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2008/2313

ハグニアス・イル・アポロニオス182『東方大遠征:レーム北部攻略編』と『歴史物語閑話:『東方哲学』と『寓話』と『創世神話』』と『州都タルキュア市への帰還』の物語

『コロコス帝国歴史物語:閑話』、『ディメルアンキア王』が『叙事詩』の中で用いた『葦を育てるために用いた薬』の話からイスティは『東方にも哲学がある』という話を前回匂わせた。


「……『論争詩アミダン・ドゥッガ』にまつわる話で以前にもお話しした記憶があるのですが一応。この『作品群』の中の多くの話が『クノムティオ』にも輸入され『寓話集アイソーポス』として編纂されています。というか『寓話集アイソーポス』自体が東は『タンギラ』から西は『ムンディ・アクナ』まで『東方諸国』にあった様々な『論争詩アミダン・ドゥッガ』にさらに『クノムティオ』で創作されたお話を足したものなんですね。ですから『寓話集アイソーポス』の作者は『アクニ人奴隷』となっているわけですが、なぜあえて『アクニ人』なのかと述べると恐らく『サルキオン』で原型ができ、それが『全盛期スタシル島』で現在の形になったと考えられるからです。ですが恐らく『書物』になったのは『カミス』ででしょうね……」とイスティ。



 ※:クノム人に大変好まれる伝統文学である『寓話集アイソーポス』は『伝説』では『アクニ人奴隷がスタシル島で書いた』とされている。だが明らかに『スタシル島』が衰退した後の『全盛期カミス』を舞台にしたお話も多く収録されているので、『クノムティオ』で『文字資料』が盛んに作成されるようになった時期と合わせてみて『スタシル島全盛期』で『バラバラだった口承伝聞が一つにまとめられ』、その後『カミス』で『書物に書かれた』という説が有力だった。だが『そういう説』という表現の通り、クノム人たち自身も『寓話集アイソーポス』が一体どういう経緯で成立したのかよくわかっていなかった。




「……そして『東方における哲学の伝統』について私が知っている限りの話をしますが……いえ、正直言うと私も『東方』の事情はあまり詳しくないのでほとんどわかっていません(大嘘)。ですが恐らく『東方』において『哲学』その他の『学問』を行っているのは『神官』たちだと私は思っています。以前お話しした『学僧』たちですね。この『学僧』たちは『宗教文章』や『王賛歌』などの『詩』を書くだけでなく、『数学(幾何学)』の知識を用いて土地の測量から『暦』の作成まで行っています。なので当然そのようなことをしていれば『世界の成り立ち』についていろいろと思いめぐらすこともあるでしょう。実際『ハリスコ神話』には『世界の創造』について実に『多種多様なお話』がありまして──これは以前も述べたと思われますが、『ハリスコ神話』では『世界創生』は色々なパターンがあるのです──彼らが『世界の始まり』から『今の世界の成り立ち』に諸説入り乱れる思いを巡らし様々な『検証』を行っていたことがわかるらしいです。クノム人たちは『神話』を『昔の詩人が適当なことを言ってるだけ』と断じる傾向がありますが、少なくとも『東方諸国』の『神話』は極めて『哲学的』なんですよね……」とイスティ。



『東方諸国の創世神話はクノム神話と違って極めて哲学的』というのはあくまでイスティの『持論』である。そこでカムサが言った。


「……私は『同族ヘレネス』の神話しか知らないけど、まずここで『クノムティオにおける世界創生』の神話には『二つの伝統』があることを抑えておくべきね。まず一つは『有名な方』である『羊飼いファシオーン』が歌った『神統録テオゴニアー』ね。そしてもう一つは『世界は『環海オケアーノスから生まれた』と語る『詩人ロアメルダス』の『英雄叙事詩キュクロス』よ」とカムサ。


 言われてハッシュとニムルが不思議そうに、


「……『ローメイダ』や『シードラム』の中に『世界創生』に関する話なんてあったっけ?」とハッシュ。

『僕も聞いたことない……ていうか実は『英雄叙事詩キュクロス』を全編ちゃんと聞いたことないけど(汗)』とニムル。


「おいおい『同族ヘレネス』ともあろうものが『民族の聖典』をちゃんと聞いてないとか信じられねー……と言いたいところだが実はあたしも全部は聞いたことねーんだよな(汗)。有名なセリフやシーンがを知ってる程度だぜ。死んだ親父は『吟遊詩人』を家に呼べるような銀は持ってなかったし、『市民広場アゴラ』で歌ってる『吟遊詩人』もちゃんと聞こうとすると『銀を寄こせ』って言われるから聞かないようにしてたしな~」とハッシュ。


