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東亜戦記  作者: 栗林
10/14

第一〇話,本土の悲劇

12月7日、先週行われた大連及び山東の上陸作戦は大成功であったが死傷者が多かった。

…とはいうが第二次世界大戦時のノルマンディーに比べると遥かに少ない。

現代戦は昔の戦いと比べると死者がごく少数ですむ。

(イラク戦争なんかも第二次世界大戦と同じぐらいの期間が経っているというが連合軍死者はイラク側に比べると圧倒的に少ない)



今回の場合多国籍軍の陸海空軍による総攻撃で中国軍は2万以上の死者と1万以上の捕虜を出してしまうほどの損害をだすも中国の兵士の数からすればたいして痛いものではない。

すぐに戦力をかきあつめて反攻に出る可能性がある。その為多国籍軍は上陸後一次的にその場に留まる事はなく。進軍を続けていった。


*朝鮮国境付近*

ズドーン!!

砂埃と草が舞い上がる勢い。

ここでは中国軍がフィリピン・インドネシア・韓国・日本軍に対し最後の抵抗を見せていた。

「撃ち方始め!」

ドドン!!

九〇式戦車の戦車隊は一斉に射撃を始めた、この時丁度中国の99式はこちらに側面を見せていた。

戦車の装甲は正面が最も厚く側面→後部→上部→腹といった感じである。

不意をつかれた99式戦車の集団は装甲を貫通されるものもいた。

だが今度は後ろから96式戦車の大部隊が日本軍戦車部隊に襲い掛かった。


しかし正面だったせいか九〇式戦車は弾を弾いた。

九〇式は96式に弾を放つもあちらも複合なのか弾を弾いた。

現代戦車は恐ろしい破壊力を持つ砲を持っているが同じ現代戦車が相手となると2〜3発あてなければ貫通させる事はできない。

こうなると数で勝るほうが有利だが今数で勝っているのは中国軍である。

日本軍は練度で中国軍に勝っていたものの次第に数で圧倒されてゆくことになった。

「損耗70%!!」


「敵さんの戦車がこちらと互角ですか」

「いやぁ見直しましたよ、中国の戦車があんな強かったとは」

そこへ韓国のK1が数で負けていた九〇式戦車の援護をしにきた。

これで数では互角となった。韓国軍は日本軍と同じ訓練を行ってきた為練度では中国軍に勝る。

このタントンの戦いでは多国籍軍の勝利に終わり、上陸から僅か一週間で現代のマレー半島と

謳われていた遼東半島(ただし途中まで瀋陽遠征部隊と同行)制圧し朝鮮半島との補給路が築かれた。



これは今まで海上輸送と航空機による輸送しか許されなかった多国籍軍にとって大きな+となった。さらに本日軍をそちらに集中させない為に陸軍力で日本に勝るインドと日本式の軍隊で日本陸軍と並ぶ精鋭ぞろいのビルマ軍が中国に宣戦布告し両軍あわせ70万の大兵力で雲南省に進攻を開始した。



これにはさすがの中国も驚きを隠せなかった。

大東亜共栄圏諸国は陸海空軍を設立する際、軍事教育を行ったのは第二次世界大戦を経験しマレーなどの戦いで史上まれにみる勝利に成功した日本陸軍であった。

かつて日本陸軍に教育された軍隊がこんな大兵力で攻めてこられると流石の中国も参ったであった。



だが攻勢に回ったのは多国籍軍ではなく中国軍の一部と満州軍の一部がモンゴルに侵攻を開始した。この侵攻はほとんど無傷である満州軍が主体となって行われ戦闘開始1日目にもかかわらず少数兵力しかもたないモンゴルはあと何日持つのだろうかといった感じであった。

だがこれは友好国であるロシアを怒らせるきっかけとなった。

翌日になるとロシアが中国・満州に宣戦を布告。モンゴルを助ける形で参戦した。

また日本国内にいるモンゴル人が祖国を守る為かロシアを経由し、モンゴルに入国して武器を手に取り義勇兵として戦うものも出た。



両国のモンゴル侵攻はそれまで中立を保っていたロシアに眠っていた虎を起こしてしまったと

共に戦線がさらに拡大してしまった。

東亜の大部分が戦場と化してしまったのである。





さらに今まで比較的大人しかった満州軍の行動は激化した。

この日イエンチーの基地では多くのミサイルがあった。

すべてこの戦争で主体となっている日本へ向けられたものである。

「先週毛主席を通じて首相から命令が下った。その為に今日この弾道ミサイルを日本に撃ちこむのである」


「これで日本が焦土になったら?」


「毛主席曰く日本を焦土にし大軍で上陸した後帝都である東京を目指し、日本を降伏させる」

「そしてそこに東海人民共和国を建て、戦力を蓄えたら米帝を攻撃、最終的な我々の目標は我々が地球を統一することによって得られる世界平和、そう世界平和である…とのことだ」

