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漫才『お客様センターのクレーム係』

作者: 沖マリオ

A「はいどうも~」

B「よろしくお願いします」

A「僕、最近思うんですけど、全職種のうちお客様センターのクレーム係って一番大変だなぁって思うんですよ」

B「いや、まぁ確かに大変だけど。もっと大変な仕事あるんじゃない?」

A「はぁ?お前、クレーム対応のしんどさ舐めんじゃねぇぞ!引っ込め!このクソ基地外が!」

B「ちょっと言い過ぎじゃね!?凄い言われようなんだけど」

A「お前な、毎日毎日クレーム対応する身にもなってみ?」

B「いや、お客様センターの仕事クレーム対応だけじゃないからね?クレーマーもそんな毎日はかけてこねぇだろ」

A「チッ、モシャモシャうるせぇ野郎だな」

B「いや、ゴチャゴチャな。俺口ん中で何か租借しながら喋ってねぇから」

A「あ~わかったよ!そんないちゃもんつけてくるんだったら、俺がお前にお客様センターの大変さ教えてやるよ!」

B「いや、別にいちゃもんとかでは――」

A「プルルルル、プルルルル」

B「聞けよ」

A「プルルルル、プルルルル」

B「いや、え?何か勝手に始まったけど、これもしかして俺がお客様センターやれってこと?」

A「プルルルル、プルルルル」

B「何?この強制イベント?」

A「プルルルル、プルルルル」

B「あ~!もう、分かったよ!やればいいんだろ!やれば!――はい、こちらお客様センターです」

A「おい、君。電話のコールは3回以内に出るのが基本だと教えたはずだろう」

B「上司!?お客様センターの上司からの電話!?」

A「残念だが次のボーナス査定はあまり期待しない方がいいだろう。ガチャ。プープー」

B「評価がシビア過ぎるわ!っていうか、さっきまでの流れ上、ここは普通クレーマーからの電話だろ!!」

A「あ~、分かった分かった。ったく、ホント注文多いな。これじゃあどっちがクレーマーかわかったもんじゃねぇよ」

B「お前ぶん殴るぞ!ちゃんとクレーマーやれよ!」

A「あ~はいはい。――プルルルル」

B「はい、こちらお客様センターです」

A「あのよ~!この前お前んとこの商品買ったんだけどよ~!」

B「うわ、めちゃくちゃ柄悪いじゃん……――はい、この度はお買い上げいただきましてありがとうございます。本日はどうされましたか?」

A「『どうされましたか?』じゃねぇんだよ!さっさと責任者出せや!!」

B「この度はご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。もし差支えなければ内容だけでもお教えいただけませんでしょうか?」

A「あ!?ったく、しょうがねぇな!!――この前お前んとこの掃除機買ったんだけどよ~」

B「はい、掃除機ですね」

A「めちゃくちゃ吸引力が凄くて大変満足です。本当にありがとうございました」

B「お礼の電話!!」

A「今後も素晴らしい商品づくり頑張れよ~。陰ながら応援してっからな。――ガチャ」

B「ガチャじゃねぇよ!!クレーマーっぽいの喋り方だけじゃん!!――ちゃんと内容もクレーマーでお願いしますよ!!」

A「プルルルル、プルルルル」

B「はい、こちらお客様センターです!」

A「この前おたくの掃除機買ったんですけど全然吸い込まないじゃないですか!どうなってるんですか!?」

B「そうそう、そういう奴だよ。俺が待ってたのは。――申し訳ございません。もし差支えなければ現在の掃除機の状態を詳しく教えていただいてよろしいですか?」

A「は?掃除機の状態を教えろだ!?そんなのまだ箱の中に入ってるから分かんねぇよ」

B「まず見ろ!せめて中身見てから文句言え!」

A「そんなの見なくても俺の第六感でわかるんだよ」

B「ダメだ、コイツ。日本語の通じる相手じゃねぇよ!」

A「おいおい、お前俺の第六感を甘く見てるだろ?言っておくが俺の第六感が当たる確率は20%もあるんだぞ?」

B「8割がた外れてんじゃねぇかよ!」

A「なんだよ、さっきから文句ばっかり付けてきやがって。そんなに文句あるんだったらお前がクレーマーやれよ」

B「いや、それだと当初の目的変わってくるぞ?」

A「そんな細かいことはいいんだよ!ありがたくもこの俺が直々にお客様センターの大変さを教えてやるって言ってんだから、お前は黙って俺の指示に従っておけばいいんだよ、この役立たずのクソノロマが!!」

