部は考えており、防御が手薄であった。
ちなみに与那国沖で起きたこの海戦は与那国沖海戦と呼ばれ中国軍艦船2隻に損害がでたものの数少ない航空機が3機なくなってしまった為日本軍はこの戦いを引き分けとしている。
(中国では勝利と紹介している)
-閑話休題-
12月11日、突如満州軍がウラジオストクより20km/hの地点に迫ってきた。
だがここにはウラジオストクの守備隊が築いた砲陣地が、丁度本日完成していた。
ほかウラジオストクには原子力潜水艦も存在しておりいざとなればここにミサイルを撃ってこられる。
ほかにも空軍の支援もある。
「…」
「攻撃開始」
「攻撃開始!」
ドン!
ズドーン!
戦いの火蓋はきっておとされたのである。
「閣下、現在敵軍は圧倒的な戦力を物にし、徐々にこちらに攻勢を強めています」
「しかしこれ以上後退すればもうウラジオストクだ。できるかぎりやってダメなら日本に逃げよう。そして、いつかここを解放するんだ」
「そうですね。玉砕なんかしませんよ、我々は」
第二次世界大戦において日本軍は玉砕していない。だが玉砕という言葉は存在することは存在し意味も同一である。
*戦場*
「前進!」
とあるロシア軍将校がそう叫ぶと、T-80U、T-90による戦車大隊が満州軍の96式、98式、99式へ突撃を敢行。
「目標、前方の戦車。距離1000、主砲よし!」
「撃ち方始め!」
号令と共に、主砲が火を噴いた。主砲は125mm滑腔砲である。
カァン!
「弾きました!」
「敵も我々と同じような主力戦車を使っているからあたりまえだ」
「一撃で撃破は考えるな!」
「しかし、こちらは?」
「大丈夫だ、こっちも相手と同じ2〜3発なら同じ所を食らっても耐えられる。最も正面の話だが」
「戦車長!三時の方向に戦車!」
「回せー!」
砲手は1200mm先に見える戦車の照準をあわした。
その時突然。
ボッ!
満州軍の対戦車ロケットランチャーが後部に命中し装甲を貫通した。
また一両、ロシアの戦車は撃破された。
だがロシア軍も優秀なRPGを装備しており、歩兵は勇猛果敢に戦い戦車よりも戦果をあげた。
以外ながらこの戦車戦ではロシアのほうが優勢に戦った。
ロシアの戦車の能力は世界的に見ても高い。なんせあの恐怖のT-34やスターリン戦車を使い無敵といわれたドイツ軍戦車とまともに戦った。
ほかにも砲兵による砲撃が満州軍歩兵を苦しめ、思うように進軍が進まなかった。
「撃ち方始め!」
ドドン!
「伏せろー!」
さらにロシア軍には救いが一つあった。制海権を握っている事だ。
共に戦う事になったロシアを日本軍も支援し、ロシア海軍と日本海軍によるウラジオストクへの武器や弾薬、食糧などの輸送作戦も行われさらにスヴォーロフ中将が予想もしていなかった兵員増強などもあり、12月20日には20万の兵士がラジオストク防衛についた。
満州軍は攻勢を続けるもなかなか最終防衛ラインを突破できなかった。
だがこの輸送船団にも損害は出た。
中国の原子力潜水艦がこっそりと日本海に侵入し日本海軍の船団に魚雷やミサイルで攻撃をしかけるのだった。日本海軍も対潜戦闘で日本海でこれまでに4隻の原子力潜水艦を撃沈している。
あまりにも損害が大きかったため、満州軍は空軍の支援を強化した。これに対しロシアはSu-27やSu-30、mig-29などの戦闘機を戦闘機を大量に実戦投入した。
「ミサイル照準完了、行け!」
ゴォォォ…
Su-27から放たれた空対空ミサイルは満州軍の戦闘機に命中。
この日の空中戦は撃墜すれば撃墜されるという大混戦となった。後にシホテアリニ山脈航空戦と呼ばれた。
ウラジオストクの戦いは、日露と満州軍による長期戦と化し始めていた。
一方日本とロシアはウラジオストクの戦いの戦禍に市民が巻き込まれないよう一時的に樺太に移民させる計画を経てモスクワにて話し合いにうつった。
*モスクワ*
この日モスクワにてロシア大統領ゲオルギー・チャパエフらと日本国首相宮田信三らが会談を行った。
「お久しぶりですなチャパエフさん」
「宮田さんも相変わらずお元気で、流石は零戦や烈風のパイロットだっただけあるな」
烈風は太平洋での戦争終結により、一部のアメリカ技術者か日本にきたおかげで史実よりも早く配備された。その量産型の第一陣が1944年に空母瑞鶴の艦載機として零戦にかわり配備されドイツ軍機との空中戦を展開した。
やはりbf109やFw190に比べると劣勢であったが日本海軍には歴戦のパイロットが多く残っており技量のおかげか互角の勝負を展開する事ができた。
また日本海軍は数々の海戦でドイツ艦を撃沈しているが翔鶴と大鳳が失われている。
(ほかにも小型の空母や戦艦、巡洋艦以下の艦艇が沈むか損害を出している。弱体であったドイツ海軍だがUボートや小型艦などで日本海軍を相手に勇猛果敢に戦い。大損害を出しつつも確実に戦果をあげていた)
