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ハグニアス・イル・アポロニオス14『東方大遠征:レーム北部攻略編』と『同じ戦法同士の初めての戦い』と『タルキュア擾乱part602』の物語

『東方大遠征:レーム北部戦役』、『アラマン中央軍:タルキュア防衛隊』


『水の都の戦い:第四次攻撃』の一幕、『狂乱アーテー』に陥った『ハグニアスとテルアモス隊』を見過ごすことはできないと『アイアス隊』が戦闘を仕掛ける。彼らがさっそく激突しする横で『モストルスとヘラスケス』の部隊が『瓦礫』で『バリケード』を作り始めた。『バリケード』自体はアイアス隊も作ってさっそく『友軍ヘタイロイ殺し』に活用していた。


 その『バリケード設置工事』に『人員不足』ゆえに自分自身も加わりながら『ルリダイア人ヘラスケス』が『友軍ヘタイロイ殺し』を見て呟く。


「……彼らは見た目は『戦友ヘタイロイ』同士です。本当にそうなのかはまだ何とも申せませんが、もしそうであるのならあれは大変なことですよ……」とヘラスケス。


 彼の近くにはさすがに工事には加われないモストルスが座っていて呟いた。


「……遠目から見ても『ハグニアスとテルアモス隊』殿たちの様子はおかしかったという話です。ならばあの『バリケードを作っている貴族戦士ヘタイロイ(アイアス隊)』が『被害が広がる前に私刑にする』つもりなのでしょう。どうやら『お節介』な『貴族戦士ヘタイロイ』のようですよ……」とモストルス。

「なるほど『お節介』ですか……まあそうなんでしょうね。下手するとこっちにまで飛び火しないか心配ですがね……よっこいしょ(瓦礫を持ち上げた)」とヘラスケス。


 アイアス隊の行動は『お節介』というにはあまりに殺伐すぎるが彼らは気にしない。そんなのんきなことを言ってる横でその『お節介なアイアス隊』は『錯乱した友軍ヘタイロイ』相手に『殺し合い』を始めていた。


「『聖石矢』を上から撒き散らせ! ここでは絶対に惜しむな! 『聖石』がなくなったら『長大槍サリッサ』で! 彼らが『バリケード』に乗り込んできたら『剣』で殺せ! 相手を『友軍ヘタイロイ』だと思うな! あれは『アンフィスバエナ』が化けて居る偽物かそうでないなら『魔法』で発狂したやつらだ! 俺たちには治せん! だからもっと自体が悪くなる前に『切り捨て』るぞ!」とアイアス。

「「「ヤーハッラー!」」」と部下たち。


 あたかも『瀉血』のごとくアイアスは『非情』な決断をして彼と一蓮托生の兵士たち実行する。対する『ハグニアスとテルアモス隊』は『密集方陣ファランクス』の状態になってそのまま『アイアス隊』が籠城する『バリケード』に真正面から近づいていく。


「投石しろ! 近づいたらそのまま『長大槍サリッサ』で『バリケード』の上の『アンフィスバエナ』を殺せ!」とハグニアス。

「あいつらは人間の姿をしてるが『アンフィスバエナ』だ! ためらわず殺してしまえ!」とテルアモス。


 まず彼らの部下が『密集方陣ファランクス』を維持して後列の兵士が『投石』し、前列の兵士が『長大槍サリッサ』を構えながら『ザッザッ』と規律を保って歩き『アイアス隊のバリケード』へと接近していく。他方『アイアス隊』は上記の通り『バリケード』の上にいる兵士が『長大槍サリッサ』で迎撃し、さらに『バリケード』の影から兵士たちが『聖石矢』を撃った。ここで『アイアス隊』はあっさり『虎の子』だった『聖石矢』をすべて使い切ってしまう。


「「「ヤアアアハッラアアアアアアアアアアアアア!!」」」とハグニアス&テルアモス隊。

「「「ヤアアアハッラアアアアアアアアアアアアア!!」」」とアイアス隊。


『聖石矢』を使い切ったタイミングで両軍の兵士の『長大槍サリッサ』の間合いになったのでそこから『長大槍サリッサ』同士の戦闘に移行する。


 するとそこで『バリケード』工事今まさに終えていた(バリケード自体は腰くらいまでの高さしかなかった)『ヘラスケス&モストルス隊』の兵士たちが『第五城壁』に登って『観戦』を始めた。


「……『アンフィスバエナ』の正体を現さないし魔法も使わない……ってことはもしかしてあれって『友軍ヘタイロイ同士の戦い』か!?」とヘラスケス。

「「「……ああ! 本当ですねヘラスケス様!」」」と『ルリダイア人戦士団』たち。


 その声を聴いて弱っていたモストルスですら頑張って瓦礫の山を登って視界を確保しようとする。


「モストルス様! ご無理をなさらずに!」とラレースと部下たち。

「……くっ、これは見ないといかんだろう……『新式密集方陣ゼペタイロイ』同士の戦いだと? そんなの今まで一度もなかったじゃないか……!」とモストルス。


 彼の言う通り実は『アラマン王国軍』では『ユート王』の『軍制改革』によって『新式密集方陣』が軍隊に導入された後、例えばその戦法を身に着けた『貴族戦士ヘタイロイ』が『アラマン王国』に対して反乱を起こしたとかそういう話は一切ない。常に『ユート王』も『ベニーカ王』も『別の戦法』を使う敵と戦い勝ち続けてきたのである。『アラマン兵』はノモスで『外国に傭兵に出ること』自体が禁止されているし、実際王国自体が戦争し続けていたせいで外にこの戦法は全く流出していないのであった(補足)。


