サイマス・イル・アサクレス194『東方大遠征:レーム北部攻略編』と『魔族たちとの人間世界における『所有権契約』』と『タルキュア擾乱part801』の物語
『東方大遠征:レーム北部戦役』、『アラマン中央軍:タルキュア防衛隊』
『水の都の戦い:第四次攻撃』の『最終章』、『第二審』の双方の『弁論時間』は終了したはずだが、なぜかサレアスに対して『陪審員団』から『なぞかけ』が行われる。そのしてその流れでサレアスから『アンフィスバエナ』への『今後自分たちのような『新人』が現れても妨害しないと誓ってほしい』という『要求』が飛んだのであった。
そこですぐさま『アンフィスバエナ』たちが話し合いをはじめ、ニラトが以下のことを確認したのである。
(……魔王様、ここで我らの目的を整理する必要があると思われます。我らは最初『ハリスコ龍族』の誘いで『アラマン王国』こそが『勝ち馬』であることを知り、それに乗ろうと今回の戦いを仕掛けたのです。ですが『勝ち馬に乗る』とは具体的にどういう意味なのでしょうか? 『貴族戦士になって領地を持つ』という話もありましたが、具体的にどういう形の『領地』を得るおつもりだったのですか?)とニラト。
ここでまた『転生者』達には非常にややこしい話だが、実は『夢の世界』における『所有権』の概念は『転生者』たちのそれとはかなり乖離がある。『所有者が二重三重に存在する』ことがあったり『所有権と管理権と用益権が分離していてそれぞれ別の者が持って居て、その間に『優先順位がない』』とかなどと、つまり『転生者』が『用益権』とか『賃借権』とか呼んでるもの一まとめに『所有権』と考えられていることである。
ちなみに『用益権』や『賃借権』、『漁業権』、『入会権(共同の山や森林などを使用できる権利)』などは日本の民法では『制限物権』とよんで『所有権』と区別しているが、『夢の世界』ではその限りではない。そして日本の法律では『所有権』は『排他的な権利』とされており一つの物体や土地などに『所有者』が『二重』に存在することはありえず先に『所有権』を習得した方にものになるが、『夢の世界』では『所有者が二重三重に共存する』こともざらであった。正直作者もあまりちゃんと理解できているとはいいがたく、とにかくこの『所有権』周りの文化は大変複雑で難しく、また地域や時代にも大きな差がある。
しかもその『所有権の概念』がそのまま各国の『統治システム』の根幹になっているのでややこしいことこの上ない。そして『アンフィスバエナ』たちは『クノム人世界の所有概念』を熟知していないのでなおさら話が難しくなっていた(正直作者も理解が追い付ている自信がない)。
なのでここで『領地』や『統治制度』のことを考えても仕方なかったので魔王がいう。
(……いや、正直よくわからんかったし、『ハリスコ龍族』どもから『貴族戦士になれば自由身分扱いになる』と聞いていたからそれになりたかっただけだ(正直)。『領地』をもらえるのかどうかも実際のところは分からんが、とにもかくにも『アラマン王国』が『勝利者』になることが分かっていたからその中でひとかどの地位についていればまあ、損はすまい……本当にそれだけだ)と魔王フェルゾ。
いい加減な話に聞こえるし、『そんな曖昧な目標に命をかけて息子たちを多数死なせたのか』という意見も聞こえてきそうだが、『アンフィスバエナ』の中にそんなことを言うものは一人もいなかった。すぐさまアピルがつぶやく。
(……ということは魔王様、我らはあくまで『貴族戦士』の身分に執着すべきであって、それ以外の物事には特に執着しないでいいということですね?(確認))とアピル。
(む……そういうことに……なるのか?)と魔王フェルゾ。
(そういうことになりますよ(念押し)。ということは例えば今我らは『領地』の類を持って居ません。『クーフィーン山脈』にあった『領地(縄張り)』はもう放棄してこっちにきているので、例えば我らの後に『貴族戦士』になった『魔族』が『領地』をもらった場合はそれに反対しないということでよろしいですね?)とタバサ。
それを言われると魔王フェルゾは渋い顔をして、
(……なんかそれ嫌だな(嫉妬)。まあ人間族が人間世界に領地をもらうのは別に構わん、いつものことだが、『魔族』が我らより先に『領地』を持つのは何とも癪だ……だが今はそういうのも『我慢する』と約束していおけばいいんだな?)と魔王フェルゾ。