『あ、ちゃんと聞かないようにしてたんだ。僕はてっきり海賊団のみんなで脅して無料で歌わせてたのかと……(汗)』とニムル。

「失礼な奴だなお前は(呆れ)。んなことしねーし、そもそも大抵の『吟遊詩人』は『現役冒険者』か『元冒険者』で『お仲間』がいるから、『脅迫』するとその『仲間』がすっ飛んできて面倒くせぇんだんだよ。だから聞かないようにするしかなかったんだよ、そりゃあ腕力で脅せるならしてるっつーの」とハッシュ。

『いや、できたとしてもしちゃだめだよ(苦言)』とニムル。


 余談だが、『吟遊詩人(ラプソードス』が『引退した冒険者に一番人気の職業』である理由は『そもそも吟遊詩人という根無し草生活に慣れている』ことや『元冒険仲間がいるから悪党といども簡単に手出しできない』ためである。『冒険者』は大抵の場合(それこそ仲間たちから嫌われて追放されでもしない限り)は『パーティー』を抜けても『元仲間』と『コネクション』が維持されているのが普通だ。なのでもし『吟遊詩人』になって困ったことがあるとよく『元仲間』を呼んで助けてもらうのである。つまり『吟遊詩人』という職業は『夢の世界』では『脛に傷がある者が就くやくざな職業』と認識されていたのである(補足)。


 長くなったので続きは次回に持ち越す。










『東方大遠征:レーム北部戦役』、『アラマン中央軍:タルキュア防衛隊』


 前回定まった『落としどころ』である『双角王主催の裁判の開催までは互いの安全を保障する』によってついに『水の都の戦い:第四次攻撃』、いや『タルキュア擾乱』自体が終了したのである。


(……といってもまだ『第二ラウンド』があるわけですがね……)とサレアス。

(次は『双角王』相手の説得か、大変だな……)と右手のファイユ。

(それは『最終ラウンド』ですよ。その前にまだ何回かあるにきまってるじゃないですか)とサレアス。

(……あ(察し))とファイユ。



 すぐにその場の全員がオルトロス候とダーマス候を中心に集まり今後の『作戦会議』が開かれることになったのである。


 オルトロス候がダーマス候が口を開いた。


「……まず最初にこの場のすべての『貴族戦士ヘタイロイ』達に言っておかねばならん。私はここであえて全員に『忠誠の誓い』を求めない。いや、すでにその誓いは済ませているのだから改めて必要ないと思っているというだけだ。だからこのまま『方面軍司令官』として話をさせてもらう」とオルトロス候。

「私も引き続き『タルキュア方面軍の副司令官である』という体で話を進めさせてもらおう。だがそれが不服なものたちがいるのならこの場を去ることを止めはしない。その後どこかにいくのも──『コロコス帝国』に亡命すること以外は──自由だ」とダーマス候。


 そしてこの二人のわきにはそれぞれ副官のミュシアスとカリクセノスが並んでいた。これに対して必然的にリカノスが代表して返事する。


「……少なくとも自分は『黄金宝剣クリュセイオン・アオル』の発見者の『名誉』をミュシアスに認めた以上は『今は』おとなしく従います。ですが『双角王主催の裁判』までの話です。そこからはわれらの『主君キュリオス』の指示に従いましょう……もちろんサレアス殿も、だ」とリカノス。


 彼がそういってサイマス将軍の隣にいたサレアスを威嚇する。だが彼(彼女)は涼しい顔で、


「それはよかったです。私もやっと『信仰生命財産』が保障されてほっとしています。神々にこの感謝をお伝えしましょう、イエー、パイヤン」とサレアス。

「馬鹿にしてんのか貴様は!? 神々が許すわけないだろうが!(怒)」とリカノス。

「私の『信仰』が保障されたのではないのですか???」とサレアス。

「サレアスわざと煽るなよ……いや違うな、それが『素』だったな(呆れ)」とサイマス将軍。


 そしてサレアスがそこで後ろのほうで控えていた『アンフィスバエナ』たちのほうに振り返り告げた。


「……何をしているのですか魔王フェルゾ殿? 参加なされないのですか?」とサレアス。


 そういわれて一瞬魔王フェルゾはためらってしまった。『タルキュア方面軍』の『貴族戦士ヘタイロイ』達が皆で円座を組み各々が自分のマントを『敷物』にして座っている光景はかなり威圧感があったからである。


