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それいけ! メイドレス・スリー  作者: みやしん
■第五章 華子
25/32

■■ 「その喧嘩、拙者が買った!」

「さて、どれを買えばいいのかな?」

 やや郊外にあるため、駅前のスーパーマーケットは敷地面積がとても広く一フロアでありとあらゆるものを陳列・販売している。

 公太郎もここでの買い物は初めてで無いが、普段は家の近所のコンビニエンスストアで済ませるため、見渡す限り食べ物が並ぶここにいつも圧倒されていた。

「あたし、買い物かごを持ってくる」

 ヒトミはレジの方に姿を消した。公太郎はポケットから購入品リストを取り出し、まずどこから買うかを考えていると、少し離れた野菜売り場に髪を切ったヒトミが立っていた。

 もちろんそんな言い方をすれば思いっきり逆上するであろう華子である。

 彼女は『お買い得商品、一袋に詰め込められるだけ詰めて二〇〇円(税抜き)!』のじゃがいもコーナーで段ボール箱の中を睨みどれにするかを真剣に選んでいるところだった。

「……何やってるんだ?」

「わっ、公太郎、驚かさないでよ」

 そんな気は少しも無かったのだが、意識を集中していた華子に、気配はもちろんのこと近づいてくる足音も聞こえなかったらしい。

 振り向いた華子の額の中央は何やらTの字に赤くなっているのだがそれには触れないでおいた。

「買い物か?」

「そうよ、今週のまとめ買い分。そう言うあんたは何をしに来てるの?」

「俺も買い物。ミカちゃんに頼まれてさ」

 華子の前で購入リストをぺらぺらと振ってみせると、彼女の顔がより真面目になった。

「それ、見せてもらってもいい?」

 特に問題無いだろうと華子に差し出すと、彼女は上から下まで丹念にそれを読んでから小さな声を上げた。

「さすがね、あのチビッ子。やっぱり侮れないわ」

 華子はリストを返してからやや上気した頬を見せて熱っぽく語った。彼にしてみると何がさすがなのか判らないが、主婦感覚的に伝わるものがあるのだろう。

「ところで、一人で来ているの?」

「いや、それがさ……」

「お待たせー、公太郎!」

 そこにロングの髪を両耳の上でサイドテイルにまとめた華子が、カートを転がしながら登場した。

 もちろんそんな言い方をした日にはどういうすね方をするか判らないヒトミである。

「あっ!」

 二人は公太郎を挟んで、ほぼ同時に驚きの声を上げていた。

「どうしてあんたがここに居るのよ!」

 声こそ違うが一字一句間違うことなく完全にシンクロした言葉を発する。公太郎にはサラウンドで聞こえるので何となく気味が悪い。

 彼はヒトミを見ながら華子を指さした。

「確か一二〇〇万分の一くらいの確率だったよな」

 ヒトミは目を泳がせて何かを再計算している。

「おかしいなー……彼女の行動指標が今日だけ特にどこか隆起してたとか」

 こんな時、自分の計算ミスだとなかなか認めないのは彼女らしいと思う。

 一方華子は公太郎が先にヒトミに話を振ったのが気に入らないらしい。

「あらあら、仲が良くてうらやましいこと」

「ハナ、何を言っているんだか……」

「それはしかたないわね、華子さん。だってあたしたち一つ屋根の下に住んでいるんだしー」

「こら、ヒトミもあおるなよ」

 そうは言ったが明るいスーパーの食品売り場にあって、そこだけ恐ろしく雲行きが怪しくなっていた。

 ほぼ同じ顔を持つ二人の美少女、それぞれの制空権が重なる部分ではプラスイオンとマイナスイオンが衝突し、プラズマ臭い雰囲気を漂わせていた。

 もはや公太郎の出番は無い。

「ま、あんたたちって所詮メイドとご主人様の関係だけどね」

「主従関係の方がいつまでたっても幼なじみ同士って言う関係よりましではなくて?」

「主従関係と言ってもどうせ三人の中の一人のくせに」

「もういらないって言ってんのに毎朝起こしに来るストーカーよりまともよねー」

「その女の子を気絶させて変装して学校にいってるのはどこのエロメイドだったっけ」

「そのメイドの末っ子にガキ扱いされて口げんかしてるのはどこのお子様?」

 先ほど二人は似ていないと言った公太郎だが、こうやって見ているとまるで性格が全く同じ双子が姉妹げんかしているようにしか見えなかった。

 この様子は近所のおばちゃんにもしっかりと見られている。

「おやコウちゃん、その子はハナちゃんの親戚さんかな? そっくりだね」

「あ、こんにちは……そんなところなんですよ」

「仲が良いわねえ、今度三人で遊びに来なさいな」

 とか適当に話をしていた。これを見ていると、同じ顔が並んでいても大きな問題にならないらしい。

 とりあえずヒートアップする一方で意地っ張り同士が口論しているため、自分が止めない限り閉店時間まで続けていそうだ。

 そこで彼は勇気を振り絞って間に入った。

