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漆黒令嬢は逃げて後ろには聖女がいる

はい、お知らせです。今日は二話投稿です。こちら一つ目です。理由はあとがきにて

 食堂から走って逃げて。途中人にぶつかりそうになりながらも私は走った。どこを目指してるのかも、分からないまま。

 だけれど、生徒の姿が徐々に見えなくなり。ついには誰もいない場所に来ていた。


 貴族院にある庭園。その奥にある一本の巨木が、孤高に存在している場所に。人があまりいない場所を探して、貴族院を歩いていた頃に見つけた場所。庭園にも生徒はいる、話をしたり本を読んだり。

 各々が自由に過ごしている。だけどそれだけで、誰も庭園の奥に行こうとはしない。入口の目に見える部分がある美しく、椅子やベンチもそこに置いてあるから。


 この巨木の場所は手入れはされているけど、座る場所が地面しかなくて。誰も寄り付かないと勝手に思っている。誰だって汚れたくはないから。

 それで良かったのだと、いまは思う。私はこうして一人になることが出来るから。ミシェルさんとルーナが二人でいるあの光景を見て。やっぱり私は、ルーナと一緒に居るべきじゃ無いんだって。思わされた。


 心がどんなにルーナのことを想っていても、、私は近づいては行けなかった。それがたとえルーナからだとしても、私はそれを拒むべきだった。

 私は黒で、ルーナは白で。ミシェルさんは赤で。ルーナの横にいったい誰が居るべきなのか、そんなの一目瞭然だった。私な訳がなかった、私ではダメだった。


 巨木の枝葉が風に揺れて、サラサラと音を鳴らす。風が心地よくて、悲しい気持ちが少し和らいだ気がした。

 この場所の景色は、入口ほど綺麗ではないけれど。とても落ち着いた、素朴な美しさがあると思った。私には、こっちの方が似合っているのかもしれない。綺麗な華やかな表よりも、影の場所が。


 この場所でぼーとしていて、手に持っている物の事を忘れていた。

 包んでもらった料理は、走ったせいで少し崩れていたけど。味は変わらず美味しくて。

 私はこれからどう過ごしていけばいんだろう。今日もルーナは私の部屋に来ると言っていた。だけど私はルーナに会っては行けない。部屋に鍵をかけておけば大丈夫なのか。それとも、思い切って部屋を変えるべきか。寮母さんに話せばできるような気もする。


 だけど、数少ない私を避けない寮母さんに心配をかけてしまう気もして。それは嫌だと思った。誰かに迷惑をかけるのはしたくない。

 包んでもらった料理を食べ終わり、私は何をすればいいのか分からなくなった。教科書は持ってきていないから勉強はできないし。何よりここにいると、時間の感覚が分からなくなる。貴族院にある鐘で授業の時間は分かるようになっているから大丈夫だけど。


 どのくらいの時間、ぼーっとしていたか分からないけど。まだ鐘がなっていないから、昼が終わったわけではない。

 ここにいると時間の感覚があやふやになってしまう。人工物が無いからかもしれないし、人が全く居ないからかもしれない。私だけがこの場所に取り残されているような不思議な感じ。このままここに居るのが幸せなのかもしれない……


 ガサガサっと茂みが揺れた。風じゃない、誰かが茂みの間を通ってこっちに来ている。

 揺れる茂みの反対側、巨木の裏側に私は移動した誰かが来たのだとしても、ここなら見えないはずだから。


 茂みの揺れる音がなくなって、誰かが来たはずだった。でも、足音も何もしなくて、ここでは無い別の場所に行ったのかもしれない。もしかしたら立ち止まってるのかもしれないし。

 また茂みの揺れる音がしないと、私はここから動けない。ドキドキと心臓が激しく動く。緊張している、そもそもどうして私は隠れたんだろう。何もやましいことは無かった、隠れる理由もなかった……

 いや、隠れる理由はあったんだ。ルーナかもしれないから。もしルーナが来たら私は会っては行けないから。だから隠れたんだ。


 少しの時間が経って、またガサガサと茂みの揺れる音がした。もう居なくなったのかと巨木の陰から覗いてみると、音の場所には誰ももいなくなっていた。そもそも姿を見ていないから誰かがいたのかも分からないけど。

 その場で私はほっと胸をなでおろした。


「ノッテ」

「ひゃあっ!」


 み、耳元で声。声!

 体が(こわ)ばる。この声は今一番聞いちゃいけない声っ

 逃げようとする、早くこの場所から逃げないとだめ!

 何のに、なのに。後ろから抱きしめられて動けない。


「ノッテどこ行くの。私だよ、ルーナだよ」

「だめ!」

「何がダメなの、教えてよ」

「ダメなの、私がルーナのそばに居たらダメなの!」

「誰がそんなこと決めたの、私の傍にいる人を決めるのは私だよ」

「私じゃ相応しくない、資格がない、居ちゃいけないの。ルーナの隣にいるべきなのはミシェルさんだから!」


 ルーナ傍にはミシェルさんが相応しい。私じゃダメなの。ダメなの!


「ミシェルはああしないと付きまとわれて面倒だからしてるだけよ。隣りにいていいのはノッテだけ。私が隣を許すのはノッテだけ。こんなことするのもノッテだけ」

「違う!」

「違わない」

「違う!!」

「違わない」

「ちがう……」

「違わないって言ってるのに。悪いお口は塞がないと」

「んんんっ!!」


 後ろから、ルーナにキスされる。ダメ、だめ、だめ!

 ルーナとキスしたら。私は、わたしは。幸せになっちゃう、なっちゃいけないのに。そばに居ちゃいけないのに。ダメなのに、だめなのに。

 幸せで頭がいっぱいになって、心が満たされて。ルーナが私の中に入ってきて、何もかもがルーナに染められて。私がルーナでいっぱいになって、ルーナのことしか考えられなくなって。ダメなのに、ルーナのことが欲しくなって。このままキスしたくなっちゃって。さっきまでの考えが、消えていく……


「私の隣はノッテだけの物って、これでわかった?」

「あぅ……」

「返事しないと。またするよ」


 へんじしないと、またしてもらえる。またしてもらいたいって、おもって。でもやっぱりわたしはへんじわっていわれて。


「うん……」


 ってこたえちゃった。



 良ければブクマとかポイントとかポチッと気分でお願いします。


 はい、二話投稿の理由ですが。頂いた感想に私、こう返信したんですね。


 ミシェルは百合百合で、今日の話で分かると思います。と。


 そして今日の分書いたわけなんですが。書いてからあれ? となりまして。読み返すとミシェルが名前しか出てないと。


 これは今日の見ればわかると書いたのに何もわからないではないですか。ということで急遽二話目書くことになりました。はい、自業自得ですが、頑張った私に感想とかくだするとうれしいな、なんて言ってみたり……

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