漆黒令嬢は傍観者になる
チェロに王族の血が入っている。パラディー様のその言葉に、私はもちろん驚いた。だってチェロが王族ってことになる。王族になるってことでええと……
当の本人のチェロのほうを見ると、驚いてるみたいだけどそんなに驚いてなかった。納得のいったような、とにかく驚いてなくて私のほうが驚いてる。
「チェロ、お主親は」
「母だけです」
「父親は」
「わかりません」
「そうか、少し待っておれ。人を呼んでくるでな」
「はい」
いったい誰を呼んでくるのか。衛兵なのか騎士なのか。罰せられるのかそうじゃないのか。
何が起こるのかわからない。罰せられることはないと思うけど
「チェロ、知ってたの?」
「知っていたというか。この服が高いものだとルーナ様に聞いてから私なりに調べてみたんです。母に聞いても教えてはくれなかったので。そしたら王城で昔着られていたものだとわかったんです」
「でもデザインが違うんじゃない」
今チェロが着ている侍女服は、私が知ってる王城の侍女服とは違う。もっとシンプルな侍女服が今の王城の服だったはず。重そうなチェロの侍女服とは違う。
「十年ほど前まではこの侍女服だったそうです。だから母はきっと王城の侍女だったんです。王城の侍女は貴族の令嬢しかなれないと聞きます。多分母も貴族だったんです。な貴族院の小さな家に住んでるんです。何かあったって予想つきます」
「チェロ……」
「でもどうして私に王族の血が流れてるのかわかりません。母は父親のことはなにも言ってくれませんでしたから」
チェロになんて話しかけていいかわからない。こんなことになるなんて、わかるわけないし
「すまんな、抵抗が激しかったもんじゃから」
抵抗が激しいって何の話?
「これ、暴れる出ないわ」
「んんん!」
パラディー様に連れてこられたのは、水の檻のようなものに入った王様だった。なんでどうしてこうなったの。なんで王様が檻に閉じ込められてるの。え、え?
「じきに王妃達もここに来るであろうから少し待っておくれ」
話についていけない。王様だけじゃなくてここに王妃様も来るの?
それに王妃様たちって、王妃様以外にも来るってことだよね。誰が来るのなんで来るの?
「二人は楽にして追ってよいぞ。何も悪くはないからの。急展開で話についていけてないかもしれんが説明は王妃達が来てからじゃ」
すぐに王妃様と王子や王女様が来て。この部屋に王族が勢ぞろいしちゃった。チェロは王族の血が入ってるって話だし。私ここにいずらい。ほかの部屋に居ちゃダメかな。
「あのほかの部屋に行っても」
「今更じゃな、それにノッテには用があってのここにいてくれ」
パラディー様に用があるなんて言われたら何も言えないよ。
「さて、申し開きしたいことはあるかの?」
「わ、わしはなにもしておらんぞ」
「ふむ、この娘チェロというんじゃが。我の祝福がある。この意味が分からんわけではあるまい?」
「し、知らんものは知らんのじゃ」
「あなた、見苦しいですわ。きりきり白状なさい」
私は一体何を見せられてるんだろ。王様が王妃様やパラディー様にに問いただされてる光景って。見ちゃいけないっていうか見ちゃダメなんじゃ。
「父上、早く話したほうが楽になれます」
「その娘に王族の血が流れてるからと言ってわしの子供なわけなかろう!」
「歳を考えれば十数年前じゃろう。そのころ確か侍女に手を出しておったな」
「あれは何もなかったはずじゃぞ……」
王様の言葉に力がなくなってきた。
「母の名はわかるかチェロよ」
「ミスティアです」
「あなたが手を出した侍女の中に同じ名前の侍女がおりましたわね。お話しましょうか、あなた」
「あ、あ、あ、あぁぁ」
「チェロさん、あなたも来て頂戴」
「わかりました」
王妃様に襟をつかまれてそのまま、王様は消えていった。そのあとをチェロと王子様や王女様がついて行って。部屋には私と、パラディー様だけになった。
「さて、あっちは王妃に任せておけばよかろう。それで、用というのは影の中にいる奴のことなんじゃがのう」
影の中って、シェイの事ばれてるっ!!
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昨日の絵はだいぶ適当にで書いてるのでお見苦しかったらすみません。