「まあ待てよ、ここで言い争いしてても他のお客さんの迷惑だろう」

 すると二人はまたしても全く同じタイミングで、

「あんたは黙ってなさいよ!」

 公太郎の顔を見るとそう叫んでいた。

 実はとても仲良くなれるのではないか、ここで殴り合いの一つでも起きれば喧嘩が終わったあとにお互いを認め合って夕日に向かって肩くんで歌でも唄うのではないだろうか。

 それでも素手の喧嘩はさせない方がいいだろう。ヒトミだってフルパワーを出したら洒落にならない。

 それにつけても口惜しいのは自分に甲斐性が無いと言う事実である。こんな場面で目の前の出来事を黙って見ているだけしか手が無いのだろうか。

 無駄でももう一回止めようと決心し声をかけようとしたのだが、

「ししし失礼します!」

 華子とヒトミの間に割り込むように甲高い声が響いた。

 公太郎も含めた三人がどのようなフォーメーションになっているかを簡単に説明すると、正三角形の頂点にそれぞれが立っている。そしておのおのは三角形の中心に顔を向けていた。

 割り込んで来た声はちょうど華子とヒトミの間から公太郎を見るような配置になっている。そして公太郎がその声の主を見たとたん唖然とした表情になった。

〈……あれ、田中くんかな?〉

 そこに立っていた小柄な少年は今まで二回、華子とヒトミに恋文を渡しそびれている吉木工業高校の一年生、田中であった。

 本日は土曜日、彼も私服だがどこか地味だった。ただ右手に少しよれている封筒を握りしめていた。

「いいいい今こそ、この手紙をよよ読んで下さい!」

 彼はそう叫んで封筒を華子とヒトミの間に差し出した。どうやらまだ諦めていなかったようだ。

 この近所に住んでいるのだろうか? しかし公太郎は田中の顔を付近で見た記憶が無い。もし恋文のため休日華子の地元まで来ているとしたら、どちらかと言えばストーカーではないだろうか。

 ともかく今、彼を二人に接触させるのはまずい、公太郎は正面から田中を見た。

「あ、ええと田中くんだっけ、今は込み入っているからあとの方が……」

「ききき君には、関係なななないでしょう! 口をはさまなーいでくだサーイ」

 公太郎としてはとばっちりを受けるのは自分一人で十分だと思い、彼に火の粉が降りかからないように警告したのだがそれも通じていない。確かに彼にしてみると華子もしくはヒトミを巡るライバルと言うことになる。

 どうしたものかと思っていると華子とヒトミが同時に田中に振り向いた。タイミングとして最低だが彼女らの表情も最悪だった。

「何の用なの!」

 これまた二人に同時にそう叫ばれ驚く田中、さらに目の前には同じ顔の少女が同じ憤怒の表情を向けている。見慣れた幼なじみでも目を伏せたくなる鬼面である、しかも噴出していたオドロ線がねじれまくって田中を襲った。

 田中はメトロノームのように華子とヒトミの顔を交互に見た。かちこちと左右に動くごとに彼の目尻に涙がたまっていく。

〈んー、別のトラウマにならなければいいけど〉

「わーん」

 だが公太郎の思った通り田中は封筒を握りしめるとくるりと背を向けダッシュで店の奥に走り去る。方向としては製肉コーナーだ。

 ところが彼の目の前に大男が立っていて、それに体当たりして床に転がった。

〈どこかで見たような光景だな〉

 打ち所が悪かったのか田中はそのまま気絶してしまったが問題なのは大男の方だった。

「その喧嘩、拙者が買った!」

 その男の野太い声が店内に響く。田中の背中を見ていた三人はその異様な姿を見て声を上げた。

「変態マッチョ!」

「筋肉ござる!」

「短髪筋肉変質者!」

「お主ら! 拙者の名を覚えようとする気配は微塵も見せぬつもりか、サムライ・マッスルゥと何度も申しておろう!」

 この時点で彼の顔はゆでだこである。そのままで口上を続けた。

「否、このたびせっしゃ、かてごりぃえむの称号を得てマッスルゥMと改名した也!」

 彼は自分の額を指さしたのだが、眉間のしわが何となくMの字に見えないこともない。

〈また改名したのかよ、乙はどこにいったんだ!〉

 公太郎は心の中でそう突っ込んでみる。たぶん口に出しても無視されるだろう。

 マッスルゥMはさらに無意味なポージングを極め足をぱんと鳴らした。

「今回、我が主の命を受け人形を確保に参った、尋常にお縄を頂戴せよ、めいどれす・かてごりぃてぃい、ヒトミ!」

 そして彼が指さしたのはヒトミではなく華子の方だった。

〈確かに今の華子の額にはTの字が刻まれているが、それは違うだろう〉

 指名された華子は何のことか判らず呆気にとられている、だがそんなのはお構いなしにマッスルゥMはダッシュで突っ込んで来た。

 公太郎は華子をその軸線上にならないように突き飛ばし、ヒトミが公太郎の前に踏み出した。

 悲鳴を上げ根菜売り場に頭から突っ込む華子、マッスルゥMのタックルを紙一重で公太郎から守ったヒトミは彼の身体を押し返そうとしたが、力ではまともに戦うことができない。

