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漆黒令嬢は看病する

体調崩しやすくなって参りましたね。主に私が。そして前回の続きは特にないですけどもしかしたら追記する時は言います

 

 風邪をひくと寂しくなる。体と一緒に心も弱ってるからなのかな。

 人肌の温もりが恋しくなる、誰かにそばにいて欲しくて。ベットから手を伸ばしちゃうもの。


「ルーナどうしたの?」

「果物食べたい」


 今日は休みで、ルーナと遊びに行こうって約束してた。だからルーナの部屋に来たんだけど。中に入ったらミシェルさんがルーナの看病をしてて、看病を私に任せて薬貰いに行っちゃった。


「皮剥くからまってて」


 小さい頃、私が風邪ひいた時こうして果物を剥いてもらった。お父様とお母様に、看病してもらって。懐かしいなぁ……


「はい、あーん」

「あーん。……美味しい、ノッテが剥いたからね」

「元々が美味しいんだよ。でも、昨日元気だったのにどうして風邪に」


 昨日の放課後も、部屋でルーナと一緒に過ごした。お茶を飲んでお話して。お昼を一緒に食べた時も元気だったし。体調悪そうには見えなかったけど。


「着ていく服を選んでたら、そのまま寝ちゃって。途中で起きてベットで寝たんだけど、起きたら体だるくなってたわ」

「それってつまり、体冷やして風邪ひいちゃったの?」

「そうみたい、ミシェルが言うには明日には治るって言ってたけど。今日は出かけられなくてごめんね」

「ううん、ルーナが元気なのが一番だから」


 ベットで弱々しいルーナを見てると、普段と違う感じですごくドキドキする。いつもはルーナにいじられてばっかりだから、弱々しいのは私なんだけど。ルーナもこんな感じになってるのかな、虐めたくなっちゃう感じって。


「ミシェルさんまだかな」

「そのうち戻ってくるわよ、薬取りに行くだけだもの。それよりノッテ、手握ってちょうだい」

「はい」


 何時もよりも熱い手。柔らかいのはいつもと同じだけど、力があまり入ってない。何時もと違ってギュッて強く握るとダメだから、優しく包む感じで握る。


「滅多に風邪なんて引かないのよ、本当は」

「そうなの?」

「祝福の力で風邪とかになりにくいから。その代わり、風邪になると一気に来るんだけど」


 祝福の力でなりにくいとかあるんだ。祝福の力……例えば青の祝福なら冷たい水で布を冷やせるし、緑の祝福のなら薬の材料を育てられるし。

 そう考えると私には何ができるんだろう。

 影を操って何かをするって言っても、それは手ですればいいし。祝福の力で何かしようとすると、私って何も出来ないのかな。


「看病しか出来なくてごめんね。祝福の力で何が出来たらよかったんだけど」

「ノッテはそばに居てくれるだけで良いのよ。祝福にも向き不向きがあるし、出来ることをするしか無いのよ。だから、また果物が食べたいわ」

「うん! 今剥くね」


 次はどれがいいかな、ちょっと酸っぱいこれにしようかな。


「そういえばシェイは?」

「シェイならチェロと出かけるって居なくなったけど」


 わたしがルーナの部屋に行く前、起きて準備をしてる時。シェイにも手伝ってもらって髪を梳かしたりしてた。


「今日は何処に行くんだろう、楽しみ」

「私はチェロと歩く」

「シェイもチェロと出かけるの?」

「約束したから。ご飯食べたりするって」

「シェイって食べれたんだ」

「食べれるし味も分かる」

「食べたのってどこに行ってるのかな」


 シェイは祝福そのもので、身体が影で出来てるから。そもそも食べたりできるなんて思わなかった。


「それは分からない。どこかに消えてる」

「それはそれで怖いような。チェロに迷惑かけないでね」

「わかってる。チェロに迷惑をかけるようなことはしない」

「それならいいんだけど」


 っていう会話をした。


「食事できたのね。ほんとよく分からないわね。謎だわ」

「シェイもよくわかってないみたいだし、まだ何かありそうだけど」

「何かあれば言ってくるわ。それにしても羨ましいわ、本当ならノッテ出かけてたって言うのに」

「ルーナがベットで寝ないから風邪ひいたんでしょ?」

「私だって、ベットで寝るつもりだったのよ。でもそのまま寝ちゃったのよ、なんでか分からないけど」

「疲れてたのかな」

「いつも通りだったわよ。いつも通りじゃないのは風邪ひいたことくらい」

「不思議だね」

「ノッテ、ミシェル戻ってくるまで一緒に寝ましょう。風邪と言ってもうつらないし」

「良いけど、大丈夫?」

「大丈夫よ、それにノッテと寝た方が治りが早いの」

「寝たいだけでしょ」

「嘘じゃないわよ。ノッテと寝ればリラックス出来てよく眠れるもの」

「ミシェルさん来るまでだからね?」

「ええ、それじゃおやすみ」

「おやすみルーナ」

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