 特にその『貴族戦士ヘタイロイ』達が一人残らず泥とと血と傷と疲労にまみれ、ぎらついて目を自分たちに向けているので確かに気弱な人間なら怖くて逃げだしてしまうかもしれない。だがオルトロス候とダーマス候がいう。


「……今は成り行きだ。『裁判』の結果が出た以上は、特別に魔族の参加を許そう」とオルトロス候。

「ただし『双角王』のご裁可に従ってもらうがな。もちろん『ハリスコ龍族』どももだ!」とダーマス候。

『……私はもう帰らせてもらうぞ(直帰)』と『ハリスコ龍族』の者。



 さらにほかの『貴族戦士ヘタイロイ』達もあえて反対しなかったので『魔王フェルゾ』もその話し合いに参加することが許されたのであった。彼は円座を組んで座っている『貴族戦士ヘタイロイ』達の中に自分の座る場所を指定されたのを見て、さらには『ハリスコ龍族』の者が『報告に行かねば』と遠くへ飛んでいく姿を見送っていると『四天王』たちがそれぞれつぶやいたのである。


『……魔王様。『アラマン人』どもが大軍で『カラミスヤ王朝』に攻め込んできたと聞いても『どうせいつもの人間どもの内紛だろ』と私は思っていました。どうせ自分たちには無関係なことだと……』とタバサ。


『俺も『ハリスコ龍族』どもの誘いがあった時正直半信半疑でしたし、最後まで戦い抜けたのもはっきりって『最底辺種族負けたくない』というプライドのためでした。それが『成し遂げられた』ことにまだ現実感がありせん……』とアピル。


『魔王様……話し合いの間俺は寝てていいですか?(あくび)』とガムル。

『貴様は情緒というものを介さないのか……ってそういえば重傷だったな、さっさと寝ろ』とニラト。


 そういつつも彼らを含めて『アンフィスバエナ』はみな『笑顔』だった。人間族にはその表情が読めなかったが、魔王はうなずいてから『瘴気』がまだけぶる空を見上げて、



『……私も今確信した。『四方世界』は本当に新たな時代を迎えるぞ……!』と魔王フェルゾ。


 新たな時代は彼らにとって天国か地獄か……それを知るのは神々だけであった。




 そして場面は変わ……らない。『軍議』が始まり各『貴族戦士ヘタイロイ』達が『今後の方針』について意見を交わし始めていた。


「まず現状を確認したい。といっても別に外から新たな情報が入ってきているわけではないので確認作業になるがな。まず現在『べニア』に『サイガス隊』が駐屯しており、また『州都タルキュア』には『コレノス隊』が陣を敷いて『サイマス総督代理』についている」とオルトロス候。


 いわれてサイマス将軍が頭をかいて、

「……すっかり『タルキュア総督』の仕事コレノスに任せきりになってましたね。自分はすぐに州都に戻ったほうがいいですか?」とサイマス将軍。

「それがいいと思いますね(食い気味)」と副官サレアス。

「待ってくれ。まずは確認作業だ」とダーマス候。

(……サイマス将軍を『タルキュア市』にいかせるかも何気に問題だな……)と『貴族戦士ヘタイロイ』達&『アンフィスバエナ』たち。

 

 結局『今は保留』といいつつ全然保留になっておらず全員が早速『読み合い』を再開していた。そんな雰囲気の中でさらにオルトロス候が続ける。


「……いいかな? また『バスタイ』はすでに忠誠を確認している『夷荻バルバロイ』……『エダイラ人千人隊長キーリアルケース:カルパテオス・ブリュナモトス(カルッパタ・バルナーマトゥ)』が統治をおこなっている。そしてこの『タルキュア州』の北側にある『モルバタエ州』は『バリーネス(ベアン)隊とアーレス(アレイ)隊』が平定しており、また西にある『タルマリク州(ガラニア含む)』は『テルミオス隊とノミス隊』が制圧したそうだ。だが『モルバタエ州』にいた『コロコス人将軍:サパリトス・イル・ヤーヌス(スファルト・イルヤーン)』と、『タルマリク州』で活動していた『ハルマン・カルマノス(ケリミーン・ケリュマーン)』はまだ滅んでおらず『タルマリク州(ガラニア地方)』から『ラエズリア州』にかけての地域に移動し、そこにすでに駐屯している『ゲルハノス・イル・カイノス(ジルハーン・カイン)』と連携の動きを見せているとか。なのでわれらの主君『双角王』も『ラエズリア州』にいるそうだ……」とオルトロス候。


 次回へ続く。

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