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18/40

漆黒令嬢は初めての町で光に出会う

頭ガンガンする……

「巫女様、今日も美しゅうございます」


 男が来た。幾度となく私の前に現れた男。この男はこの教会の中でそれなりの地位にいるようだった。初めの祝福ではこの男が仕切っていた。護衛を私の部屋の前に置いたりと人を動かすこともできる。


「実はお願いに参ったのです。虐げられていた我らは、巫女様のお力で力を扱えるようになりました。我らには力があると、国に民に知らしめるために街々を巡っております。しかしながら道中妨害が手酷くなかなか上手くゆきません。そこで、巫女様のお力を示していただきたいのです。巫女様のお力を見れば頭の固い民も(まなこ)を開くでしょう」



 街を巡っている。確か、チェロがモノクロ教は教会を破壊していると言っていた。妨害はたぶんカラー教の司祭か衛兵出しょう。

 何が正しいのか、私には分かりませんが。力を示せという命令なのであれば従うまで。


「分かりました」

「我らを憂う心、正しく聖女様の慈悲にござります。ささ、馬車を待たせております。こちらへ」


 どこまで行くのだろうか、馬車に乗る私にはわからない。外を知らない私にはわからない。この道もこの場所も。


 ガタガタ揺れる馬車は門へとたどり着き中に入ってからは歩くことになった。この街の名はなんと言うのか、それも分からない。


「この街には高位司祭が居るようで、なかなか教会を壊せないのです。司祭さえ止めていただければ私どもで、どうにか致しますので」


 司祭、この男のような存在がいる。私が力を与えてまだ日が浅い。昔からある祝福に対抗するのは難しいのかもしれない。でも命令だから。


「あの女が、我らの邪魔をするのです。巫女様お願いします」

「門から連絡が来たから待ってたわよ。今日こそは捕まえるわよ」

「ルーナ様お供致します」


 協会の前、二人の女性が居る。どちらかが司祭なんだろうけど、白い髪の女性がそうなんだろう。カラー教は白を神聖なものだとしているから。

 でも二人だけでどうにかなると思っているのだろうか。私の他にも五人いる。人数の差は戦闘において純粋な力になる。


 手始めに影をぶつける。

 私の影が伸びて、白髪の女性の足元で棘になる。


「見飽きたわそれ」


 手を横に一払い。それだけでトゲが消える。


「光は影を消す。当然でしょう、ミシェル捕縛して」

「はいルーナ様」


 影では意味が無いらしい。私が与えた影では勝てないのなら。

 もう一度影を伸ばす。近ずいてくる赤い髪の少女に


「意味が無いと気づきなさい」


 赤い髪の少女は、生み出した炎で砕く


 筈だった。


「避けてミシェル!」


 炎を貫き少女を貫く筈だった棘は、炎だけを貫いた。


「そんなどうして……」


 私のことを、驚いた表情で見てくる。


「ノッテよ、チェロが言ってたでしょ。ノッテが祝福を与えてるって」

「ですが、与えていると言っても同じものなのでは」

「劣化したものが与えられてるなら、ノッテのが本物よ」


 私が何を与えてるか、知らない。私は命令に従うだけ。

 影をさらに伸ばす。二人を狙って。


「舐めんじゃないわよ」


 光と私の闇がぶつかる。光は闇を消し、闇は光を飲み込まんとする。力は拮抗し、動かない。

 手が足りない私だけでは。だから増やす


「ノッテを止めてる間に他の奴らをやって」

「お任せ下さいルーナ様、今度こそ」


 私の周りの影が膨らみ始める。縦に長く突き出し、それは獣の姿に変わっていく。

 一、二、三、その数は増えていく。


「ルーナ様……」

「ノッテ……」


 獣は教会に向かって走っていく、それでも教会に近づくことは出来ない。白い女性に、近寄ることが出来ない。

 睨み合いが続く。


「ノッテ! こんなことするだけ無意味よ。目を覚ましなさい!」


 かつての私の名前を呼ばれる。だがそれがどうした。かつての私はもうどこにも居ない。存在証明たる記憶が無い以上。私がノッテという名であったことを証明するものは何も無い。

 目は覚めている、目は見開いている。目覚める必要などない。


 さらに力を強くしていく。より深い闇に、深く深く。足元に黒い霧が広がっていく、初めて祝福をした日のように。

 光もまた強くなって行く、私の力と拮抗するように。


「巫女様」


 後ろから声が聞こえる。あの男の声だ。


「この街での目的は果たせました。教会は私達を止めることが出来なかった、聖女の力を持ってしても。これでカラー教の力は落ちることでしょう、さあ帰りましょう」


 新しく獣を生み出し、馬車に戻る。


「ノッテ!」


 後ろから、白髪の女性の声が聞こえる。


「絶対にあなたを迎えに行くわ、絶対によ!」


 門番を退(しり)ぞけ、馬車は森の中を進む。

 追っては来なかった、獣に手こずっているのだろう。私を迎えに来ると言っていた。なぜ、どうして。

 私の居場所は、あの教会だというのに。


 教会の私の部屋で、月を見る。私には手に入らない光。まだの外の茂みが揺れた、黒い動物がきたのだろうか。窓を開けていると、出てきのはあの日私に私の名前を教えてくれた少女だった。



 良ければブクマとかポイントとかポチッと気分でお願いします。

頭痛いのは二日酔いとかではなく。自律神経の乱れです。再開といえば再開した闇落ちノッテちゃんとルーナ様。

闇堕ちノッテちゃんはチェロと何するんでしょうね

感想もらえると、私の自律神経の乱れが治るはずもないのですが。嬉しいのでほしいです

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― 新着の感想 ―
[一言] 前々話から急展開でしたが、この相対する展開も好きです。 ノッテちゃんの二重人格は誘拐された際の薬の効果なのか黒の性質なのか。 続き楽しみにしてます。あまり無理をされず頑張ってください。
[一言] なんかシリアスすぎて読むの辛い…短話の時のほうが好きでした
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