「ヒトミ、大丈夫か!」

「いいから、華子をどこかにやって!」

「ぬう、人間のくせにお主、やるな!」

「あんた、目が腐っているんじゃないの!」

「ぐふふ、もはや拙者に敵は無い、ぐへへ」

「……マッスルゥ?」

 ヒトミが珍しく彼の名をきちんと呼んだのだがどうも様子がおかしい。言葉も変だがその目の焦点が定まっていなかった。

 そこに、頭を抱えて華子が起き上がったが、ほりたて大根の土で顔が少し汚れている。

「もう、何するのよいきなり……」

「ハナ、ここから逃げるんだ!」

「ぬう、逃がさんぞめいどれす、ふへへ」

 マッスルゥMはヒトミのコートの襟を掴むと彼女の身体を持ち上げ、造作も無く振り回し果物売り場の棚にめがけ投げた。

「お客様、困ります」

 騒ぎを聞きつけた保安員がマッスルゥMを取り押さえようとするが、それより速く手を振り回し近づくそばから殴り倒していく。

 店内は騒然となり、逃げ出す客が悲鳴をあげ出入り口に押し寄せる。店内放送はパニックを沈めようとしているが聞いているお客様は皆無だろう。

〈あいつ、直接人間を攻撃している……〉

 今まで人間に対して暴力を働けなかったはずだ。となると自分が盾になったとしても効果は無い。

 そもそも華子とヒトミの区別が付いていないのだ、前回のフタバとの戦いでどこか壊れたのだろう。

「くそ『学会』で回収したんじゃないのかよ!」

「え、学会って何?」

「いいからさっさと逃げるぞ」

 公太郎は華子に肩を貸し何とか起き上がらせるとまだ混雑している出入り口に向かった。

「待て人形! おとなしくお縄を頂戴せよ! ……ぐふ」

 しかし保安員を振り払ったマッスルゥMはすでに手の届く所まで近づいている。もはや逃げられないのか。

「あんたの相手はあたしよ!」

 そこに、果物売り場から這い出てきたヒトミが全身から甘い香りを漂わせ、マッスルゥMの腰に抱きついて何とか進行を止めようとした。

 ところがミカのように質量制御がおこなえずリノニュームの滑る床で踏ん張りがきかない。

 そこでいったん手を離し両手で彼の脇腹を挟むと現在のフルパワーで電力を送った。約一五〇万ボルトのエネルギーがマッスルゥMを襲う、それ以上高くすると近くに居る公太郎に放電する恐れがあるため、出力を微妙に制御し一秒間放出した。これで電子頭脳に大きなダメージを与えたはずだ。

