きょうふを覚えて
みのりが、せいいっぱいに背伸びをして、家のなかをうかがっていると、声がとんできました。
『おいっ。おめぇ、だれだ!?』
みのりは、おどろいて、ふりむきました。
見ると、中年のおとこが、みのりをいぶかしげに睨んでいました。
おとこは、みのりのことを、しばらくみまわしていました。
そして、みのりが野菜を持っていることに気づくと、鬼のような顔になって、怒鳴りました。
『さては、おめぇ!泥棒だなぁ!?畑泥棒だな!』
『えっ・・・?ちがっ・・・!』
みのりは、あわてて否定をしましたが、おとこは聞いてはくれませんでした。
『泥棒だぁーー!泥棒ーーー!!!』
おとこの声に、村の人たちが数人あつまってきました。
みんな、鎌やあみ、さすまたなどを手にもって、みのりをとりかこみました。
おとこは、背負っていた猟銃をぬき、みのりにむけて、かまえました。
もう、どれだけ走ったでしょうか?
みのりは、村の人たちに叩かれたり、おどされたりして、ひっしに逃げました。
持っていた野菜は、逃げみちにごろごろと転がっていました。
みのりは、村のはずれの、森のなかにかくれるとこにしました。