漆黒令嬢は攫われる
こんな時間ですが更新です。そしてある意味の2章後半スタートです
そしてサブタイが変更し忘れてたのでちゃんとしたのに。
仮タイトルがバレてしまいましたね。
ミシェルさんとチェロがお店から出てくるのを、ルーナとお話ししながら待つ。お話しするのがデートなら部屋でもデートしてることになるのかな。授業のこととか、貴族院のことを離してたらお店から二人が出てくるのが見えた。ルーナにそのことを言って、お店を出た。
「ルーナ様!」
「お帰りなさい。ちゃんと買えた?」
「はい。ノッテ様の部屋に届くように手配も済ませてあります」
「それじゃ、いきましょうか。買い物の続きよ」
「少しは休憩しようよ。また買いに行くの?」
二人が帰ってきたと思ったら、すぐにルーナが買い物に行くって言い始めて。二人は帰ってきたばかりだし、少し休憩してもいいと思うんだけど。
「私もここでノッテと話をしていたいけど、時間は有限なのよ。今日はノッテの服を買って、それからゆっくりご飯よ」
「私の服なんていらないよ。今ので十分だし」
「今持ってる服、何あるの?」
「貴族院の服に、出かける用の服。礼服に喪服と寝る時の服。これだけあるし大丈夫だよ」
あれ、なんで皆に見られてるんだろう。おかしいこと言ったかな。普通だよね、別に持ってない服はないし。
「出かける服は何着持ってるの?」
「一つだけだけど」
「ノッテ様、さすがに一つはおかしいです」
「私も五着くらいあります」
「一つあれば十分でしょ? 貴族院にいる限りは貴族院の服を着るんだし」
外に出る機会なんてそうそうないし、子爵の仕事には礼服を着るし。休みの日も、お爺様からの手紙と領地の報告を読んで返信しないといけないし。
「そうだけど、そうだけどノッテ。少しはおしゃれしましょうよ。あなたが休みの日は大体、領地の仕事をしてるのも知ってるわ。今日だって帰ってからやるんでしょう?」
「うん」
「なら部屋でくらい綺麗な服を着てほしいの。私が嬉しいから」
「ルーナが嬉しいの?」
「そうよ」
ルーナが喜ぶなら、着てみてもいいのかな。私はいらないけど、ルーナが喜ぶ姿は見たいし。昨日私の服を選んでたルーナはすごく楽しそうだった。服を選んだり買ったりするのがルーナにとって楽しいことなら私もやりたい。
「わかった。行こ」
「よし。それじゃあ、服を買って。そのあとは皆で食事ね。あ、使用人だからってのはだめよ。チェロも一緒にだからね」
「わ、わかりました」
チェロって、予想外のこととかには弱いっていうか。元に戻っちゃうんだ。なんか可愛いかも?
「さて、ノッテを着飾るならどこの店がいいかしら。高すぎると拒否されそうだし、安いとこだと服がよくないし」
「灰の髪をした店主が営む服屋があります。貴族は来ないようですが平民には人気があり、服もそれなりのものがあるそうです」
「そこなら私行ったことがあります。貴族向けのお店には及びませんが、いい服を売っているお店です」
「チェロが行っても大丈夫なら、ノッテも大丈夫そうね。そこに行ってみましょう」
服を買うのは久しぶりな気がする。背があんまり伸びなくなってから、服の大きさが変わらなくて。夜会には出なかったからドレスも買わなかったし。あれ、礼服を買ったのが一番最近かな。その前はいつだったか忘れちゃった。それに自分で服を買うのも初めてかもしれない。お母様とお父様がいつも買ってきてくれたから。
「服買うの楽しみ」
「私もよ。そうだノッテ、デートの時は手をつなぐものなの。だから手をつなぎましょう」
「わかった」
楽しそうなルーナを見てると私も楽しくなる。だからルーナの手をつかもうとして、馬の鳴き声が聞こえた。握ろうとしてた、ルーナの手が遠くなって……
「ルーナ様!」
馬の声は暴走した馬車とともに、こっちに近づいていた。通りに近い場所にいたルーナは、ミシェルさんが抱きかかえて避難させていた。
私もチェロとここから離れないと。
私の体はいつの間にか動いて、馬車から離れようとしている。チェロも離れないといけない。チェロ、と声をかけようとして、声が出なかった。それどころかチェロとの距離はどんどん離れていく。私の体が私の言いうことを聞かない。私の体が勝手に動いている。
違う、私は動いてるけど、私は地面に足がついていなかった。私は誰かに抱えられていた。ミシェルさんに?
ミシェルさんは今もルーナを抱きかかえて馬車から離れてる。
私は誰に抱えられてるの、私はどこに行くの……
もがくうちに、口に布をあてられ。意識がスーッと解くなって……いっ……た
良ければブクマとかポイントとかポチッと気分でお願いします。
Q感想は貰えたりするものですか?
思いついたら、と言うか私の場合観測したらですけど。書くのを止められないやめられない治まらないということで。ノッテちゃん誘拐されました。
そして普通ならここでルーナちゃん視点で助ける物語が始まりますが、主人公はノッテちゃん。このまま進みます。黒ってなんなのか、わかっていきますよ