漆黒令嬢は聖女に甘えるそして二人きりに
「さあさあ、デートよ。と、その前にノッテの部屋に必要なものを買わないといけないわね」
「私の部屋に必要な物って?」
チェロを雇ってから、元々の予定だったデートをすることになって。ルーナはルンルン気分だったんだけど、思い出したかのように気分が落ち着いた。でも私の部屋に必要なものなんてあるのかな。
「ノッテ様。チェロが使用人として、ノッテ様のお部屋にこれから居るのです。ノッテ様だけでなく、チェロが仕事をする上で必要なものもあるので」
「そっか。気付かなくてごめん、チェロ」
「いえいえ、そんなお気遣いなく。ルークイン子爵様」
「子爵はいらない。部屋の中もノッテで良いから」
「ルークイン様で部屋の中ではノッテ様ででいいでしょうか?」
「お願い」
案内所にいた時は、こう少し頼りない感じがしたけど。契約してからは、出来る使用人になってる。受け答えもミシェルさんみたいだし。
ちなみにチェロとの契約は、朝から夜までで。家から貴族院に通うことになった。貴族院にも使用人の部屋があるにはあるけど。お母さんが心配だからと、そういう契約になった。今日は貴族院に一度来てもらって、通行証を発行してもらわないといけない。
「チェロって子。おどおどしてた割にはちゃんとしてるわね」
「そのように躾られているのでしょう」
「着くまで、チェロの事を聞きたい。聞けることだけでいいよ」
前の方でルーナもミシェルさんと話してる。何話してるんだろう、デートのことかな。
「硬いノッテも可愛いわ。新鮮だし」
「外ですので、ルーナ様ももう少しちゃんとしてください」
「あら、じゃあこのかつら取らないといけなくなるわよ」
「このままデートしましょう、ルーナ様」
デートの事だったけど、最初の方聞こえなかった。買ってから行く場所の話かな。
「私のことですか」
「話せることだけでいいよ。話せないこともあるだろうから」
「そうですね。母と二人で暮らしてます。母も昔は使用人をしていたそうで、この服も母の物なんです」
「じゃあ、チェロが使用人になりたかったのもお母さんに憧れて?」
「はい。使用人になるために、沢山教えてもらいました」
チェロのお母さんが使っていた服。チェロに似合ってるし、このままでも凄くいいんだけど。
「ルーナ、チェロの服も買わないとダメかな」
「私はいらないと思うけど。ミシェル、あなたから見てどうにかしら」
「生地などは古いように見受けられますが、手入れがされているのでこのままでも問題ないでしょう。それに古くて判別は難しいですが、恐らくその辺で売っている服よりは上等なものです」
「それってあなたがいつも着ているのと同じかしら」
「同じか少し下でしょうか。年月が経っているので断定は出来ませんが」
「ノッテ、とんでもない子を見つけたわね」
「え?」
なんのことかさっぱり分からなかったけど。すぐにチェロのことだって気がついた。
「ミシェルがいつも部屋で、というか貴族院が終わってから着ている服あるでしょう。あの使用人服わね、服のランクとして最上位の物よ。仕立て屋の腕も生地もね。それと同じか少し下だってミシェルが言うんだから。チェロのお母さんは、相当位の高い貴族の場所で働いていたことになるわ。その技術を教わったチェロを雇えたんですもの。幸運よ」
「この服がそんなにいいものだったなんて、初めて聞きました」
「なんで教えてくれなかったのか、私にはわからないけど。聞いてみたらいいわ、今日帰ってからでも」
「はい聞いてみます」
話しながら、ルーナとミシェルさんの後を追っていたら。目的地についてたみたい。
「それじゃあ、ミシェルはちょうどいいのをチェロと探してくること。お金は私が出すわ」
「ルーナ悪いよ。私の部屋で使うのだから。私が出さないと」
「ノッテの部屋に行くのは私だからいいのよ。向かいのお店にいるからね」
「チェロさん行きましょう、ちょうどいいもを探してきますので待っていてくださいルーナ様」
「はい、ミシェルさん」
「えっと、行ってらっしゃい」
ルーナに押し切られて、ルーナがお金払うことになっちゃったけどいいのかな。いや、よくないよね。確かにいつものようにルーナが部屋に来るけど。ルーナだけが使うのじゃないし。私だって使うことが……
そこまで考えて今までの生活を思い浮かべたときに、必要としてなかったことを思い出した。今の部屋の状態がで普通に貴族院で生活ができてたし。ルーナが部屋に来なきゃ使わないから、間違ってないのかな。
お金を払うべきなのか、ルーナに甘えるべきなのか。考えれば考えるほどに怪しくなる。結局私は甘えることにした。
「ルーナ、ありがとう」
「いいのよノッテの喜ぶ顔が見たかったんだから。それにこうして、ミシェルとチェロを遠ざけることもできたし」
「え?」
「向かいのお店で、待ちましょう。デートだから楽しまなきゃだめよ」
「楽しいのかな。デートってよくわからないけど」
「これから楽しくなるのよほら」
ルーナから差し出された手を私は
「うん」
握った。
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クリミナルガールズXやってたら更新忘れてましたすみません。ゲーム作品で心に刺激を受けた作品の続編でつい。
感想もらえると嬉しいなと今回も言ってみる