「くっ」

 ヒトミのうめき声が漏れた。

《フタバが遠い、シールドにエネルギーが回らない》

 公太郎の頭の中にヒトミの声が響く。

 ところが、電撃に身体を硬直していたマッスルゥMだが、放電が終わるとすぐ目を輝かせた。

「そのような攻撃、ちとも効かぬわ!」

「嘘っ!」

 帯電しながら腕を振り回すマッスルゥM、その腕が展示中のガスコンロの別売りカセットボンベに突っ込んだ。

 とっさに公太郎の盾になって飛び込んだヒトミの顔面近くでボンベが連鎖爆発する、彼女は目を押さえて床に倒れた。

「ヒトミ!」

「いいから……さっさと逃げて」

「まだしゃべるか、この人間!」

 マッスルゥMは仰向けの腹めがけて腕を振り下ろした。拳がめり込みその力は彼女の身体を通り抜け、床にいくつものひびを生んでいる。

 一発だけで無い、三発四発と同じ所を殴られヒトミの身体はうめき声と共に床の中に埋没していった。

 そして五発目、ヒトミは自分の腹に食い込んだ彼の腕を掴み手首を押さえ足を伸ばすと彼の肩に引っかけた。

「いい加減にして!」

 腕に対して関節を極める、マッスルゥMはヒトミを振りほどこうと腕を回すがサイドテイルがしなるだけで身体は離れなかった。

「あんたの頭を撃ち抜いてやるわ……出力〇.二パーセントなら何とか、一〇ミリ五〇口径、秒速一キロメートル!」

「むう、砲撃か! ゲヘヘ」

 そこから近距離でレールガンを放とうと画策したようだが、

「あ、でもトレーナーが」

「こざかしい……ぶはは」

 マッスルゥMが不似合いな笑顔を浮かべると右腕の肘の部分から先が分離する。それを掴んでいたヒトミはもう一度床に投げ出された。

「くく、消えませい、人間!」

 その声の直後、切り離された右腕が轟音と共に爆発したのだ。

 爆風のあおりを受け公太郎と華子も吹き飛ばされる、彼はレジ台に頭をしたたかに打ち付け脳震盪を起こしていた。

 鼻の奥に何かが焦げるような匂いがし、霞む視界の中にマッスルゥMが気絶している華子の身体を抱き上げているのが見えた。

「めいどれす・ヒトミ、確かに貰い受けた!」

『ぼくのハナに何をする……』

 そんな言葉が脳裏によぎったが身体が思うように動かない。

 彼はうなだれた華子に手を伸ばしたまま気を失っていた。


  §


『公太郎ちゃん、今日は華子ちゃんは来ないのかしら?』

 それは最後に祖母と話した時の記憶だ。四年前の六月、中学生になったことを報告しに祖父の屋敷を訪れると、珠代はいつものように笑顔で公太郎を迎えてくれた。

 丈太郎と珠代は同い年だと聞いていたが見た目はとても若く感じる。背筋もしゃんとしていたし言葉もはっきりしていて聞きづらくも無くとても澄んでいた。

 そしていつも優しい笑顔を自分に向けてくれる。

 丈太郎もその年齢と思えないほどの若さだ。クラスの中では背が高い公太郎でもまだ見上げるほどだった。

 この屋敷に来ると自分は小さい子供だと思わされる。それは華子と歩いている時も同じだった。

『ハナと一緒じゃ来られないよ』

『あら、恥ずかしいのかしら?』

『そんなんじゃ無いけど……』

 年頃の男の子によくあることだ。

 自分が男性と意識するとそれまで友だちと思っていた身近な対象も女性と認識し始める。特に幼なじみの女の子は心の中でその居所が難しくなるのである。

 だから嫌いになったわけでも無いのに、いつの間にか避けてしまう。それまでうまく振る舞っていたやり方を忘れてしまうのだ。

 特に華子は中学生になってから女性として綺麗になったように思える。髪は短いが顔立ちや身体のラインは同年代の女子の中でも目立って良く見えた。

 また中学生までは体格についても女子の方が早熟である。身長も彼女の方がわずかに高いこともあり、どことなく見上げているような意識があった。

 そのせいか教室内で華子と話していると、他の生徒から変な目で見られたりあとでいろいろからかわれたりもした。

 この頃は公太郎の方が噂について敏感だったのかもしれない。

 祖母は彼のそんな思いを簡単に見抜いていたようだ。

『仲良しさんなのですから、大切にしないといけませんよ』

 大切にと言われても……

『ハナは友だちが多いから俺が大切にしなくても大丈夫だよ』

 するといつも優しい祖母の顔が、ほんの少し真顔になっていた。

『そうではありません。女の人は誰それかまわず大切にされたく無いのですよ』

『そんなものなのかなぁ』

 どこか納得していない孫に対して、珠代はやれやれと言わんばかりにほほえんだ。

『いけませんね、そう言うところは丈太郎さんに似ているのですから』

『俺とじいちゃんが似ているの?』

『そっくりですよ。だから公太郎ちゃんも女の人をあまり待たせてはいけませんからね』

 そう言ってまたほほえんだ顔……その次に祖母を見たのは半年後の一二月の寒い日、祭壇の上でほほえんでいる白黒の写真だった。

 その時、中学校の制服を着て普段は見せない涙で頬をぬらしながら、公太郎の手を強く握り続ける華子がいた。

 どんなに自分より身長が高くても大人に見えても、すぐそばで鳴いている彼女の背中はとても小さく弱々しかった。

 なぜあの時祖母に華子の制服姿を見せてあげられなかったのだろう。あの時二人でここに来ていればおそろいの学生服をばあちゃんに見せられたはずだ。

 悔やんでもしかたないことだが白黒の写真を見ていると、祖母の言いたかったことが何となく伝わってくる。

『どんなに大人びて見えようとも、こいつは俺の幼なじみなんだ、ガキの頃からの大切な友だちなんだ』

 それはこれから先どれほど時間が過ぎても変わることが無いだろう。

 公太郎は華子と自然に接する方法を、その時思い出したのかもしれない。

 そんな彼の耳元に声が響く。

『助けて、公太郎!』

 それは華子のものだ、あの時電車の中で聞こえた空耳、声はより大人びているが同じ内容だ。

〈ハナ、どこに居る〉

『助けて、公太郎!』

 もう一度聞こえてきた声に応えるために彼は目を開いた。


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