ちなみに史実では大きな活躍をしなかったティルピッツだが戦艦扶桑や日向を撃沈するなどの戦果をあげている。1944年11月に日本の機動部隊の奇襲をうけ中破しそのまま戦線を離脱するもソ連から飛び立ったランカスターに爆撃され撃沈された。
ちなみに戦争を通して日本海軍は戦艦よりも巡洋艦や駆逐艦クラスの船を多数装備していたほうが効率がよいのではと思い始めてた。今の海軍の構想はこの時日本海軍にもあった。
また空母機動部隊による大規模作戦を得意とする日本は船が飛行機に弱い事は熟知していた。
その為戦後、大和型や長門型を除く現存していた戦艦のほとんどを大東亜共栄圏加盟国に売却しその国々の海軍建設に大きく貢献した。
現在戦艦はアイオワがモスボールされている他大和も海軍記念日にのみ一般公開海される形で保存されているがモスボール化されておりいざとなったら復帰できるようになっている。
ただしそれだけであり海軍は大和の復帰を考えていない。
大和自体艦歴が古く徹底した改修ゆ整備が行われるも機関出力が低下し各部分にもマイナートラブルを抱えている。
ただし日本の誇る世界最大の戦艦という事で武蔵や長門、陸奥などよりも手厚く管理されている。
-閑話休題-
「ウラジオストクの戦いは膠着してしまいまして、犠牲者も増え続けていますが私は今思うに
軍が足止めしている今の内に、ウラジオストクから市民を移民させ安全を保障すべきだと思うのです」
「それで、樺太の南半分を持つ日本にも協力してほしいというわけですな?」
「はい、我が国民の多くもそれを望んでいます」
「私としても、罪もなく武器も持ってない人々を危険地帯から安全な場所へ移す事事態、反対する意味はないと思います」
「ありがとうございます」
チャパエフと宮田は固く厚い握手をし。そして調印した。
その後日本海軍とロシア海軍の艦艇の護衛付きでこの作戦は開始された。
もちろん樺太のほかにも本国へ移民する人もいる。
とにかく今後戦いがさらに激化するであろうウラジオストクから、力無き者を離れさせ犠牲を最小限にしようと努力していた。
ところが2006年1月1日、つまり元旦だがアメリカのとあるテレビ局がとある団体に不法占拠
され勝手にテレビ放送を始めだした。
その名も「世界抗日戦争史実維護連合会」。中国共産党との繋がりがある世界的な反日団体である。
今まで共産党からの支援をうけ、不法に軍事力を持っていた。
米国に本拠地を持つ彼らは日本とその同盟国との開戦に踏み切った。
この世界においては最も巨大な反日団体でアメリカ国内だけども不法滞在している団体員は60万もおり全世界に関しては不明だという。
ほか、中国が12月12日、突如キルギスとタジキスタンに侵攻し12月20日にはキルギスが、翌日にはタジキスタンが降伏した。
アメリカなどの国々はこれを明らかな侵略行為として非難したが毛は「我が人民がちょっと本気をだせばこれぐらい可能である。戦争行為を直ちにやめ我々に降伏すべし」と主張した。
アフガニスタンと隣になりアメリカを主体とした軍は中国の侵攻を止めるべくアフガニスタンからタジキスタンへと軍を向けた。
これにより国境が隣り合わせとなったウズベキスタンはこれまでアジア諸国と友好政策をとってきたが西進する中国軍に対し危機感を覚え、アメリカやEUの協力を得ようとしていた。
中国はさらなる兵士を確保しようと国内で根こそぎ動員計画をたて、総兵員3000万を目指そうとしていた。実際現時点で800万を有する中国軍は国内はおろか敵地に侵攻するにも十分すぎる力を持っていた。
*北京*
「ええ!?ヨーロッパ進出ですと!?」
「我が国の人口は何億だ?」
「7億ぐらいです」
「満州国も合わせれば13億を抱える。これだけ人がいれば世界の軍隊に勝ちうる兵員を抱える事ができる」
「しかも我が国の工業力は非常に高い。そこで総人員3000万を目指す」
「1000万をヨーロッパに向け、1000万を日本などの大東亜共栄圏諸国に向け、残りの1000万でロシアを征服する」
「しかも目的は共産主義の勝利。ベトナムやラオスも協力してくれるだろう」
「今は日本軍に対して劣勢ではあるが。今の人員でも十分すぎるがこれを実行すれば世界のどの国にも勝ちうる軍事力を持つ事になる」
「かつてのソビエトやアメリカは第二次世界大戦に勝つべく1000万を越える人員を抱えた。その時の両国よりも遥かに人口が多く国力もある我が国ならば可能である!」
(…この人は…はやくなんとかしなければ…)
(今はアジアレベルで落ち着いているが…このままだと戦争は世界レベルに…)
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