ハッシュ・イル・カスラース65『東方大遠征:サガサ族からの逃避行』と『魔力量と物理量』と『従軍魔術師の由緒』の話
『東方大遠征:レーム北部戦役』、『彼女たちのサガサ族からの逃避行』
……ここでいきなりだが前回のカムサとイスティの話に『注釈』を入れたい。またもちょっと長いが悪しからず。そしてその注釈する『会話』は以下のとおりである。
「『幻術』には『変身魔法』も含まれていますので、例えば『自分の体の一部を分離し、その一部の『変身魔法』を使って他人に化けさせる』も『幻術』に分類されます。といっても『魔力』を『血』にたとえた場合の『膏血(魔力)の流れ出る量(つまり『消費量』)』とんでもなく増えてしまい『非効率』ですので普通はそんな魔法は使いませんが……まぁこれは『魔術師ギルド』が定義した区分ですのでクノム人が受け入れるかどうかはまた別の話でしょうが……」とイスティ。
「なるほどね。確かに『精神支配』とかもあるから『幻術』って『実態のない幻を見せる魔法を』とは限らないわね」とカムサ。
「『非魔法使い』にはよくある勘違いですから仕方ないですよ」とイスティ。
※注:これは以前から何度も述べているが『夢の世界』には『量』の概念がないため、『量』とは『液体の容積』のことだけを指し、『運動量』とか『熱量』とか『魔力量』のような『液体でないものを量で表す』という『近代以降』の『量(スカラー量とベクトル量)』の概念は受け入れられていない(『運動量』や『熱量』は『物理量』の概念だが、『夢の世界』の『魔力量』をこの区分に含んでいいのかは作者もわからない)。基本的に『夢の世界』における『量』とは『固体や液体の容積や重さ』のことを指しているので『夢の世界』の人にとって『運動量』などの概念は『走った距離を天秤で測る(?)ようなもの』としか思えず全くその概念を理解できていなかったのだった(そして理解しなくても何の問題もない)。
※注:だがイルブルス通史に登場していた『時間の単位としての水量』など一部『液体でないもの量で表す』考え方も存在はしていたわけではあるが、『時間量』のような概念があるわけではなく、『水時計』で時間を計る際に用いられるだけである。なので『日時計』で時間を計る時に『水量』を使うと『クノム語が喋れないのか?』と嗤われる。そして一応『水時計』は数分単位の『短い時間』を計測するために、『日時計』は何時間単位の『長い時間』を計測するときに用いるなど『使い分け』が行われていが、そのために『夢の世界』の人々にとっては『水時計と日時計』が示す時間が『同じ時間である』と感覚は希薄だった。なのでそんな考え方が『歴史記述の雑さ』にもでているのではいかと作者は勝手に思っている(あくまで作者の私見)。
※注:また『魔力』についてだが、実際のところ『魔力』と『生命力』が全く異なるエネルギーなのか、それとも実は根っこが同じなのかも全くわかってはいない。もし『魔力=生命力』なら『魔力を使いすぎて痩せたり老けたりする』はずだし、そもそも人間族が単独で魔法を使えない理由がよくわからないもしここから『生命力』は『人間族よりはるかに魔族の方が大きい』となると『生命力=寿命』なのかということになる(そもそも『生命力』の定義もあいまいなため)。
すると今度は『魔法は寿命を削って使うので魔法を使えば使うほど死に近づく』ことになり、『魔力が回復する』と現象がよくわからないことになる(前提に『失った寿命は決して戻らない』がある)。そこでもし『寿命も実は回復する』という『医学的知見』が発見されたしたら『健康に良い生活をしていたら無限に寿命を伸ばせる』ことにならないだろうか? いや、もしかしたら『寿命を伸ばす魔法』を生み出せるかも? 現状『夢の世界』では『寿命を伸ばす魔法』は『あり得ない』としてだれも研究していないが、『理論上は可能である』という『予言』なのかも……いや、もうこの話はこれくらいにしておこう。きりがないので。だが『魔法疲れ』が起こる原因が『魔力=生命力を使いすぎたから』という説明は成り立つことになる。
