目覚めた黒といじる白
今日届いた百合漫画呼んだら書きたくなったので再開です。
「ん……んん……」
目が覚めた、のだと思う。ここが夢なのか現実なのか少し判断がつかないから。だって私。ル、ルーナと……その……えっと……キ、キスしちゃって。恥ずかしいけど……思い出すと幸せで。なんだか幸せすぎて、ちょっと怖いくらいで。
寝ていたベットも、この部屋も見たことがない部屋だった。多分ここまでルーナが連れてきてくれたんだと思うんだけど、この部屋はルーナの部屋なのかな。部屋の家具は白で統一されていて、細かい装飾がしてあるから高級品だってわかった。このベットも固くないしとっても寝心地がいい。
このベット、ルーナが使ってるのなのかな。
そう思うと途端にルーナのことを意識してしまって。そこからキスのことを思い出してまた恥ずかしくなってしまう。それに、いけない気持ちがちらつく。ベットに置いてあるもう一つの枕。この枕に顔をうずめたらって、いけないことだって分かるけどそんな考えが頭をよぎる。そもそもこの枕でルーナが寝てるって証拠もないから、ルーナのことを、その、感じれる確証はないけど。
少しくらいなら、そう思って枕に顔をうずめようとして。ドアノブが動いた。
誰かが来る、そう思って私Hあ寝たふりをした。起きていたらまずいかと思って。
扉の空いた音がして、足音が近づいてくる。ゆっくりと、足音は私の方に近づいてきて目の前で止まった。
「ノッテ、まだ寝ているのね」
声はルーナのもので、安心した。寝ているふりをする必要がなくなって、目を開けようとした。
「寝てるなら、キス……しちゃおうかな」
私は目を開けるのをためらった。もしかしたら、このまま寝たふりをしていたらキスしてもらえるんじゃないかって。女の子同士で間違ってる、そう私の中の理性が訴えかけてくる。
だけど、あの時確かに私はルーナのキスを受け入れた。顔を背けて抗うことだってできたのに。私はしなかった。
ルーナから好きって言われて、嫌じゃなかった。嬉しかった、幸せになった。だから、もう一度キスしてもらったら。幸せになれるんじゃないかって、思って。私は目を開けないことを選んだ。
「起きないの……キスしちゃうよ」
声がだんだん近づいてくる。体の横に手が置かれた。感覚が鮮明になってきて、ルーナのが目の前にいるのがはっきりとわかる。
「好きよ、ノッテ」
耳元で、そうささやかれて。耳に当たった声で息で、無意識に私の体がビクッとした。
ルーナがそーっと離れて行って、寝たふりをしていたのが晴れてしまったのだと。そう思って目を開けた。
「ちゅっ」
不意打ちだった。目を開けたら離れたと思ったルーナが目の前にいて、理解する暇もないまま。キスされた。
「おはよう、ノッテ」
「お、おはよう……」
恥ずかしくて、おはようを言う声もしぼんでしまった。
「顔が真っ赤よ。それに、寝たふりをするなんて。そんなにキスしてほしかったの?」
寝たふりをしてたと、ばれていたことを言われて。私はさらに恥ずかしくなって、隣にあった枕で顔を隠した。恥ずかしくて恥ずかしくて、見られたくなくて。ぎゅと両腕で強く押し付けた。
「私の寝てた枕に顔をうずめるなんて、ノッテたら」
ルーナが言った言葉に私の動きが、腕が止まる。ルーナは今確かに私の寝ていたといった。それはつまりルーナが使っていたということで。それ以上にさっきおはようってルーナは言ってた。それはつまりもう朝で、ルーナが私の隣で寝てたってことで。この枕が使われていたってことで。
すべてを考える前に、私の体が動いていた。枕を離し頭から布団をかぶった。
だって、だって恥ずかしすぎるから。
さらに追い打ちをかけるような言葉が聞こえてきた。
「昨日、ノッテの体を拭いて着替えさせたの。あの時は起きなかったから元気になってよかった」
昨日。ルーナが。私を。着替えさせた。ルーナが。拭いた。私の体を見られた?
「み」
「み?」
「み、たの」
「だって汚れてたし、怪我の手当てもしないといけなかったし。奇麗だったわよ」
「き、きれいって」
見られた、なにもかも。初めて。裸を初めて。
家にいても、誰も私の世話をしてくれなかったから。着替えも湯浴みも自分でしてきて。だから誰にも見られたことないのに。ルーナ見られた!
「少しいじりすぎたかな。大丈夫よ女同士なんだから」
「は、初めて、見られた」
「へぇ、初めて」
ぞくっと、変な感覚が体を襲った。何とも言えない、恐怖に似た感覚が。そーっと布団から顔を出してルーナを見た。
「初めて、私が初めてね。いいこと聞いたわ」
「ル、ルーナ?」
「なんでもないわ、早く起きて出発しないと貴族院に遅れるわよ」
「貴族院!」
貴族院のことをすっかり忘れていた。私は貴族院に帰る途中だったんだ。
「服はそこにあるから、着替えさせてあげる」
「じ、自分でできる!」
これ以上、ルーナに裸を見られたくなかった私は。声を張り上げた。
「自分でできるならいいけど、起き上がれるの?」
「それくらい」
ベットから起き上がり、座って。立ち上がろうとして。体に痛みが走り、足から崩れて私の体が傾いていった。
「ほら」
地面とぶつかる前に、ルーナが私の体を受けとめてくれた。こんな状況なのに、私は受け止めてくれたルーナの腕の感触で頭がいっぱいになった。
「立てないんだから、私に任せてね」
「うん」
頭がいっぱいいっぱいで、うん。と、私は何も考えすに返事をしていた。
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