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第5話

ミハエルの操縦するヘリコプターは、聖クリストファー学園国際高校のグランドに着陸した。

学校のクリスマスパーティーを警備している番犬警備保障の特別部隊ケルベロスが近付くと、操縦席が開きミハエルがニヤニヤしながら降りて、

「やぁ、《ケルベロス》の皆さん。メリークリスマス。警備お疲れ様」

ミハエルは《ケルベロス》達を見回し、知った顔を見付けると微笑みかける。

「タケさんにジョージさんじゃありませんか。いやぁ、久しぶりです」

ミハエルを確認した《ケルベロス》タケが他のメンバーに元の現場に戻る様、指示を出し、

「ミハエルさん達でしたか」

《ケルベロス》ジョージが、ミハエルにガブリエラの事を確認しようとした刹那、後部席のドアが開きガブリエラとハルナが降りる。

ガブリエラは、ゴルチエ製の黒の胸元が大きく開きスリットが大胆に入ったロングドレスに、シルバーフォックスの毛皮のコートを羽織っていた。

腰まで伸ばしたプラチナブロンドの髪が神々しい。

片やハルナは聖クリの制服を着ている。

ガブリエラがジョージを見つけ、

「あら、ジョージ。お久しぶり、今日はここの警護?」

そうやって懐かしむガブリエラを尻目に、ジョージは目をパチクリさせ、

「アンタ、本当にガブリエラなのか?俺と()った?」

更にハルナを見て、

「お前、ハルナちゃんだよな?ミナミで働いていた?どうしたんだ、髪の毛までオレンジに染めて?お前が失踪して、ミツルが変わったんだぜ」

ハルナは首を傾げ、

「おっさん、誰?何ゆーてんの?ウチ、初対面やけど。それから、ミツルって誰なん?」

「え?そんな・・・」

ジョージは顔面が蒼白になり、現実が受け止めれずにいた。

ミハエルは、やれやれといった感で、

「ジョージさん、姉上は見た目は若返っていますが、中身はジョージさんの知っている姉上のままです。一方、ハルナは見た目はジョージさんの知ってるハルナだと思いますが、中身は全く知らない別人だと思って頂いたほうが理解しやすいかと・・・」

ジョージは困った顔をして、タケを見る。

タケは、しょうがないといった面持ちで、肩を竦め首を横に振った。

ジョージはギリッと奥歯を噛み、ミハエルに掴みかかると、

「ハルナは別人って・・・。おっ、おい、ミハエル。そっ、それじゃあ、ミツルが、あんまりじゃねーか」

刹那、ガブリエラとハルナが動いた。

ガブリエラが、零コンマ数秒の速さで右太股のガンホルダーからデリンジャーを取り出し、ジョージの左こめかみに当てる。

更にハルナが少し遅れて、どこから取り出したのかサバイバル・ナイフをジョージの喉元にピタリと当てていた。

ジョージはミハエルにかけた手を放すしかなく、

「おい、お前ら・・・、ハルナちゃんにいったい何をしたんだ・・・」

ガブリエラはデリンジャーを仕舞う。

首を軽く横に振り、ため息を()くと、

「特に何も・・・、でもそうね、あえて言うなら、私が直々に鍛えたくらいかしら」

ハルナも、サバイバル・ナイフをジャケットの内側の胸元のホルダーに仕舞うと、

「ジョージさん、やっけ?アンタ?勘違いせんといてな。ウチは強くなりたかった。せやから、自ら望んで、ガブリエラ義姉(ねぇ)ちゃんに頼んで鍛えてもらった。それだけの事や・・・」

「ガブリエラ(ねぇ)ちゃんだと?」

見かねたミハエルが、

「ジョージさん、タケさん、聞いて頂いた方がよろしいかと・・・。詳しくご説明しますので、お時間を少々下さい。姉上とハルナは、先に会場へ」

ミハエルは、ジョージとタケに事情を話始めた。

ガブリエラとハルナは、顔を見合わすと、

「なんか、ヤヤこしいなぁ」

「クスッ、本当ね。まあ、ここはミハエルに任せておいて、私達は行きましょ」

二人は歩きだす。

ハルナは思い出した様に、

「なぁ、ガブリィ。ええなぁ、ゴルチエのドレス。なんでウチだけ制服なん?ガブリィも聖クリに入るんやろ?」

ガブリエラは、シニカルに笑うと、

「だって、ハルナは年明けから、私は四月からだもの。それにこの学校はね、年度ごとに制服が変わるの、だから今年の着てもしょうがないの」

「でもなんで四月からなん?ガブリィは?」

ガブリエラはため息を()き、

「それはね。例の事故で、私のもう一つの名前、分身“ジャンヌ=マリー”も巻き込まれて亡くなっている事になっているの。世間的には、ね。理由は理解(わか)るわね?」

ハルナは少し考え、

「若返ったから?」

ガブリエラは頷き、

「そう。だから、生き写しの姪っ子“ソフィア=マリー”となって、叔母の意志を継いでスーパーモデルの仕事するって話が出来上がってる訳。三月末までは、パリやミラノの業界関係者にミハエルと共に挨拶まわり。意外と面倒臭いんだから・・・。その合間をぬって、ローゼンヌのメディカル・センターで何度もボディチェックしなくちゃならないし・・・。ハルナ、代わってくれる?」

ハルナは、首をブンブン横に振り、

「絶対嫌やわ、学校の方が楽」

「クスッ。そう言うと思ってたわ」

ガブリエラとハルナは顔を見合わせると、笑い合った。

パーティー会場はもうすぐだ。

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