漆黒令嬢はカラフルな世界で聖女と生きる
「ルーナおはよう」
ルーナが目を覚ましたのは次の日の朝。もう少ししたら食堂が開く時間だった。
「おはようノッテ。なんだか体が重いわ」
「そう思って、学園には休むと伝えてあります」
「ミシェルさん」
ミシェルさんが音もなく現れるのにもなんだか慣れちゃった。それにしてもなんでわかったんだろう、ルーナの退位長が悪くなるって。
「ルーナ様は、戻ってくる間に少量しか食事を取られてません。なので体がだいぶ弱っているのです」
「ルーナ、ちゃんと食べなきゃだめだよ」
「そんなこと言われても、私も覚えてないわよ」
「食べてくださらないので、口移しで食べさせようとしましたがだめで。仕方なくスプーンで食事を口元までもっていくと食べたのです。それでもあまり量は食べては下さりませんでした」
「最初に口移しを試すのが悪いんじゃないかしら、ミシェル」
「口移しでなくては駄目だと私の感が言っていたのです」
「あなたの願望でしょそれ」
ルーナとミシェルさんの会話が、いつもの日常に戻ってきたんだって思う。なんてことない会話、とは違うかもしれないけど。この会話が私たちにとっての日常だから。
「ノッテ、私決めたことがあるの」
「何?」
「結婚するわ、ノッテと」
「えっと?」
「なに驚いてるの」
「だって。結婚って。私たちできないよ」
「それがそうでもないのよ。同性婚は可能よ、シェイと白の精霊様のおかげでね」
「シェイ関係あるの?」
「呼んだ?」
私の影から、にゅって出てきた。今日は確かチェロのところにいるはずだけど。
「シェイと白の精霊様の話をしてたのよ。同性婚できるって話してる途中で」
「ああ、そのこと。あれは白の精霊が強引に決めさせた。精霊同士じゃなくて人同士も一緒になれたらもっと幸せだって。ちょうどルーナとノッテみたいに女の子だったから。祝福強い子が」
「さすがにそんなことがあったなんてしらなかったけど。まあそういうことで結婚はできるのよ」
結婚。ルーナと結婚出来たらそれはとっても幸せなこと。だってルーナとちゃんと一緒に慣れるってことだから、ずっとずっと一緒に入れるってことだから。でも……
「ルーナ、家はどうするの」
ルーナは血筋としてひとりだけ。ミシェルさんは養子だから、血筋が途絶えちゃうし。血筋を残すことは貴族の義務といっても間違いないこと。それは私にも言えるし、だからどうするつもりなんだろう。
「私の方なら大丈夫よ。留学してる兄がいるわ」
「初めて聞いたんだけど」
「言うつもりなかったもの、それに私が聖女として動けてたのも兄がいたからよ。私しか子供がいなかったら、普通の令嬢として育てられていたもの」
「そういわれるとそうなのかな?」
後からとってつけた理由な感じがするけど。
「とりあえずよ気にしなくていいの私の方は。問題はノッテの方なのよね」
「私一人っ子だから」
「養子をとるのもいいとは思うけど、ノッテのおじい様がなんていうか」
「わからない」
「ノッテにもわからないんじゃ方法は一つよね。会いに行きましょう。ノッテのおじいさまに」
「会いに行くって、いつ?」
「私が元気になったらよ」
「じゃあ、早く元気になろ。私も手紙おじいさまに書いてみる」
報告もなしに会いに行くよりなら、少しはましなはずだから。
チェロがいないから、ミシェルさんに便箋をとってきてもらった。そして書いた。
ルーナのこと、ルーナとの関係。好きだってこと結婚したいってこと。そして会いに行くってこと。この手紙に、ルーナのことを描くのは初めてだった。領地のことをやり取りするだけだったから。
すぐにミシェルさんにこの手紙を出してもらった。
手紙が届いて、返事が返ってくるのが早いのか。ルーナが元気になって、会いに行くのが早いのか。
それはわからないけど、でもやれることはやった。
それからルーナが元気になるまでに五日。その間におじい様からの手紙は来なかった。多分手紙は届いてると思う。だからこっちに届くまでに時間がかかってるんだと思うけど。おじい様からの手紙を待ってる時間はなかった。
「ここがノッテの家なのね」
「うん。ここにおじい様がいるはず」
家の中に入ると、私が来るのが伝わってたみたいで。おじいさまがいる部屋に案内された。
「おじい様」
「お帰りノッテ。そちらのお嬢さんがルーナさんだね」
「トリムエル・ルーナです。ノッテとの結婚をお願いしに来ました。私がノッテにお嫁に行きます。だからどうか」
「もちろんだとも。ノッテを幸せにしてやってくれ」
「え?」
もっと反対される勝手思ったのに。こんなあっさり認めてもらえるなんて。
「手紙とは行き違いになったみたいだね。ルーナさんとこ結婚祝福するとも。ノッテの幸せが一番だからね」
「おじい様、ありがとうっ」
私はおじい様に抱き着いた。うれしくて、認めてもらえて。
「最初からノッテが誰を連れ来ようと反対する気はなかったよ。もしかしたら連れてこないかもしれないという心配の方が大きかったくらいだ。儂もだいぶ苦労したからなぁ」
「苦労って」
「昔は黒髪だったんだよ。歳をとってから色が抜けてしまったけどね。妻はルーナさんみたいに髪の白ききれいな女性だった。娘には黒が遺伝しなくて安心していたんだが、孫に遺伝したと聞いて後悔したものだ。私のせいで辛い道を歩ませてしまうと。だから今とてもうれしいんだよ」
おじい様が黒髪だったなんて知らなかった、
「おじい様、おじい様がいなきゃ私はルーナに会えなかった、だからありがとう、この黒髪と黒い瞳をくれて」
「ノッテ、幸せになりなさい」
それから、ルーナが卒業して。私が卒業して。やっと結婚できる日が来た。
「ノッテ今どんな気持ち?」
「幸せ。ルーナと結婚できるなんて思わなかった。ルーナに会えてよかった」
「私も幸せよ。まだ式の前だけど。愛してるノッテ」
「私も愛してる。ルーナ」
唇と唇か触れ合って。そこから幸せが私たちを包んだ。
やっぱりキスは幸せの味がした。
完結です!
ここまで読んでくださった皆様。誠にありがとうございました。読みずらい時も面白くない時もあったと思います。それでも、ここまで読んでいただきありがとうございました。
ここまで書いてこれたのも、読者の皆様の感想などのおかげです。本当にありがとうございました。
後日談はそのうち書きますが、設定は完結にするつもりです。
本当にありがとうございました