そしてもし逆に『魔力≠生命力』なら『そもそもなぜ『魔力』が生命の中に存在するのか。魔法を使っていないときは一体何のために存在しているのか』という疑問が生じる。いや、もし『生命活動に不可欠なパワー』ならそれは『魔力=生命力』になるのでは? だが一方で『生命活動に全く不必要なパワーが体内に存在する』もなんだかおかしい……など、こっちもいろいろと『矛盾』が出てきてしまう。これまで『魔術師ギルド』が様々な議論と検証を行っていていろいろな仮説がでていたが、ご存知の通りアラマン軍の侵攻で目茶苦茶になっている。
だが上記のことは実は『矛盾』でない可能性だってもちろんある。つまりまだ『理論』が構築されていないだけなので『魔力=生命力』と『魔力≠生命力』の『矛盾』を『解決』できるかもしれないのだ。確かに『魔術師ギルド』は壊滅したが、『平和』が戻れば再び『魔法』も発展していくことだろう……と今は期待しておきたい。
またも長くなったので閑話休題(悪しからず)、
一方ハッシュにデージャが以下のことを教えていた。
『御主人様☆ 現代では『近接戦闘の技能を持つ戦闘能力の高い魔法使い』を『ふんわり』と『従軍魔術師』と呼びますが、実はこの名称は『カルシャーナ帝国』時代の名残なんですよ♡ 本来は『聖戦の大魔帝国』の軍隊に参加していたすべての魔法使いを指してまして、『従軍魔術師』は『攻城兵器の作成技士』や『築城技術者』と同じ様に『高度技能を持つ兵士』として特別に高い俸給で召し抱えられてたのですよ☆』とデージャ。
デージャの言う通り実は『従軍魔術師』という言葉は『魔法使い(定義はもちろん現在とは違う)の軍事活用』に積極的だった『聖戦の大魔帝国』が生み出した概念であり、在野の『医者』や『占い師』、『呪術師(妖術師)』などと区別するために作られた言葉だったらしい。本来は『アリシア語』の言葉だったのが『トゥルエデ語』経由で『クノム語』にもそのまま輸入されたのだった。そして『呪術師(妖術師)』は『依頼を受けて他人を魔法で攻撃することを生業とする魔法使い』に対する『蔑称』であり、『魔法を使った犯罪者』の別名なのでそういう職業があるわけではない(補足)。
だがそんな話にハッシュはあまり興味なさそうで、
「いやそれより見てみろってデージャ! あの兵士たちみんな『クノム式重装歩兵』の格好してるじゃん! あれってクノム人が発明して東夷が真似してるって話じゃなかったのか!?」とハッシュ。
『いやですからご主人様は『魔法使い』の方に興味をもってご自身の参考にしてくださいって☆』とデージャ。
「いやだって昔は『魔法使い』は『魔族』のことを指してたんだろ? そんなもん参考にできるわけねーだろ何言ってんだ(呆れ)」とハッシュ。
『人間族も『高み』に到達すればいいんですよ☆ ナンダムさんとか強かったじゃないですか☆』とデージャ。
「あのアルド人女は『超能力者』だろやっぱ真似できねーじゃねーか」とハッシュ。
ちなみに目の前に映る『光る幌』の中の『重装歩兵』たちはハッシュが指摘した通り『クノム式重装歩兵』とよく似た姿をしていた。メインウェポンは『長槍』で防具は『手甲』と『脛当て』と『兜』と『体を覆うほど大きな長方形の盾』というおなじみの姿である。
しかしそこでイスティが指摘する。
「いや、よく見てくださいハッシュ先輩、あれは『クノム式』に似てるだけでちょっと違いますよ。とくに装備がですね」とイスティ。
「…………あ、ほんとだ。ちょっと違うな」とハッシュ。
次回へ続く。




