バルクス・イル・オルトロス&ノックス・イル・ダーマス177『東方大遠征:レーム北部攻略編』と『朋友(ヘタイロイ)になりたいミュシアス』と『タルキュア擾乱part572』の物語
マストカ「インディーン人は『裁判』をあまりしてなかったって前言ってなかったっけ? なんで『エルレイヤー教神話』には『法廷』が頻出するの?」
シュナーヘル「理由は簡単、『預言者エルレイヤー』は彼の出身地では『神官(知識人階級)』でして、彼の故郷の南にあった『自分たちより先進的なオアシス都市文明』で『裁判』が行われていたことを知っていて、その『慣習』を自分の故郷にも広めたいと思っていたからですわ」
マストカ「……そもそも『預言者』の故郷ってどこなの??」
シュナーヘル「それは当の『エルレイヤー教徒』もよく分かってないのですわ若殿(割といい加減)」
マストカ「いや作者が教えてよ」
さぁ……?
『東方大遠征:レーム北部戦役』、『アラマン中央軍:タルキュア防衛隊』
『水の都の戦い:第四次攻撃』は『戦争の神々』の中から『恐怖』、『潰走』、そして『内戦』の女神が『剣舞』を始めた。『紛争の女神』も駆けつけて朗々と歌を歌い始め、さらには『男神』でもある『牧羊神エーネー』が『軍神レブレス』の求めに応じて『混乱』の音楽を奏でる。だがまだ『勝利の女神』は到着していない。
そんな暗い『魔界』で行われる『饗宴』に気づくわけもなく、オルトロス候とミュシアス、そして『高地貴族リカノス』と『ナルクルティオのパリス』が『陣営』を目指して『山手』の中を進んでいた。
そしてパリスが周囲の『城壁』を見回している時、『高地貴族リカノス』の方は全く別のことを考えていた。彼は相変わらず自分やパリスと同じ『貴族戦士』として当然のようにふるまってるミュシアスを横目に見て、
(……やはりどう考えてもミュシアス殿は自分が『貴族戦士』になりたがっている……いや、そうだと思いこんでるというべきか……だがあんたは残念ながら『自分の戦士団』を持っていない……『オルトロス家』の当主にならないと『貴族戦士』とは認められないんだよ……まあ、そうでないはずなのに『貴族戦士』として扱われてる人は他にもいるが……)とリカノス。
ここで『貴族戦士』について一つ補足説明をいれる。『アラマン軍』を構成する『貴族戦士』達には一応定義があり、それは『自分の領地と戦士団を持っていて『アラマン王家』に対して軍事奉仕するもの』である。もちろんのこと『自分の領地と戦士団を持っている』とは『一族の家長』であることが大前提だ。なぜなら『家長』が『家の資産(土地、お金、奴隷、庇護民)』の所有権と管理権を有するからである。だがこの『貴族戦士は家長でなければならない』と明文化されているわけではなく、あくまで『暗黙の了解』だった。
だがそうなると『若きオルトロス』ことミュシアスは『オルトロス家』の人間だが『家長』ではない。なので彼が指揮している戦士団も本来は家長である『オルトロス候』のものであるので、仮に『部隊指揮官』になっても『貴族戦士』とはみなされないのである。
だが一方で『クノム人の家族』は『核家族』が基本で、『一世帯』は以前にも説明したが『家長である父親と母親、そして子供たちと奴隷』で構成されている。そして『娘』は結婚しても『無手権婚』になって一生実父や男性血族の庇護下のままだが、『息子』は結婚すると『別の世帯』扱いになってそっちで『家長』になるのである。
……といっても実はこの『独り立ちした息子』の扱いは『理論』と『現実』には甚だしい乖離がある。なぜなら父親にとっては娘がいつまでも自分の子供であるから守るように、息子もいくつになっても自分の息子であることに変わりはないからだ。そして『クノム人世界』では『母子は父に絶対服従しなければならない』と『古の法』で定められているため、『独り立ちした息子』といえども『父』の命令には逆らえないのである。そしてその『父に逆らえないこと』をしばしば『愛情』としばしば美化して表現される(補足)。
そうなると実は『息子』が完全な形で『自由(つまり支配されておらず他人を支配する立場)』になるためには『実父』が死ぬまで待たないといけないのである。そしてここで再びミュシアスに話を戻せば、彼は一応『既婚者』なので──ただし妻子は『アラマン本国』にいる──ので『クノム人の家族観』なら『家長』である。だが今現在彼は『自分の戦士団』を持っていないので繰り返すが『貴族戦士』ではない(二度いう)。
