黒い女の子と白い女の子
「今日はどこに行くのお父様」
「今日は教会に行くんだよ。ほらこの帽子をかぶっていくよ」
今日はおとうさまと教会にお出かけするの。おかあさまはお家で待ってるんだって。
馬車はがたごと揺れてお尻が痛くなっちゃった。そしたらおとうさまがお膝の上にのせてくれたの。
窓からお外を見てるうちに白くておっきなばしょについてたの。
「お父さんは中で用事を済ませてくるからここにいるんだよ、いいかい?」
「うん」
お父さんが中に入って行って、わたしはおとうさまが帰ってくるまでここにいなきゃいけないの。
沢山のお花が植えてあって、とってもきれいなの。赤いお花に青いお花に、でもやっぱり白いお花が一番好き!
黒いお花は探してもなかったから少し残念。
お花を見ながらお散歩してたら、白い服を着た女の子が椅子に座って本を読んでたの。私と同じくらいなのに本を読んでてすごいなって思ったの。
そしたら強い風がビューって吹いて帽子が飛んで行ったの。とんだ帽子を追いかけていったら白い服を着たおっきな人がいて帽子を拾ってくれたの。
「この帽子は君のかな?」
「うん」
「そうか……」
「どうしたの?」
「黒の髪に目……汚らわしい、早く目の前から消えなさい!」
「ひっぅ」
おっきな人が怖い顔をしておっきな声を出してどっかにいちゃって。こわくてこわくてびっくりして
「うわぁぁぁん!」
怖くて怖くて泣いてたら、本をもって白い女の子がこっちにきたの。
「ふっぇ、ふっぇ」
「だいじょうぶ?」
「ぇっぐぇっぐ」
「ないてるの?」
そういって白い女の子がハンカチで顔を拭いてくれたの。きれいなハンカチを汚しちゃったのだからあやまったら
「いいの、ハンカチはまた洗えばいいから。綺麗な髪」
「ふぇぇ?」
「光が反射して奇麗。帽子で隠すなんてもったいないよ」
さっき怖い人が汚いって言った髪を、きれいって言ってくれたの。わたしの髪をきれいって言ってくれるのはおとうさまとおかあさまだけだったの。お世話をしてくれる人とかは、怖い人とおなじく汚いっていうの。だから白い女の子がきれいって言ってふぇぇって声がでちゃった。
「でもおとうさまが被ってなさいって言ってたの」
「なら帽子は被らないとね。はい」
「ありがと」
「あなたのお父様は?」
「中に入ってってここで待ってって」
「じゃあ、一緒にいましょ。二人で本を読むの」
「いいの?」
白い女の子が本を読むのの邪魔になると思ったけどいいのかな?
「ちょうど一人で退屈だったし、一緒に読みましょ」
「うん!」
文字のお勉強はむずかしくてまだ読めない字があったけど白い女の子が教えてくれたの。でも難しいお話でよくわかんなかった。
「んぅぅ」
なんか眠くなってきちゃって目をごしごしした。お日様があったかくてぽかぽかするからかな?
「なんだか私も眠くなっちゃった。ふぁーー」
白い女の子も口に手を当てたおっきなあくびをしたの。そしたらあくびが移ったの。
「ふあーー」
「「ふふふ」」
一緒にあくびが出たから一緒に笑ったの。でもやっぱり眠くてうとうとしてたら寝ちゃった。
「ノ……ッテ……ノッテ」
「おとうさま?」
「起きたかいノッテ」
「うん。あれ?」
「どうしたんだい?」
「あのね、白い服の女の子と一緒にいたの。でもいないの」
起きたらおとうさまがいて、白い女の子がいなくなってたの。
「ほかの子もいたのかい?」
「うん、一緒にご本読んでたら眠くなちゃってたの」
「そうなんだ、お礼を言いたいけど居ないんじゃ仕方がないね。帰ろうか」
「うん」
おとうさまとおててをつないで馬車に乗って帰ったの。お家に帰ってお母様に今日のことはなしたの。
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