B「だから言い過ぎじゃね?しかも今回は完全に逆ギレだぞ?」

A「御託はいいからさっさと電話かけて来いよ。死にてぇのか!?」

B「こんな見事な逆ギレ初めてだよ!いいよ、やればいいんだろ?やれば!!――プルルルル。プルルルル」

A「…………」

B「プルルルル。プルルルル」

A「…………」

B「プルルルル、プルルルル。早く出ろよ!!」

A「誠に恐れ入りますが、当社の営業時間は午前9時~午前11時までとなっております」

B「営業時間みじかっ!もっと働けよ!!」

A「尚、毎週火曜、水曜、木曜、土曜、日曜日はお休みです」

B「週休5日制!?ホワイト企業にも限度があるでしょ!!働き方改革進みすぎだって!!――って、そういうことじゃなくて!!ちゃんと営業してるバージョンでお送りしろ!――プルルルル。プルルルル」

A「はい、こちらお客様センターです。本日はどのようなご用件でしょうか?」

B「『どのようなご用件ですか?』じゃねぇんだよ!お前んとこの掃除機、全然吸引力ねぇじゃねぇかよ!こんな使えねぇもん売ってんじゃねぇよ!金返せ!!」

A「はははっ!」

B「……は?」

A「ははははっ!」

B「おい、テメェ何が可笑しんだよ!ふざけんじゃねぇぞ!?こっちは不良品買わされて怒ってんだよ!!」

A「ご安心ください。お客様。いくら弊社の掃除機の吸引力がなかろうが、あなたよりは使えますので」

B「お前舐めてんだろ!」

A「そんなそんな!お客様を舐めるなんて滅相もございません。私はただお客様を馬鹿にしてるだけですよ」

B「同じ意味だろ!この場合”舐める”も”馬鹿にする”も同義語なんだよ!!――てめぇ、喧嘩売ってんだろ!?」

A「え?」

B「だから喧嘩売ってんだろ、テメェ!!」

A「え!?」

B「何回言わせんだよ!!さっきから”喧嘩売ってんのか!”って言ってんだよ!!舐めてんのか、テメェは!!」

A「いや、だから舐めてないって言ってるじゃないですか。私はただ――」

AB「「馬鹿にしてるだけ!!」

B「聞こえてんじゃねぇか!!」

B「もうダメだ!お前じゃ話にならん!!責任者出せ、責任者!!」

A「まぁまぁお客様、抑えて抑えて。そんな大声で電話してたらお隣さんからクレーム来ちゃいますよ?」

B「誰のせいだと思ってんだよ!お前がさっきから舐めたことばっかり言ってるから――」

A「ですからお客様、先ほどから何度も申し上げていますが、私は舐めておりません――」

A「…………」

B「馬鹿にしてるだけ――ってお前も言えよ!!何急に無言になってんだよ!!」

A「申し訳ありません。お客様とハモるのは二度とご免だと思いまして」

B「なるほど。そうか、お前どつき回されたいんだな!?そうなんだな!?」

A「……は?」

B「ダメだ。コイツ絶対ぇブッコロス!!――いいからさっさと責任者出せって言ってんだろうが!!」

A「お客様、残念ながらそれはできません」

B「はぁ!?何でだよ!もしかしてお前、今更『上司にバレるのは…』とか言い出すんじゃねぇだろうな!?そんなんで許してもらえると思うなよ!?」

A「すみません、実は私が責任者でして…」

B「いい加減にしろ!」



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― 新着の感想 ―
[良い点] ボケのバリエーションが豊富で楽しい漫才ですね! 話の展開も綺麗で、読みやすかったです。
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