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漆黒令嬢は、馬車の中で聖女に追いつめられる

「もうお嫁にいけない……」

「その時は私がもらってあげる」

「ルーナのせいですよ!」


 立ち上がることも難しかった私は、ルーナに服を着せてもらった。その時にルーナがマッサージするといって、何か液体を手に広げて私に塗ってきた。

 冷たかったし、いろんなところを触られて。マッサージが終わるころには私が息切れして、ルーナが元気になっていた。マッサージされた私の方が疲れるんてどんなマッサージをしたのかわからないけど。もう思い出したくもない。やめてって言っても、ルーナが脇とか腕とか足とか。本当にしないといけないのっていうところまで触ってきて。

 手つきもなんだかねちっこい感じだったし。でも効果はあったのかだいぶ体は楽になってる。一人じゃまだ歩けないけど何とか支えてもらえれば歩けるようになって。


 そして今、私はルーナと同じ馬車に乗って貴族院に帰っている。

 もちろん馬車は聖女様が乗るためのもので、護衛だってついてるし。私からすれば危険地帯の真ん中にいるから落ち着かない。本当なら一人で貴族院まで帰るはずだったけど、歩けなくなった以上それもできなくなって。

 貴族院には領主の仕事で休学届を出しているから、このまま王都で歩けるようになるまで療養しようと思っていたんだけど。

 ルーナが「同じ馬車で帰ればいいのよ」なんて言い出して。それからあれよあれよという間に同じ馬車に乗ってた。黒い髪はかつらで隠して、目は映りの悪い眼鏡をかけてごまかした。もちろん帽子を深くかぶってたから、怪しかったはずなんだけど。聖女様と一緒の馬車に乗るなんて護衛が反対するかと思ったらそんなこともなかった。


「ねぇルーナ。いったいどんな魔法を使ったの」


 魔法。そんな風にしか思えなかった。ルーナが部屋に来ていた時にしつこいと言っていた護衛が何も言わずに。それどころか優しかった気もする。


「事実を少し捻じ曲げて伝えただけだよ。ノッテが高位司祭に暴行されてたところを助けたって。送り届けるのに男の司祭に頼むわけにもいかないし。私が助けたから私が面倒を見るって言ってあるの。男の人怖くて下を向いてても帽子を深くかぶってても怪しまれないし。ね?」

「そ、それって嘘ついったってことじゃ」

「嘘じゃないよ、言葉足らずなだけ」

「で、でも聖女がそんなことしたら」

「無いよ」

「え」

「そんなんことはあり得ないの、だって私は聖女で彼らは聖女のことを妄信しているから。私が聖女でいる限り、嘘には気付かれない」


 さっきまでの空気が嘘のように冷えた気がして。あんなに笑っていた、ルーナの顔が無表情になった。


「だから気にしないで、それに馬車の中にはノッテと私だけ。誰にも邪魔されないし」

「ル、ルーナどうして隣くるの」


 まるでさっきのことが嘘のように、怪しい笑みを浮かべたルーナ近づいてくる。私は学んだ、こういう時のルーナは私で遊ぼうとしてることを。逃げるのが一番、だけど馬車の中に逃げ場はない。


「ルーナ。や、やっぱりだめ」

「ノッテ、護衛は外にいるし音だって馬車の音で聞こえないから」

「だからってこんないけないこと……」

「いけないことだからしたくなるの。ほら、私に体を預けて」

「ルーナ……」

「ほらノッテ……」


 ルーナが私のことを怪しく誘い、私は……


「やっぱり、ルーナが膝枕をするのはだめだと思います」


 ルーナに膝枕をされていた。


「でもノッテはまだ安静にしてないとだめだから。少しでも横にならなきゃだめよ」

「だからって、なんで膝枕なんですか。座ったままでも眠れます」


 それどころか、柔らかいルーナの膝の感触で寝るに寝れない。どうしても意識がルーナの膝に集中する。


「それだと揺れたときに頭ぶつけるかもしれないわ」

「この馬車ほとんど揺れてないですよ」


 聖女様が乗るこの馬車は、その辺にあるような馬車とは格が違う。ほとんど揺れない馬車に、柔らかい椅子。

 もし揺れても椅子が柔らかくて痛くない。それにクッションもあるから枕の代わりに使えるものもある。なのに ルーナは私を無理やり膝枕した。

 ルーナにお願いと言われると、どうしても断れない。


「だってやってみたかったし、それにこうしてノッテの髪も梳かせるし。ノッテの髪は本当に綺麗」

「綺麗じゃないです、真っ黒です。白いルーナのほうがキラキラ輝いて綺麗です」

「私は白髪みたいでいやなんだけど、ノッテがそういうなら悪くないわ」

「私も、その、ルーナに綺麗って言ってもらってうれしいです。お父さまとお母さまにしか言われたことないから」

「ノッテの周りの人間は見る目がないわね。こんなにも愛らしいのに」


 ルーナが私の髪を手ですくってキスをした。


「き、汚いですよ」

「汚くないわよ。ノッテの髪だもの。汚れてなんかないわ」

「うぅ」


 恥ずかしくなって、仕返しに私はルーナのお腹に顔をぐりぐりと押し付けた。


「可愛い」


 頭をなでられてさらに恥ずかしくなっただけで、逆効果だった。

良ければブクマとかポイントとかポチッと気分でお願いします。

あとなんか思ってたのと違うとかあったら教えてくださいね。

私自身あれってなる時ありますし

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