(いえ、我慢する必要はありません。正直に言えばいいのです)とニラト&アピル。
そしてタバサがサレアスに返答した。
『『部分的に』に誓おう。つまり我らより『後』に『人間族』が新たに『貴族戦士』になったとしても何か文句をつけたりはしない……だが『魔族』である場合はその限りではない。もし我ら以外に『魔族の貴族戦士』達が現れようとすれば我らは全力で邪魔するだろう……その『特権』は我らだけのものにしたい、それが我ら『アンフィスバエナ』の意思だ』とタバサ。
この言葉を聞いてオルトロス候とダーマス候はとっさに以下のように思わざるを得ない。
((……これからも『アンフィスバエナ』と同様の請求を行う魔族は絶対に増える……そうなるとこの『アンフィスバエナ』どもはその『楔』になって便利だな……))と二老将軍。
現状『最善』というにふさわしい『返事』である。それを確認して表面上はさざ波一つなく──本心は満足して──サレアスが振り返ってアイアスたちに告げる。
「……今のが私の『返事』です。それともまだ『足りない』と申されますか戦友諸君?」とサレアス。
アイアス達が皆でうなづいて返す。
「むろん『足りない』ぞサレアス殿。今の答えはあくまで『アンフィスバエナたちの答え』であって『サレアス殿の答え』ではない。我らは何よりもあなたの答えを知りたいのだ。さぁあなたは一体どんな『未来』を描いている?」とアイアス。
「……今の答えだけでも十分に『戦友』たちは『満足』してくださるに足ると私は考えていますが、それでもやはり多くの勇敢なる『貴族戦士』達にとって今私が請求している『コロコス人のみを主敵とみなすべきで他の者たちは例え『罪人』であったとしても『恩赦』すべき』という『請求』は『戦況が苦しいために仕方なく受け入れる妥協』にすぎないことでしょう。なので私はそこで無理やりにでも『バラ色の未来』をえがいたりはしません。なぜなら私自身ですらそんな『未来』は全く想像できないのですから……ですから『責任』を取ります」とサレアス。
「『責任』?」とアイアス。
そこでサレアスは最初は『右手』で自分の胸を叩こうとしたが『左手』に変えて、
「……そうです。もし今回の『アンフィスバエナたちを貴族戦士に登用すること』で将来『アラマン王国』に『災厄』が起こった際は私自身が……いえ、私と『アサクレシス王国』がすべての『責任』を背負って『咎』を受けましょう! それを今ここで『守護神トレアとその乙女ミュリア』に誓いを立てようではないですか! 兄上!? あなたは『家族』であるのですから私を全身全霊で庇ってくれるはずです! 違いますか!?」とサレアス。
そこで皆の視線が今まで黙っていたサイマス将軍に注がれる。彼はこうなることが分かっていたので『お手上げ(両手を広げて『降参』を示すポーズ)』して、
「……『アサクレシス王国』の代表としてこの『サイマス・イル・アサクレス』が明言します。『『守護神トレア』』、『姫神ミュリア』、『英雄神エリュシオン』、『韋駄天バルテース』、『雷神テイロン』、『女主人クリアー』、その他すべての諸神と英雄たちに誓う。我ら『アサクレシス王国』は『アンフィスバエナ』たちの請求を『アラマン王国』が受け入れたことで起こった『災い』の全責任を負いどのような『咎』でも甘んじて受ける。この誓いを守る者には『栄光』と『勝利』を、破る者には『絶望』と『破滅』を神々がお与えになされますように!」とサイマス将軍。
さらにはサレアスと『アサクレシス王国騎士団』たちも全く同様の『誓い』を皆で繰り返す。これが『神々への誓言』であった。次回へ続く。
作者の修正報告です。『葦』につく『シュメール語』のルビは『ティ』ではなく『ギ』です(修正してます)。
イスティ「『ティ』は『葦』ではなく『矢』だそうですね」
ニムル『じゃあ『伝令』の『ギ』も『葦』ってこと??』
カムサ「そっちは『持ち帰る』という意味らしいわよ。これはおそらく『同音異義語』なんでしょうね」
ハッシュ「……ふむふむ、ほ~、なんでもアッカド語はシュメール語の楔形文字をそのままつかってるらしいが、一方『エマル語』や『ヒッタイト語』などは独自の楔形文字を作ってるらしいな……(本を読みながら)」
デージャ『ご主人様が本なんて高等なものを……』
ハッシュ「だからあたしだって知的ぶってもいいじゃねーかよ!!」
ユニコードに『楔形文字』が入っていますが、どの文字が何の発音なのか全然わからなくて困りますね……(笑)。




