表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

番外編:アルル様の心情

初めまして、僕の名前はアルル・ミズリットです。ミズリット王国の第二王子です。父上と母上には大事に育てていただきました。兄上も僕をそれはそれは可愛いがって下さりました。しかし、その兄上が倒れ病弱になられると今まで兄上に向いていた期待が一斉に僕へと集まりました。すると王子である僕に媚を売ったり自分の娘を勧めてきたりする貴族達が増え、僕は嫌でも大人への対応の仕方を覚えてしまったのです。


そんな僕に父上は言いました。

「アルル、これからも王子のお前を利用しようとする輩は沢山いる。だからな、誰も信じるな。人に感情を見せてはいけない。分かったね。」

「はい、父上。」

幼いながらにしてこの言葉の意味を理解していた僕はそれから感情を閉ざし、周りの人達が望む優しく完璧な王子を演じました。もちろん家族だけの時は演じるのをやめていたし、兄上も辛くないかと僕のことを気遣って下さってくれたので気になりませんでした。しかし家族以外は『僕』という一人の人間ではなく、王子としての僕しか見てくれないので少し寂しかったですが、僕はその感情さえも笑顔で潰してしまいました。





そして四年がたち、僕は九歳となった。相変わらず周りの貴族達は僕に媚を売り続けている。僕はこの四年間ですっかり貼り付いてしまった笑顔で適当にあしらう。とうの昔に感情など忘れてしまっていた。

そんな僕に貴族達が婚約者をと騒ぎ始めた。兄上はもう隣国の王女との婚約が決まっているため、第二王子の僕に目をつけたのだろう。有力候補がいるから有力候補が現れる前に王子の目にとまろうということだろう。アイリーン公爵家。王族の次に権力を持っていて、そこの令嬢が歳も同じということで最有力候補となっているのだ。

しかし所詮は貴族、甘やかされてさぞ高慢で我儘に育っているのではと思っていた。だから他の貴族と同じように笑顔で接すれば思いどうりに動く駒になると思った。


僕はアイリーン家の令嬢に会いに行った。しかしその令嬢は高熱で倒れてしまったらしい。仕方ないので、一度王宮へ帰り翌日また会いに行くと、アイリーン家の令嬢はベッドの上で何やら考え込んでいた。彼女の名前はリリス・アイリーン。一目見ただけでも印象に残りそうな夜空を思わせる紺色の髪と濃い青色に少し紫色が混じった瞳を持つとても美しい少女で、考え込んでいる姿も絵になっていた。しかしそんな少女でも性格が悪ければ意味がない。僕はいつもの王子様スマイルを浮かべていたわる言葉をかける。すると少女はふわりと笑い、丁寧に感謝を伝えてきた。その目はいつも貴族達が浮かべている気持ちの悪い目ではなく、純粋な感謝の目だった。その瞬間、ドクンと胸が高鳴り、僕はこの少女、いやリリスを『欲しい』と思った。

僕は自分自身の気持ちにびっくりし、長年の笑顔が取れてしまったが、リリスの不思議そうな顔を見て気を取り直した。


リリスはその後僕の話を聞いていなかった。何を聞いても上の空な返事しか返さず、何かを考えている様子だった。僕はこの様子に便乗し、リリスに婚約を取り付けた。そして僕が出ていった後に聞こえた叫び声に少し満足するのだった。



それから一週間後、リリスに会いに行くとリリスの兄に会った。リリスが婚約破棄を言い出したのはびっくりしたけど、どうにか破棄させないように出来た。しかし兄のルイシスが妹にご執心らしく、しばらく睨み合って──正確にはニコニコ顔で──いたがリリスに止められ、終わった。しかも婚約破棄ではないものの婚約者から婚約者候補にすることになってしまっていた。でも僕はリリスを諦めない。

どうやらリリスは自分の美しさを分かっていないようなのだ。だからもしもリリスに近付く貴族の子息がいたら潰しておこうと困惑しているリリスを見ながら僕は思うのであった。

ここまで読んでいただきありがとうございました!


「面白かった」・「更新早くして」などの感想や評価をいただけると幸いです!!!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