感触
ほまれは、目の前の不審なものに、驚きつつも、それが何者なのか興味を持ちました。
それは、自分がなぜここに居るのか、今までの事を勝手にぺらぺら話し続けました。
そして、ほまれがじっと自分を凝視していることに気がつくと、はっと、して言いました。
『ご、ごめんなさい。わたしばかりお話ししちゃって・・・。』
みのりが、少し照れ臭そうにうつむくと、ほまれは、みのりの両の頬をきゅっと、つまみました。
人の頬ならば、むにっとした感触がするはずですが、みのりの頬は、少しごわっとした感触・・・これは・・・
『てるてる坊主!』
ほまれは、思わず声に出してしまいました。
みのりの頬は、ティッシュペーパーを丸めて作った、てるてる坊主にそっくりでした。
おろおろするみのりを差し置いて、ほまれは更にみのりの顔をいじりました。
『本当に人じゃないんだね!
私、妖怪なんてはじめて見た!!本当にいるんだぁ!』
『妖怪!?・・・い、いや、わたしは妖怪じゃないよ!
どちらかと言うと、妖精?だと思うんだけど・・・』
『どっちも同じじゃない!』
ほまれに“妖怪”と言われ、みのりは少しだけ落ち込みました。
しかし、先程まで落ち込んでいたほまれの顔が、いつの間にか笑顔になっているのを見て、なんだかくすぐったい気持ちになりました。