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ハグニアス・イル・アポロニオス37『東方大遠征:レーム北部攻略編』と『サイマス将軍から伝染する『混乱』』と『タルキュア擾乱part638』の物語

『東方大遠征:レーム北部戦役』、『アラマン中央軍:タルキュア防衛隊』


『水の都の戦い:第四次攻撃』の一幕、『ミュシアス&シクロニス&アイアス隊』が『サイマス将軍隊』に遭遇した件を戻ってきて報告を受けたダーマス候は『また『乱戦キュドイモス』になるんじゃないだろうな……』と内心戦々恐々とし始めていたのである。


「(また『乱戦キュドイモス』は勘弁してくれ……再度『バラバラ』にされたらもうさすがの私も戦意を喪失するぞ……そうならないためにもまずは……)アイアス殿とシクロニス・ミュシアス両名の『喧嘩』は私が預かろう。私は『サイマス将軍』に関してはまだ『敵』とは決めつけないつもりだ。なぜなら彼はいままで『アンフィスバエナ』との内通を疑がう声があった中でも『友軍ヘタイロイ』として戦い続けていたからだ」とダーマス候


 これに対してはアイアスが以下のように抗議する。


「『まだ裏切ったとは確定していない友軍ヘタイロイを下手に敵視して本当に敵側に追いやってしまう』ことは愚かなことだと候がお考えであることは俺も理解できます、ですが俺はそもそも『サイマス将軍』が『既に裏切っている』と見て居るのです! 前提が違います! そう考える理由は『彼の部隊が『移動要塞』を攻撃していれば他の友軍ヘタイロイがこれから受けるか、あるいは現在受けているであろう『被害』を避けることが出来た』からです! かつて『双角王』は『アバーム半島戦役』でこちら側に味方しなかった『クノム人傭兵』たちを処刑しています! それと同じことです!」とアイアス。


 彼の言葉はダーマス候にも理解できる話だ。そもそも一度でも『罪』を侵した兵士たちを『裁判』なしに『免罪特権アデイア』を与えるのはおかしいからだ。


 ……だがその『裁判』について一つ補足をすれば、『免罪特権アデイア』とはクノム人世界の法廷で犯罪審理が行われた際に『証言する代わりにその人の罪を帳消しにすること』を意味し、つまり現代日本風に言えば『司法取引』を指す言葉である(クノム人世界には『警察』も『検察』も存在しないため犯罪捜査は大抵個人、国家規模なら『市民集会』などの議会で行うのが常)。つまり『共同体にとって有益であると』と判断されれば『免罪アデイア』も普通にあり得ることなのである……しかしそれを判断するのは『共同体の総意』である(注意)。



 そしてその横では『ダーマス隊』に所属するリカノスが『ニラト隊』で戦うハグニアスと『罵り合い』をしており、また向かい合うパリスがテルアモスを追求し、キクラネスはキュライノスに『神聖不可侵アシュリア』の相互承認を相変わらず訴え続けていた。


「ヤーハッラー! 一度でも『友軍ヘタイロイ』に槍を向けた『裏切り者』どもを絶対に許すなぁ!」とリカノス。

「リカノス殿あなたはなぜいつもそうなのか!? これが『アンフィスバエナ』たちの策略だとなぜ気付かないのか!? 同じ『高地貴族』仲間である俺はなぜ庇ってくれない!?」とハグニアス。

「『狂乱アーテー』の女神に微笑まれた男の言葉なんて聞いたら呪われるだけだ! それに俺は『身内だから庇って当たり前』なんてその性根が一番気にいらない! 罪人は罪人だ! 『騙されたやつも悪い』んだぞハグニアス!」とリカノス。

「……ッ! くっそおおお!!(逆切れ) 分からないのなら殴って理解させるだけだあああ!!」とハグニアス。



「前から気になってたんですけどねテルアモス殿! あなた方絶対どこかで『友軍ヘタイロイ』を殺してるでしょ!? 本当のことを言ったらどうなんですか!? あれだけ暴れてたあなたとハグニアス殿が俺たちと遭遇する前に散り散りになってた『貴族戦士ヘタイロイ』と一人も出会ってはないなんてありえないでしょう!? 本当は誰か一人くらいは『貴族戦士ヘタイロイ』殺してるんじゃないですか!? どうなんですか!?」とパリス。


「そ、それは……我々に『免罪アデイア』を承認してくれたら話しますよ!」とテルアモス。

「もう少し『弁論術』を磨かれることだなテルアモス殿! あるいは冥界で『詩人アルケラス』に歌でも教わればいいだろうさ!」とパリス。



「『神聖不可侵アシュリア』の承認を! 我らも『裁判』に出廷させてください! 『双角王』のあずかり知らぬところで我を処分することは『古の法』の反することです! これでは『私刑』と変わらない! 『文明人』であるクノム人にあるまじきことですよ!?」とキクラネス。


