幼馴染なので家は隣同士だしベランダ越しにお互いの部屋を行き来できるのは当たり前。朝起こしに来てもらったり起こしに行くのも当たり前だ。
こんにちは、二宮慧です。15歳の高校1年生だ。
黒髪に色素の薄い瞳、体型は縦にも横にもそこまで長くはない平々凡々の一般人だ。
そんな俺が中学時代の大勢と違うこと、それは――途轍もなく美人な幼馴染がいるということだ。
彼女の名前は神宮智里、俺同様15歳の高校1年生。
長い黒髪に色素の薄い瞳、スレンダーなボディを持つ容姿端麗成績優秀の超人だ。
何故、俺のような学校に数十人単位でいそうな特徴しかない奴にこんな幼馴染がいるかというと、当然親同士の仲が良く、家もお隣さんだからとしか言いようがない。
正直、どちらの要素が欠けていても幼馴染と呼べるような関係にはなれなかったであろう。
親同士が仲良くなければただのお隣さん。家が離れていればそもそも数回会ってはい終わりとなっていたかもしれない。
ifの話は置いておくとして、彼女、智里と俺は幼馴染だ。そして家が隣同士である。
つまり、ベランダ越しにお互いの部屋を行き来できるのは当たり前であり、朝早く起きた方が未だ寝ている方を起こすのも何の問題もないありふれた日常なわけだ。
久しぶりに早く起き、いつも智里が起こしに来る時間になっても部屋にやってこないことから珍しく寝坊でもしているのかと思った俺が智里の部屋へ入る事も当たり前のハズだったのだが……
「「……」」
「キャアァ……むぐ……んっ!!」
ふぅ。間一髪間に合った。
智里を起こしにベランダへ降り立ち、窓を開け、カーテンを横へ払うとそこにあったのは肌色だった。
一瞬の思考停止、智里の悲鳴。未だ七時にもなっていない住宅街で叫ばせるわけにはいかない俺はすぐさま行動に移した。
ベッドに腰かけていた智里に突進し、右手で口をふさぐ。
その際勢い余って押し倒してしまったのは不可抗力だろう。
柔らかい……なーんて思っている暇はない。
直ちに肌色をこれ以上目にしないよう瞼を閉じ弁明を開始する。
「これはだな……いつもの時間になっても起こしに来ない智里が寝坊でもしているんじゃないかと思って起こしに来た結果起きた事故であり決して智里が着替えていると知っていて覗きに来たわけではないことを理解してほしい」
一息でいいきり、空気を吸い込む。さて、俺は今どこにいるのだろうか。
そう、智里の部屋であり智里のベッド――布団の上であり、さらに言えば智里の上にいるのである。
当然吸い込まれる空気は女の子の――智里の匂いがするわけで、その香りは当然のように甘く、脳を溶かすものだ。
ぶっちゃけ裸の智里を押し倒しているということだけで理性が危ない俺の脳みそがこれ以上溶かされてしまえば何が起こるか分からない。
空気の補給を中断し、口を堅く閉じる。
同時に智里の口から手を放し智里から離れベランダへ出て酸素の補給をしようと思った――のだが。
引っ張られている。
誰に、という問いは意味をなさない。
この部屋にいるのは俺と智里の二人の訳で、つまり引っ張っているのは智里しかいないだろう。
引っ張られているのは俺のシャツの裾だ。力は弱いがそれでも無理やり振り切ってベランダへ出るという選択肢はない。
「放してくれ」肺に残った残り僅かな酸素を消費しその一言を呟こうとしたとき、堅く閉じていた口に暖かいものが触れる。
目を瞑り、息を止めていても外の世界を感じる手段はまだまだある。
今回利用したのは聴覚と触覚だ。
俺の下にいた智里がベッドから背を起こし、こちらへ体を動かす僅かな音、そして口に触れた暖かな物。
コンマ数秒で"何が""どうなったか"を考えた俺は目を開き、言葉を発するために酸素を取り込む。
目に映るは頬を赤く染めた智里の顔。取り込む酸素は脳を侵す甘い香り。
拝啓、父さん、母さん。今日俺は大人になるかもしれません。
そしておじさんおば……お姉さん娘さんを傷物にしてしまう俺を許してください。
その日、俺達は学校を休んだ。
◇
昼、大人になり、冷静になった俺は智里に謝り倒した。
幼馴染とはいえ女性の部屋へノックもなしに入ったこと、裸を見てしまったこと、時間的に叫ばせるわけにはいかなかったとはいえ押し倒し口を塞いだこと、唐突にキスされたとはいえ本能のままに乱暴してしまったこと。
土下座をする俺に彼女が下した判決は無罪だった。
嗚呼、彼女が神か。
「確かにノックしないで入ってくるのはダメだし、裸の女性を押し倒すのはどうかと思うけど、それでもそれ以降の行動は間違ってなかったと思う。悪かったことを上げればノック無しで入室したキミと普段キミがどれだけ抑えているか察していたにも拘らず裸でキスをした私が悪い」
智里の綺麗な声が静かに響く。
確かに、そうなのかもしれない。被害者である智里がそういうのだからそうなのかもしれない。
だが、俺はそれでは許されないことをしてしまったのだ。
つか、普段俺が理性の擦り切れる直前まで抑えていること知られてたのね……。
ってそうじゃない。俺は本当にとんでもないことをしてしまった。下手したら殺人より重い罪かもしれない。
だって俺は――数時間本能の赴くままに彼女の口内を蹂躙したのだから!!!
