イスティ・イル・フィズラース153『東方大遠征:サガサ族からの逃避行』と『世間知らずの勇ましい娘たち』の話
『東方大遠征:レーム北部戦域』、『彼女たちのサガサ族からの逃避行』
前回の続き、『冒険者ゴメス』が『ヒート・アプリ族のアニシャとルキヤ』に告げた言葉以下のとおりである。
「俺らに向かって『タマついてんのか?』とか舐めたこと言ったなお前ら? 『金』にならねーからやんねーが『人ひとり殺したこともない小娘』どもに舐められたらこっちは『商売あがったり』なんだよ。お前らをここで『辱めて』汚辱を雪いでやろうか? だがもし『報酬』さえ用意してくれるのならあんたらはその瞬間から俺らの『雇い主』だ、『仕事』とあれば『アステマやアムシャ』と戦ってもいいんだ。まあそうなると『競売』に自動的になっちまうわけだが……で? 本当にやんのか?」とゴメス。
だがルキヤもそう言われても『う』とうなるだけで二人とも何も言わない。彼女たちは『気が強い』と言っても『頼るあてがないために必死に自分を売り込まないといけない』イスティ達とは違うのだ。そして見かねてマーレト族長がアニシャとルキヤの肩を叩いた。
「…………それ以上はやめておけ。しょせん我々は『非戦闘員』だ。今この場で自分が『冒険者』たちを『買収』して『将軍』として振舞うなんて想像もつかんだろう? 怖がることは別に恥ではない、それが普通だ……まあどうせここにいる連中は『盗賊ギルド』に参加すら許されなかった『程度』の連中だがな(威嚇)」とマーレト族長。
「「……(赤面しているが何も言えない)」」とアニシャとルキヤ。
「族長殿も娘っ子に劣らず『負けず嫌い』だな(呆れ)」とゴメス。
「いっておくが俺たちは『わざと盗賊ギルドに参加しなかった』だけだぜ? そもそも別にあれはそんなに『待遇』がよくもなかったしな」とシャクンティ。
「そもそも『盗賊ギルド』なんて『劣勢』になってからできたような組織に参加する奴の気が知れないけどねこっちは」とアマリサ。
「だよな、ぜってー『捨て駒』にさせられそうだったもんな。あんなに大量に参加してたのが信じられねーもん俺」とイブルサ。
『タルキュア擾乱』に参戦していた『盗賊ギルド』を当然だがカムサたちは知らなかった。なのでバラダグに早速尋ねる。
「『盗賊ギルド』とは? 『冒険者ギルド』とは違うものなのですか??」とカムサ。
「『冒険者ギルド』は現在ほぼすべての戦力を『大魔王ニエベ』の軍勢に向かわせている。ゆえに『アラマン人』に対して『冒険者』を動員するために『ナバーハン候』が創設されたのが『盗賊ギルド』だ。ごく最近できた組織だな」とバラタグ。
『大魔王ニエベ』もカムサたちはよく知らなかった。なのでイスティが付け加える。
「『大魔王ニエベ』はここから南の『レーム大砂漠』に地盤を持つ『鬼族』の大魔王です……確かハッシュ先輩以前会ったことありませんでしたっけ? そんな話をしていたような……」とイスティ。
言われたハッシュが首をひねってから、
「…………いたっけそんな奴? いつの話だ??」とハッシュ。
『ほらご主人様☆ シュナーヘルさんと一緒に『ウランダリア』に行ったときにであった『五人の鬼族』ですよ☆ なんかちょっと強くてシュナーヘルさん苦戦してたじゃないですか☆』とデージャ。
「『魔女』が苦戦するなんてことはちょっと考えられませんがね」とイスティ。
「どうしたのイスティ??」とカムサ。
『あ、そういえばそういう話を『レーム北部』で再会した時に言ってたような……』ニムル。
ハッシュはそこで『濃厚な靄』の中から『2020/12/9日投稿分』の記憶を掘り起こし、そこでであった『右目に眼帯をつけた戦闘狂の鬼族の魔王』を思い出した。
「…………あ! いたなそんな奴! そうそう! 確かシュナさんが『ナエボス(ニエベ)』とかなんとか言ってたぜ! いや~完全に忘れてたな~、皆にも話したっけ?」とハッシュ。
「何回か話してるはずよ(呆れ)。どんな感じだったの?」とカムサ。
「いや『どんな感じだったか』って言われても……まあ強そうではあったな。でもシュナさんにいいようにあしらわれてたからあんまり『やばい』って印象はなかったけど……」とハッシュ。
そこでシャクンティがいう。
「『ニエベ』のやばさはあいつが自ら作り上げ率いている『軍隊』だ。それにさしもの『ニエベ』も単独で『魔女』相手に『白兵戦』じゃあ勝てないさ。だがそれが『集団戦』となると大きく話は違ってくる。おそらく『風の王』と『魔女』が『魔術師ギルド』の戦力を総動員しても『ニエベ軍』には勝てないだろうな……つっても『ニエベを暗殺』すればいいだけかもしらんが」とシャクンティ。
それに対してイスティが意見する。
「…………これは以前も述べた気がしますが、『ニエベ』を『暗殺』することはおそらく『魔女』でも『風の王』でも『不可能』です。『縛って遠くに追い出す』くらいならできるでしょうが、『邪神レアグマの寵児』は絶対に『暗殺』できませんよ」とイスティ。
『『レアグマ神』が守るからってこと?』とニムル。
「それもありますし、ニエベは『殺意』にものすごく敏感で『殺意のない相手』には手を抜くからです。ですから『あいつ』は……いえ、もちろん『噂で聞いた話』ですけどね(汗)」とイスティ。
『へ~(わかったようなわからないような)』とニムル。
この時ニムルは『生返事』ですぐにこの会話の内容を忘れてしまったし、ハッシュはもう興味を失って『それで何の話をしてたっけ?』とぼやいてデージャに『サガサ族との戦争にアラマン軍やニエベ軍の動きを知るべきか否かという話です☆』と指摘されていた。そしてカムサは『反抗的な『ヒート・アプリ族』たちを黙らせるのはやはり『戦力』ね……』と独り言をぼやいてマーレト族長からにらまれていた。
だが彼女たちはこの『会話』を後で『後悔』することに……いや、『忙しすぎて』後悔なんてしてる暇はないか? そして『管理者バラダグ』が全員に向かって怒鳴る。
「ごちゃごちゃうるさいぞ! どっちにしろ『アラマン人』と『ニエベ族』が近くにいるんだから一応知っておいた方がいいだろうが! それにここにいる『冒険者』どもは全員『盗賊ギルド』に参加しなかった『帝国に非協力的で『盗賊ギルド』に参加した連中よりもさらに『等級付け(信頼度)』の低い冒険者ども』なことくらいわかっている! そんなお前たちが『アラマン人やニエベ賊とも戦う』というのなら『別の雇用契約』でもなんでも結んでやる! だが私『執事』の話を聞け! 一向に話が前に進まんではないか!」とバラダグ。
「「「「……へ~い」」」」とこの場の全員。
まだこの時『ヒート・アプリ族』たちは『いろいろと不満』で納得はできていなかったし、『冒険者』たちも一体腹の中はどのように考えているかもわからない。そして本当ならもっと時間をかけてそれらの『ねじれ』を解きほぐさないと今後の『集団戦』が不安だったのだが……イスティもカムサもバラダグも『もうそんな時間はない』と割り切って『放置』したのであった。
そして次からが本番だ。だが次回へ続く。