「申し訳ないキクラネス殿! ダーマス候のご命令なので私にはどうすることもできない!」とキュライノス。

「ならば私たちを『庇って』ください! この『私刑』がおかしいと思っておられるのでしたら!(必死)」とキクラネス。

「すみません、俺には『武功』も何もなく、とても候や他の『貴族戦士ヘタイロイ』達に意見することは……」とキュライノス。

「あなたも曲りなりにも『貴族戦士ヘタイロイ』でしょう!? 少しはご自身で判断してくださいよ!(悲鳴)」とキクラネス。

(分からない人だなぁ……はっきり言わないと伝わらないのか……それにしてもダーマス候完全に指揮を放棄していらっしゃるな……)とキュライノス。



 そう、じつはダーマス候は『サイマス将軍隊』についての『議論』を行っているせいで自軍の指揮が出来なくなっていたのだが、そこは彼の有能な部下である『パリス、キュライノス、リカノス』だけでなく他のすべての『貴族戦士ヘタイロイ』たちが独自判断でカバーしていた。そしてカリクセノスは最初はダーマス候と一緒に腕を組んでアイアスの言葉を聞いていたが、『お前は指揮しろ!』と主君に怒鳴られて『ダーマス家戦士団』たちに『現状維持しろ~!』とだけ命令していて『お前指揮する意味ないだろ!』と怒られていた。


「そんなあほな命令があるか! そんなんだったら指揮なんてするな! 本当に情けない奴め!」と『ダーマス家戦士団』の一人。

「ひどくないですかぁ!? うわーん候~! みんなが俺をいじめます~!」とカリクセノス。

「「「お前本当にこういう時くらいまじめにやれよ!!」」」と『ダーマス家戦士団』全員。


 しかしアイアス自身『ダーマス候が自軍の指揮をおろそかにしている』が分かっていても『裏切り者に対する免罪』を絶対に許せない立場を崩すことはできなかった。その『強情』をなんとかすべくダーマス候が告げる。


「……確かに過去そういうこともあったが、『万物は流転し』つねに変わるものだ。それに私も正直な話サイマス将軍には『失望』していることは言っておきたい。だが『今』は事情が事情だから『棚上げ』にすべきだろうというだけだ。彼を『敵』と認定するのはとにかく目の前の『アンフィスバエナ(タバサ&アピル&ガムル隊)』どもをなんとかしてからだ……」とダーマス候。


「ですが『棚上げ』になんてしてしまったらそれこそサイマス将軍の『思うつぼ』です……」とアイアス。


 もし『言ってることが矛盾している』のはどっちかと問われれば『ダーマス候』の方だが、『現実的な判断をしていないのはどっちか』と問われればアイアスだと言えるのは間違いない。結局どこで『線引き』するかは個人の価値観で決まっているのだった。次回へ続く。



 カムサ「前回のクノム人世界の『母市メトロポリス』と『植民市アポイキア』の関係の話だけど、本来『植民市アポイキア』はすべて『母市メートロポリス』の直接あるいは間接の支配下にあって、母市から派遣された行政官や裁判官に統治を委託する代わりに『初穂料』を送るのが『古の法』なのだけど、たいていの『植民市アポイキア』は『自治独立アウトノミアー』を求めて『母市』の支配から脱出してるからそうなってるというのが正しい認識ね(これは以前に本編で述べた話ではあるが)」


 イスティ「『植民市アポイキア』が『母市メートロポリス』から独立できるかどうかは両国の『軍事力』や『運』で決まりますね。『ファーバス』の『母市』は分からないそうですが、ずいぶん前に独立してるということでいいんですかね?」


 ハッシュ「たぶん『暗黒時代』に独立したんじゃねーかって話だな。ただ母市がどこだったかも忘れらるってことは相当昔ってことだよ。案外『母市』は滅んでるなのかもしれねーぜ?」


 ニムル『……実は『ファーバス』は『エリメイス地方の原住民ペラスゴイ』たちがクノム文化を受容して『クノム人化』した都市なので、『カミス』と同じく本来『同族ヘレネス』じゃなかったってだけじゃあ……?』


 ハッシュ&カムサ「「だから私たちは『トーランティオ地方』からきた植民団の子孫なんだって!(譲れないもの)」」


 イスティ(……まあ『エリメイス人』たちは『哲学者タルキウス』の著作の中でも『『農村集落エトノスに散らばって住んでいて『都市ポリス』に『集住シュノイキスモス』していない者たちなので本当に『同族ヘレネス』か疑わしい』とか言われてるんですけどね……たぶんだからこそ意地になって否定するんでしょうね……)

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