ぶっちゃけ大人なキスは初めてだった。最初の十数分はお互いの歯がぶつかったりもした。
それでも数時間たてば慣れるもので、最後の一時間か二時間くらいからお互いにキスだけで何度か達した。
というかパンツの中がぐちょぐちょだ。
智里はどうか分からないがなんとなくそれっぽい反応をしていた気がするし多分そうなのだろう。
……イカン。ついあの時の智里の姿が脳裏に浮かぶ。
俺は謝っているのだ。それなのにこんなことを考えていていいのか? いや、いいはずがない。
頭を振り、床に叩きつけ、煩悩を退散させる。
「本当にすみませんでした!」
◇
一時間程謝り倒し、智里の「謝るという行為は加害者となったキミの罪悪感を和らげるためにあるものではない」という言葉を聞き最後にもう一度だけ、スマン。というと顔を上げた。
「よろしい。じゃあお風呂に入ろうか? お互いに色々な体液でベタベタだ。特にキミはかなり臭う。換気ついでに臭いの元を絶たなければ」
確かに。凄い臭いだ。風呂で落とさないといろいろとヤバいことになるだろう。
それじゃあ俺は自分の家の風呂を使いますので――
「まあ待て。キミのせいで私の部屋は酷い臭いとなってしまった。そしてキミがそのまま自分の部屋へ戻り階段を下り、風呂場へ行くとなると私の部屋とキミの部屋、そして階段と廊下と風呂場がソレの臭いに侵されるだろう。だが、キミが私の家の風呂場を使えば? もとよりソレの臭いが充満している私の部屋、そして階段と廊下と風呂場がそうなるだろうがそれでも被害はキミが戻るよりは少ない。つまり、何が言いたいかというとキミは私と一緒にお風呂に入るべきだ。そうだろう?」
……ハイ。ソウデスネ。
智里の謎理論は昔から何度か出てきていた。だが、これはどうだろうか。
流石に謎すぎる。ぶっちゃけ智里の家をコレの臭いで埋めるならば自分の家をそうする方がマシだ。
だが、先の件からなんとなく拒否できそうにない空気が漂っている為俺は頷くほかなかった。
智里は、部屋を出る前に下着と着替えをもってから行くようだ。
俺の着替えは一応智里の家の脱衣所に数着あるのでそれを使うとしよう。
なんとなく智里の準備が終わるのを眺めていたのだが、非常に目に悪い。
今更ながら智里は未だ裸だ。
ついでに頭とつま先の真ん中よりやや下らへんから謎の粘液を纏っている。
「目を瞑ってどうしたの? またキスしたいのか?」
息子の頭に血が上りそうだったので目を閉じていたんです……
声を掛けられたため目を開けるとそこに映るのは手を腰に当て腰を折り、座っている俺と目線を合わせた智里だった。
これが普段ならば胸元からちらっと見えそうなブラだったりそういうものにドキドキするのだが、智里は未だ裸だ。
そして片手に着替えを持ち、片手を腰に当てている為、所謂"女の子の場所"を隠すものが何もない。
顔を横に向け、視界から肢体を外す。
と、とりあえずさっさと移動しようぜ。
俺がそう言うと、智里は布団も洗いたいから持ってきてと言い、一足先に部屋を出た。
色々な液体で濡れている智里の布団をもって俺も退出する。
脱衣所について布団を丸め、洗濯機へぶち込む。丸洗いできるタイプだった気がするので大丈夫だろう。
俺のズボンとパンツは風呂場から適当な桶を借りて洗面台で水を溜めそこに浸しておく。
シャツはちょっと汗臭いけどとりあえず着替えの上に放っておこう。
全裸になった俺は風呂場のドアを開け――ってちょっと待て。
問1 智里は何処へ行った?
問2 風呂場から桶を渡してくれたのは誰だ?
