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コレノス・イル・ラムシス31『東方大遠征:レーム北部攻略編』と『出る杭を打とうとするクノム人の習性』と『州都でのさらなる戦後処理31』の物語

『東方大遠征:レーム北部戦役』、『アラマン中央軍:タルキュア防衛隊』


『州都でのさらなる戦後処理』は続き、『ミュシアス派』の『主導権アウトクラトール』をめぐる『ナルクルティオのパリス』と『貴族戦士ヘタイロイ』たちの『党争スタシス』が絶賛勃発中である。パリスは『名誉心フィロティミア』を燃え上がらせてさらなる『権力クラトス』を獲得しようとし、その他の者たちは『競争アゴーンの精神』によってなんとか『出る杭を打とう』としていた。だがここでパリスは今まで秘めつつもあまり表ざたにしてこなかった『狡猾さ』を前面に押し出し始めたのである。


「……何してもまず我らが考えるべきことは『双角王主催の裁判』であることは当然、だが今諸君らが自覚したように、我らの勢力はまだまだとても『弱い』。そうなるといざ『裁判』になっても我らの負けは目に見えてしまう……だからその前に、今だからこそできる『作戦』を提案したい……まだ『双角王』が我らの状況をしっかりと把握為される前に『リカノス殿』を『暗殺』するのです」とパリス。


 さすがにその言葉にこの場の全員が『動揺』した。そしてとたんにハグニアスとテルアモスが声を上げる。


「『暗殺』!? 『貴族戦士ヘタイロイ』であるリカノス殿を殺すと!? 正気かあんた!?」とハグニアス。

「今度はパリス殿の方が狂ったか!? 『貴族戦士ヘタイロイ』同士の争いを避けるとかなんとか言ってなかったか!?」とテルアモス。


 パリスが余裕の表情で、


「自分は『貴族戦士ヘタイロイ同士の争いを避けたい』とかなんとかは言ってませんよ。『敵だったものと共通の目的のために組むのが『同盟シュンマキア』だ』と申しただけ。それも『同盟シュンマキア』の『本質フュシス』を説いただけです。それに今現状で我らにとって最大の脅威であり、『アラマン王国』に『内戦スタシス』を引き起こす懸念が最も大きいのは『リカノス殿』では? 実際に今回の戦闘(水の都の戦い:第四次攻撃)で一番『大さわぎ』していたのも彼なのですから……つまり私は『リカノス殿』が『リカノス派』のまごうことなき『リーダー(アルコーン)』であり、精神的支柱であるとみているのです。ですから彼を殺せばあとはなんとでもなります。なぜなら『リカノス派』はまとまりを欠く状態になるからです。名案じゃありませんか?」とパリス。


 だが当然ながらその場の全員が反対したのだった。


「『暗殺』なんて聞き捨てなりませんよ!? ですからなんで『裁判』までしたのか忘れないで下さいって!」とペルクロス。

「忘れてません。それを踏まえて俺は『暗殺』を提案しているのです」とパリス。


「やり方がいくら何でも『過激』すぎる。そんなことしたらそれこそ『内戦スタシス』だぞ」とサイマス将軍。

「しなくてもそうなると自分は思うんですがねサイマス将軍。どうせリカノス殿は『裁判』の結果が不本意なら従わないでしょうし」とパリス。


「我々がやったとばれるような殺りかたをすれば我らが『双角王主催の裁判』不利になるだけだし、ばれないように殺ることもできない。どうせ疑われるからだ。なのでそもそも実行自体不可能だ」とキクラネス。

「俺は『我らが殺った』と非難されてもまだ『損害』より『利益』の方が上回るとおもって述べているんですよ。『アラマン王国』では昔から『貴族戦士ヘタイロイ』同士のもめ事は『決闘』でもって解決が図られていました。つまり『ほかの貴族戦士ヘタイロイに負けるような軟弱者』はわが国にはいらないんですよ。違いますか?」とパリス。

「いや、さすがにそれは無理があるだろ!」とキクラネス。


 確かにパリスの言う通り『アラマン王国』では『貴族戦士ヘタイロイ』同士のもめ事を解決するために『決闘』が『神明裁判』の一つとして用いられることはあった。だがだからといって積極的に『暴力』が推奨されてるわけではないので彼の言葉は『詭弁』である。さらにここで今まで黙っていたシクロニスとヘラスケスが言う。


「そもそもの話、本当にリカノス殿が死んだら『リカノス派』は解体するでしょうか? 彼には『アイアス殿』という『似た者』がいます。きっと彼が後を引き継いで『派閥スタシス』をまとめ上げますよ」とシクロニス。


「俺は『アイアス殿』は『リカノス殿』の代わりはできないと踏んでいるんです。彼はリカノス殿ほど『無鉄砲』ではない。だからリカノス殿に成り代わることはできないだろうと……」とパリス。


