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〜激動のサーカス〜
2XXX年、僕たちの生きる世界ではサーカスが人気だ。サーカス戦国時代とも呼ばれ、数多くのサーカス団が存在する。
あの狂気さと人を楽しませるおかしな芸、そんなサーカスに僕は魅了されたー。
「…ぃ。…ばな。」
(ん、なんだよ。まだ眠たいのに。)
「起きなさい!橘!」
母が僕を起こしに来たみたいだ。
「はいはい、わかったよ…。」
「もう、八重ちゃん来てるわよ。」
「今行くから。」
「もう、ちゃんとしてちょうだいね。」
此永橘。それが僕の名前だ。
新しい制服に袖を通しリビングに向かう。
「おはよう!橘!」
「おはよう。」
幼なじみの八重。叶八重は、京都でも有数の格式高い名家のお嬢さんだ。八重と通学するのも7年目になる。なんで僕なんかを毎朝迎えに来るのか不思議だ。
「今日から私たち中学生ね。」
「ずいぶん楽しそうだね。」
「だって、憧れのセーラー服が着れるんですもの。」
セーラー服を着た八重はいつもより大人っぽく見えた。
「そっか。そろそろ行こうか。」
「ええ、行きましょうか。」
ー非日常への第一歩を踏み出した。