答1 問2が答え
答2 答1が答え
さて、どうするか。入っちゃっていいの? 確か小学生低学年ぶりだから七年か八年くらいぶり?
本当にいいのか?
「いいから入ってきて」
アッハイ
すりガラスの前でうなっていると中から聞こえてきた声にそう答え俺は中に入った。
中に入ると既に体を流したのか湯船につかっている智里がいた。
まあ当たり前だわな。
智里は朝風呂が好きで予約湯沸かしとやらを設定しているらしい。
俺も朝風呂をすることはあるが、シャワーだけで十分だったため朝に湯船に浸かるのは初めてだ。
ってなに浸かる事前提で考えてるんだ。
さっさと体を洗って出よう。
頭からシャワーを浴びて垢すりにボディソープを出し、体をこする。
ぶっちゃけ昨晩しっかり体を洗ったので垢はそこまで出ないだろうし、臭いをボディソープで上書きするのが目的なのだが、臭いの元凶の股間に手を伸ばすと湯船でかわいく鼻歌を歌っていた智里の声が途切れ、途轍もない視線を感じる。
うう……凄くやり辛い。
だがやり遂げる。ちゃっちゃと洗ってシャワーを浴びて泡を流す。
視線の主へちょっくらシャワーを向けて水をかけてやりシャワーを止めてドアに手をかける。
「ゆっくり、温まっていきなさい」
はい……
振り返りどう浸かったものかと一瞬考えると智里が湯船を出た。
てっきり一緒に浸からされるものかと思ったがそんなことはなかったか。安心だ。これならばゆっくり温まっていける。
そう思ったのだが――なぜ、未だ風呂場にいるのでしょうか?
「何故って、私も温まりたいからに決まっているじゃない?」
それじゃあ俺は温まったので出させていただきます。
そう言おうとした矢先、智里は湯船に入ってきた。
簡単に今の状態を図で表すと
智里
俺
浴槽
となる。
つまりどういうことかというと、智里のお尻すごいやわらけぇ。
てかなんで俺の胸によりかかってるの?
一緒に入るって普通お互いに足折って背中合わせにとかじゃない?
なんで足伸ばしてる俺の上に座る感じに入ってきてるの?
なんで振り返って上目遣いで俺のこと見るの?
俺が布団を洗濯機へぶち込んだり体を洗っていた時も湯船に浸かっていたせいか智里の頬は赤く染まっている。
お互いに全裸だし上目遣いだしすっごいエロい。
もうやばいねこれは。
気が付いたら浴槽の淵に掛けていたはずの両腕が智里の事を抱きしめるような配置になってるし。
智里の事好きすぎてヤバイわこれ。
「智里……s」
「イヤ」
今、何と言った?
聞き間違えでなければイヤと言われた。拒否された。
何故?
拒否するならばなぜ一緒に風呂に入っている?
何故、何故、何故。
「お風呂からでてしっかり洋服着てからもう一回言ってほしい」
このあと沢山ちゅっちゅした
めちゃくちゃ評価が付いたら連載に移るかもしれませんが恐らく気が向かないのでこれで終わりです。
以下適当な設定(もし連載に移るとしたら改変する可能性大)
二宮 慧 身長173cm(175cmと若干見栄を張って周りには言っている)
テストは万年平均点、50M走は学年平均、水泳もその他諸々も平均だがケンカは平均以上(ただし時間稼ぎが主であり不良を伸したりはできない。不良に絡まれたりして警察が駆けつけるまでどうにかできる程度)
智里とは生まれた時からの付き合い(らしい)
6歳ごろ(小学1年生)頃から智里に惹かれていたりする
智里の危機を感じ取るセンサーを持っている
料理はできなくないがめんどくさがりで智里が作ってくれないと基本的に冷食だったりカップ麺だったりする。
神宮 智里 身長155cm
テストは学年トップ(教科によって1~3位を行き来する程度)50M走は平均的、水泳はできない。
クラス委員的なこともできるがあまり好きではない。
高校二日目(初登校)の日から慧の膝上に座る事にハマリ、頭に顎を乗せられたり後ろから抱きしめられたリするのが好きになった
慧のことは5歳の時にとあることがきっかけで好きになった
容姿だったりちょっとだけキツめな性格からトラブルに巻き込まれることが一般生徒より多い。
料理はかなりできるが自分一人で食べる際はとても適当で、ありものを適当に炒めただけのモノになることが多い
慧の父母
二人とも家を空けている。長期休暇に帰ってこれるかどうかといった所
智里の父母
二人とも家を空けている。長期休暇に帰ってこれるかどうかといった所
この四人、とても仲が良く15の子供がいるとは思えない程若々しい。
全員ではしゃいでいると大学生と間違われることが多い。