 ゆえにヘラスケスとモストルスたちだけでなく、周囲に集まってきていた他の『貴族戦士ヘタイロイ』たちもこの『新式密集方陣ゼペタイロイ』同士の戦いに気づいて『どやどや』と騒ぎ始めた。もちろん『ダーマス隊』と『アンフィスバエナ』たちも気づいてそっちに注目する。


 まず『ダーマス隊』では急遽『軍議』が開かれ、人数が限定されているせいもあって『高級将校』だけでなく一兵卒まで全員に『発言』が許された(といっても下っ端の兵士たちは『貴族戦士ヘタイロイ』の意見に従うしかないのだが)。さっそく『副官カリクセノス』が言う。


「あれめっちゃやばいんじゃないですか? だってハグニアス殿とテルアモス殿思いっきり『錯乱アーテー』してたじゃないですか。あれさすがに止めないと『同士打ち』になりますよ」とカリクセノス。


 至極真っ当な意見に他の『貴族戦士ヘタイロイ』も全員賛成した。

「俺もそう思います。『止める』べきです」と貴族戦士ヘタイロイの一人。

「では『どのように』止める? また声をかけて『武器下ろせ』とでもいってみるか?」とダーマス候。

「もちろん『戦う』んです。ただ錯乱してるだけで隅っこででも大人しくしてくれているのなら我らも『怯えて先制攻撃』したりはしませんが、『友軍ヘタイロイ」に対して牙をむいたら話は別です。迅速にあの『バリケード』を作っている『友軍ヘタイロイ(アイアス隊)』に我らも加勢するべきでしょう」と『高地貴族キュライノス』

「「「我々も同じ案を言おうと思ってました(『競争アゴーン』の精神)」」」と他の兵士たち。

「……わかった。では我らはあの『バリケード部隊(アイアス隊)』に加勢するぞ!」とダーマス候。



 さらには『アイアス隊』には別の『貴族戦士ヘタイロイ』たちも『援軍』に駆けつけ始めていた。アイアス自身が『投石に打たれるかもしれない』危険を顧みずに『バリケード』の背後にある『第四城壁』の上に登って兵士を鼓舞しているとそこに別の『貴族戦士ヘタイロイ』からの使者が近づいてきたのである。


「私は『高地貴族シクロニス・イル・ザカリエス』の郎党(戦士団)の一人でございます! どうかあなたがたの主君の名前と、あなた方が『友軍ヘタイロイ』であることの証明をお願い申し上げます!」と兵士。


 アイアスがすぐに自分が持って居た『聖石矢』を投げて返す。

「俺は『王の友アイアス』! そういうだけで伝わると俺はお思っている! 『ザカリエス地方のシクロニス』殿は俺も知っているぞ! その聖石矢を確かめてくれ! そいつで本物だと分かるはずだ!」とアイアス。


 この『聖石矢』はアイアスが『友軍ヘタイロイ確認用』にとっておいた最後の『聖石矢』だった。次回へ続く。

 前回の『古代オリエントでは『王宮』に仕えているのは『王族か外国人のどちらかしかいない』という話の余談ですが、作者はずっと『旧約聖書』に書かれていた『バビロン捕囚』に関して、『多くのユダヤ人がバビロンに連行されて虐げられたが、一部のユダヤ人は地主になって財産を築いて、そういう者たちはキュロス二世のイスラエルへの帰還を許されてもバビロンから離れなかった』という話の意味を理解できていなかったことがわかりました。


 つまりこれは『捕囚されたユダヤ人は『バビロニア国内に地盤を持たない異分子』だったゆえに、一部のユダヤ人が『新バビロニア王朝』の『王宮』に家臣として召し抱えられた』という意味だったんですね(単にユダヤ人の中にすごい人がいたのかぐらいに思ってたのですが、まさかオリエントの宮廷文化が背景にあったとは目から鱗です)。


 ニムル『これは正直知らなかったら『ふーん優秀なユダヤ人もいたんだね~』で流される話だよね……(感心)。こんな文化があったのなら『奴隷から王宮に登用されて成り上がり』って話がものすごく多かったってことも意味するよね(夢がある)』


 イスティ「同じく、例えば『ウル第三王朝』の開祖『ウルナンム王』の出自は不明ですが、もしこの人が『ウル』出身者であったのなら彼の主君であった『ウルク王ウトゥ・ヘガル』にとっては『ウルク国内に地盤を持たない人物』ということで上記の話に適合しますし、またもしウルナンム王が『ウルク人(ウトゥ・へガル王の親戚筋)』だったのなら彼が出身国の『ウルク』ではなく『ウル』を都に定めて『ウル第三王朝』を創始したこともやっぱり上記の話に当てはまります(つまり自分の家臣たちがウルクの街に地盤を獲得していたのでウルに移って切り離そうとしたかもしれない)。このようになぜ古代オリエントで様々な出自の王が登場するのかもよくわかろうというものですね」


 カムサ「ちなみに古代オリエントで『王』が『家臣』を召し抱える際は必ず『給料』か『領地』を与え、その見返りに『軍役』や『貢租』を義務づけていたそうよ。そしてその『給料か領地を与えた見返りに課された軍役と貢租』は古代オリエント初の国際言語であった『アッカド語』で『イルク(ム)』というそうね。つまり『王が家臣に対して領地を与え、その見返りに奉仕させる』という『封建契約』がすでに古代オリエントにあったということね。これも驚きだわね」


 ハッシュ「つまりそのユダヤ人捕囚民は新バビロニア王に仕える見返りに『領地』をもらってたってわけか……『捕囚民の封建騎士』ってことか? こうかくと『ニポス』は一気に『中世ヨーロッパっぽい』と思う……のか?」


 ユダヤ人騎士、一見思わぬ発想に思えて、ちょっと考えたら普通に中世イスラム世界にも居そうですね……(またまた作者の歴史趣味でした)。



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