まんげつの夜に
そんなある日のことでした。
みのりは、いつものように畑に立って、おじいさんとおばあさんが来るのを、待っていました。
しかし。太陽が目を覚まして、東の空に顔を出しても、
空の天井に上りきっても、
西の向こうへ帰っても、
おじいさんとおばあさんは、畑へ来ることはありませんでした。
次の日も、その次の日も。
おじいさんとおばあさんは、あらわれませんでした。
みのりは、ふたりが畑に来なくなって、心配になりました。
だって、おじいさんもおばあさんも、それまで、1日だって、仕事を休まなかったのですから。
(きっと、おじいさんとおばあさんに、何かあったんだ!)
そう思うと、いてもたっても居られず、その日の晩に、月に向かってお願いしました。
とてもきれいな まんげつ でした。
『かみさま、かみさま。お願いします!
おじいさんとおばあさんが、畑に来なくなってしまいました。
わたしは、心配でたまりません。
どうかわたしに自由に歩けるちからを下さい!ふたりの居るところへ行かせて下さい!』
すると、急にあつい雲が空をおおい、まんげつをのみ込んでしまいました。
空はみるみる嵐になって、雷がなりひびきました。
そして、そのうち、ひときわ大きな雷がみのりの上に落ちてきたのでした!
ガラガラビッシャーーーーン!
みのりは、棒の足が折れて、畑に倒れて、きぜつをしてしまいました。