「それはじっさいにやってみないとわかりませんし、確実に『アイアス殿』には『復讐ディケー』の大義名分が立つのですから、きっと『アイアス殿』が『リカノス殿』ほど『狂暴』でなくても『怒り』が足りない分を補ってくれると俺は思います。やはり『リカノス殿暗殺』には『利益』より『損害』の方が大きいと俺は思います。今から俺たちが『内乱』を起こすつもりなのならまだわかりますが、『双角王主催の裁判』に臨む前提ならその方法は『間違い』ですよ」とヘラスケス。


 ここでパリスはその場に自分の支持者がいないのを見て取ってすぐに『降参』したのだった。


「……いや、すみません。確かに自分の見立ては甘かったかもしれません。言われてみれば『アイアス殿』がいる以上『暗殺』はあまり意味のないことでしょう……なので『暗殺』の件は取り下げさせていただきます。ですが、その『双角王主催の裁判』で自分は『果たしてアンフィスバエナたちの参加が認められるのか』が非常に気になってます。『双角王』は敬虔なお方ですから、やはり最初魔族の参加はしぶるでしょう……そうなると俺に名案があります……」


 パリスが一応自分の『過ち』を認めたが、それを皆にとやかく言われる間にすぐに『次の話題』にシフトさせる。しかもこのまま一方的にしゃべり続けるつもりでいたのである。


 もちろんそうするのは『自分が過ちを犯した』ことを印象に残さないことと、この場の『主導権』を握り続けるためであった。止まらないパリスの舌を眺めながら『四天王』たちが『ひそひそ』話す。


(あのパリスとかいうやつ『野心』の塊だな……)とニラト。

(さっそくこの場を支配しようとしている……結構油断ならん奴だぞあいつ)とタバサ。

(要注意だな……だが今のところは我らへの害は少なそうだ。たぶん奴の関心は我らの排除ではない……)とアピル。

(ふむ、そうだな……)とガムル。

(知ったかぶりするな阿保)とニラト(突っ込み)。



 彼らの会話は歯牙にもかけずパリスが『今喋らないとだめだ』と知性をフル回転させて『演説』をつむぎだす。現在は『タルキュア擾乱』もひと段落して『休憩』の真っ最中なのでよどみなく言葉が出てきた。


「……つまり『魔法』がこれからの局面でいかに重要かと『双角王』に説けばいいのです。ですのでここで俺は『偽情報』を主君に報告することを提案します、内容はずばり『現在コロコス帝国軍は『魔族』を大動員しておりこちらに差し向けつつある。そして現在『中つ海』で報告されている『海の人魚族』たちもおそらくコロコス帝国軍の差し金だ。その情報を『アンフィスバエナ』たちはつかんでいる』と……これで押し通していきましょう」とパリス。


 その内容を聞いてその場の『貴族戦士ヘタイロイ』達全員が呆れる。


「『暗殺』の次は『偽情報』……(ドン引き)」とサイマス将軍。

「確かに『中つ海』では『海の人魚族』がどうたらという話はあるが、未確認では?」とヘラスケス。

「偽情報なんて、同じ情報を『リカノス派』やオルトロス候とダーマス候、コレノス殿などが知らないのはおかしいという話になるのでは?」とシクロニス。


 早速出てきた反論にパリスが自信満々に答える。


「いいえ、我々以外の『貴族戦士ヘタイロイ』たちが知っていなかっとしても何もおかしくはないです。『アンフィスバエナたちがひそかに持っていた情報』という体で報告するからです。ですからほかの者達がしるはずもありません」とパリス。


 そこで『アンフィスバエナ』のアピルが口を開いた。


『……つまり我々は『ハリスキーナ』の状況を正確に把握していて、なのに『コロコス帝国』とはつながらずに独自に『アラマン王国』に攻撃を仕掛けていたと? ……違和感は……ないか。『ハリスコ龍族』たちが『アラマン王国がこの戦争で必ず勝つ』と予言していたからこそ我らはそういう策を取った……という流れになるわけか』とアピル。


 次回へ続く。

 カムサ「そういえば『ニポス』たちはよく自分たちを『出る杭を打つ文化』とか『同調圧力が強い』とか『自虐』するそうだけど、実は私たち『クノム人』も全く同じ文化があるとよく『哲学者』や『歴史作家』が嘆いているわね。そういうのを『競争アゴーンの精神』とよく言ってるわよ」


 イスティ「『競争心』が強すぎるからこそクノム人は『自分以外に目立つやつ』を徹底的に叩いて足を引っ張るんですよね……『イルブルス通史』でもそれを嫌というほどこれから見ることになると思いますよ(暗黒微笑)」


 ハッシュ「つーか『完全自由市民エレウテロス』って皆そんなもんじゃねーのか? 『ニポス』だって『完全自由市民エレウテロス』なら『競争アゴーンの精神』を持つものじゃないのか? ニムルはどうなんだよ、お前やイスティは『ニポスの国』では『完全自由市民エレウテロス』なのか?」


 ニムル『そもそもこっちには『完全自由市民エレウテロス』なんて概念ないからわかんないよ(汗)』


 本当に『ニポス』が『出る杭打つ文化』や『同調圧力が強い』のかは作者はあえて言及しません(言及したとしてもあくまで作者の皮膚感覚というだけで客観性はないので)。

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