だがこの点に関しては実はそれほど問題ではなく、オルトロス候が自分の戦士団を二つに分割して片方をミュシアスに与えれば済む話だし、それが嫌ならミュシアス自身が『冒険者』を雇って『主従契約』を結んだり(主従関係を結びたくなる冒険者に出会わなければならないが)、『軍人用』の奴隷を買い取って解放して『庇護民』にするなどでいくらでも解決可能である。だがそれをしないのはオルトロス候がミュシアスを副官として傍に置いておきたいのと、ミュシアスもその状態でよいと思っているからに他ならなかった。そうなると『家庭内の事情』になって誰も立ち入れないのである(クノム人世界は『家』の思想が強いので他人の家庭内にはタッチできない)。
このように様々な『クノムティオの古の法』の存在によってミュシアスは『貴族戦士として扱ってもいいし扱わなくてもいい』という非常に『微妙』な存在になっているのだ。そして実はこの『微妙な立場』の『王の友』たちはミュシアスだけでなく、父親が生きていてバリバリ『東方大遠征』に参加している『ノミス・イル・アドレーテス』、『カルドラン』にばっちり父親がいて『親アラマン政権』の中枢に座っている『アルキオス・イル・ムカリオン』、『本国』を守る父親と何とか必死に連絡を取ろうとている『アルキネス・イル・カレネス』も同じであった(といってもアルキネスは『王の友』ではないのだが)。そうなるとリカノスの不満はそういった『有力貴族の子弟』全員に矛先が向いてしまうので、彼もなかなか表立って表明は難しかった(それでも仲間が一人でもいれば声高に主張したかったが)、
そして一方で、実は『ギナフ族』や『ミールス人』の『家族観』はクノム人とは全然違うので──ミールス人は大多数が『クノム人化』しているが家族観はあまり影響を受けていない──彼らは『別枠』として扱われていた。ちなみに『ギナフ族』と『ミールス人』は『部族制』なのでコロコス人に近く『家長』は『族長』である。
そしてここは本題から少々ズレるのだが、実は『ベニーカ王』は『ギナフ族』の一員ではあるのだが、『族長ンガイ』の下についているわけではなくむしろンガイの方が『家臣』である。そうなるとむしろ『族長』は『ベニーカ王』になるはずなのだが、彼自身は前族長であった『ユート王』が死んだとき『若輩者』と見なされていたので伯父のンガイが就任したのである。そして以後『ベニーカ王』自身が『族長』の地位を要求していないので(というか『族長は伯父上に譲る』と公言している)、このようによく分からない歪な状態になっていたのだった(ぶっちゃけ作者もよく分かっていない)。
こういったようなことを胸(頭)のなかに走らせながらリカノスはまたミュシアスを見て、
(……そりゃあ俺がミュシアス殿に向ける『敵意』は『黄金宝剣』の件に関してで、別に彼が『貴族戦士』かどうかなんて俺にとってはどうでもいいことだ……だがその『敵意』の源はなんだといわれたら、それは『低地貴族』への『嫉妬』以外でも何者でもない。『高地』の生まれなのに運良く『低地貴族』の養子になれたミュシアス殿に俺ら『高地貴族』の想いなんてそりゃあわからんだろうさ……)とリカノス。
彼がそこまで考えていた時、前回の通り『ナルクルティオのパリス』が叫んだのだった。
「……お、お待ちください皆さん! あそこにいるのはモストルス殿では!?」とパリス。
次回へ続く。
ハッシュ「なんでだ……なんでこの世界には『レベル』って概念がないんだ……なんで剣で敵を殺したら『経験値』が貰えて自動的に使える魔力や魔法が増えていかないんだ……orz」
デージャ『私もその概念欲しかったです……☆ そしたら今頃『高等種族』の仲間入りできたのに……♡(推定年齢300歳以上)』
カムサ「そもそもハッシュは今まで一人だって殺したことないじゃない(マジレス)」
ハッシュ「うるせー! 魔族なら結構殺してるだろうがー! 魔族素材だけでも儲かるのに、さらに経験値までもらえたら最高じゃねーか! 寄こせー!(泣)」
カムサ「……確かに殺人や魔族討伐で『経験値』がもらえたら最高よね。たぶんクノム人は全員『冒険者』になってると思うわ。略奪の利益が増えるわけだし(本音)」
デージャ『みんなで経験値をためてどこかの都市国家の『僭主』になるのも乙ですね☆ そして実は私は高等種族の臓物が好物です♡ 食べると『ざまぁ☆』って最高に気分がいいです♡』
イスティ「(何と言う倫理観の無い会話ですか……)でも実は『魔族』は高位になればなるほど基本的に『長生き』ですので『レベル』の概念があってもデージャさんはたぶん『下級種族』のままですよ(無慈悲)」
デージャ『夢くらい見たっていいじゃないですか……♡』
ニムル『それはつまり『レベル』の概念があっても『種族』によって生まれた時点での魔力の大きさに違いがあるってこと? せめて全種族の『レベル1』は同じ魔力の大きさにしようよ……(良心)』
デージャ『それで一番割を食うのはニムルさんでは??』
ニムル『う、僕が弱くなる設定もやめてほしい……主人公補正で……(笑)』
イスティ「そんなこと言う人は主人公ではないのでは??(呆れ)」
メタです。悪しからず。