「今でこそ、特に中国は劣勢である。だが第二次世界大戦を思い出してみろ」

「ナチス・ドイツは最初優勢であったあの当時では正義だったことになっている連合軍が巻き返しナチス・ドイツを撃ち破っただろう」

「しかし、今の正義は我々である。大日本帝国だろうが、裏切りのロシアだろうが、アメリカだろうが、途中で戦況は大きく変わり、我々人民が大勝利を収めるのだ」

ここの総司令官は国に忠誠であり、勝利の為ならどんな手でも使う。

満州軍は中国軍より兵士の数が少ないものの戦後捕らわれた日本兵や日本兵に教育された旧満州兵を教官として利用し、その練度は中国を上回るものがある。

中国の傀儡だが中国より強敵であるかもしれない存在だ。

「殺!!」

運命のスイッチが押され、第一陣の約30発の弾道ミサイルは日本を目標に飛んでいった。

その頃、日本では…



すでに偵察機によるこのミサイル基地の情報は送られており日本に飛んで来る事は目に見えていた。この為たった今チョンジンの空軍基地からステルス爆撃機「天龍」6機がイエンチー目掛けて飛び立った所だった。

だがもう遅かった。ミサイルはすでに打ち上げられていた。

*日本本土*

「報告!満州軍がミサイルを打ち上げ!目標は帝都他主要都市!」


「なに!帝都にだけは絶対に落してはならん!」

「万が一宮城にでも命中すれば!陸軍の強硬派が決起するかもしれん!!!」

現代においても陸軍には一部だが昭和期の陸軍のような人々がいる。俗に言う皇道派である。

過去にもクーデター未遂事件を起こしているがいずれも「君たちは反乱軍だ」という天皇の一言で片付いている。


帝都周辺にはパトリオットPAC-3が多数配備されている。

もちろん日本海にもイージス艦がおり、ミサイルを迎撃する。

「発射!!」

日本海にいるイージス艦から数々のミサイルが放たれた。

日本も満州軍のミサイルによる攻撃はある程度予想しており対策はとっていた。

その結果かなりのミサイルの迎撃に成功したがそれでもまだ8発は東京目掛けて飛んでいた。








だが東京につくころには4発になっていた。

「撃ち方始め!」

このミサイルはなんとか防ぐことができたものの、さらに別の発射基から40発のミサイルが日本を目掛けて飛んでいた。

しかし日本海にいたイージス艦のほとんどはミサイルを撃ちつくしていた。

今度のミサイルは日本本土の高射砲部隊が迎撃にあたったがすべてを迎撃するには至らなかった。

そして…

ズドーン!!!!










世田谷区の住宅街に一発。

秋葉原に一発。

秋田駅に一発。

新潟港に一発。

とりにがした4発のミサイルが各地に着弾しそのうち2発は帝都に命中し。

日本全体で98人が亡くなった(特に秋葉原と駅で死者が多い)



*首相官邸*

「なんたる事だ…」

宮田は情報を知ると頭をかかえた。

そして日本の防空体制に失望したのであった。

だが同時に天龍爆撃隊の攻撃によりここの基地の半分は壊滅的被害を受けた。

だからといって満州には蚊に刺された程度の損害でしかない。

兵員600万のうちほとんどを陸軍に回している満州軍ならこれぐらいの損害ならすぐなかったことにできる。

(中国もほとんどを陸軍に回している)


現在中国は北京の守りを硬くしており実に170万、スターリングラード反撃時のソ連並の人員を北京においていた。

その一方で300万ほどをインドやビルマへ向けようとしており100万を満州軍の110万と共にモンゴルやロシアへ向けた。

いくら日本やアメリカ、ロシアが強国とはいえこれほどの大軍を相手にするには兵士も弾薬も足りていない。

ロシアは国を挙げて中国・満州と戦うつもりだ。ミサイルによる日本本土空襲の翌日12月8日。

太平洋戦争開戦から64周年のこの日、突如満州軍がウラジオストクへ侵攻を開始。

モンゴルのみならず自国の領土にまで進出してきた満州に対しロシアはさらに怒り、そして危機感を感じた。国民のほとんどが戦争に賛成しロシアは中国・満州軍が相手であるこの戦争を

「第二次大祖国戦争」と名づけた。この命名により第一次となる大祖国戦争はソビエト時代、ドイツの侵攻により発生した1945年ドイツ降伏までの一連の戦闘、つまり独ソ戦である。


アメリカでは国会にて対中満総力戦案が可決となり米中満の本格的な戦闘が開始される事となった。


英仏独などのEU諸国も大東亜共栄圏諸国に協力する事を宣言した。

これに対し、中国や満州と親しい国や同じ共産主義国、反日国家や反米国家の動きも活発化してきた。

アメリカのとある大学にいる専門家は「このままで行けば第三次世界大戦すらあり得る」と述べ、韓国侵攻により始まったこの戦争は開戦時、予想もつかなかった方向へと進んでいた。








次回:

戦場は東シナ海、黄海、渤海、朝鮮半島、中国の一部など局地的であったが次第に戦線は広くなっていった。

次回の主役は侵攻してきた満州軍とそれに抵抗するロシア軍である。

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