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第八十六話 人形使い

 

「三人でなら、良い相手になるだろうな」


 ルフェアはそう言って、後ろに下がっていた。つまり、ルフェアは手を出さずに、この戦いを特訓とするようだ。




「マジなんですか!?」


 シエルは泣きそうな声で吠えていた。輪廻達はまだSSランクになる条件、Sランクの魔人を倒していないため、三人共、まだSランクである。向こうは、SSSランクであり、SSランクの魔人を倒したことがあるという証拠なのだ。

 SSランクの魔人といえば、魔人イア、ウルと同等である。




「わたしのメアからにげられないよ~」


 エルネス本人は動かず、人形であるメアが剣を振って、斬撃を飛ばしてくる。さっきの斬撃より早く、大きかった。





「さっきと同じ技で、やれると思うな!」


 輪廻が”重壁”で受け流し、続いて”重球”で反撃をする。それは予想通りに避けられた。だが、それでいい。




「消えなさい!」


  テミアがメアを無視して、本体に向かっていたのだ。輪廻の攻撃で、本体からの距離を少しでも開けるようにしたので、今から自分の元に戻そうとしても、テミアの方が先に届く。




  はずだったのに…………




「なっ……ぐっ!?」

「影から出てきた!?」


  メアがエルネスの影から現れ、テミアの攻撃を止めて、空いた脚で腹を蹴り飛ばしていた。

  テミアは蹴り飛ばされたが、輪廻は次の攻撃を発動していた。




「シエル、離れろ!」

「”虚冥”!?」


  輪廻は”虚冥”を三発も発現しており、敵に一番近かったシエルは慌てて離れていた。もし、メアが避ければエルネスに当たる軌道になっているから間違いなく、メアは避けないだろう。






  ドォオオオォォォォォン!!






  考えた通りに、メアは避けずに三発とも受け止めていた。直撃したなら、無事ではないと思い、煙が晴れるまで待っていたらその姿が見えるようになった。


  メアは右手が無くなっており、左手にあった五本の剣が折れていた。





「ほぇー、かたくしたんだけどー、すごいねっ!!」


  エルネスが言う固くしたの言葉は、”硬質”を使ったという意味だろう。メアが全ての攻撃を受けたからエルネスは無傷だった。

  これで、メアは戦闘不能だと判断出来るから、エルネスの攻撃力は半減したと言ってもいいだろう。なのに、当のエルネスは、気楽な声でこっちを褒めていた。




「お前の自慢人形は半壊しているんだが、まだ続けるのか? というか、お前の職業は人形使いとかなのか?」

「おおー、それであっているよー」


  輪廻が言っていた通りに、エルネスは人形使いのようだ。なら、影から現れたのは別のスキルとかか? と考えていたら…………




「っ!?」

「ええ~、よけられた? すごいんだね。きみは~」


  いつの間にかに、輪廻の影からメアが現れて、壊したはずの剣で突き刺して来たのだ。ギリギリ避けれたが、メアが影の中に入る挙動を起こしていないのに、メアは一瞬で消えて輪廻の影から現れたことに驚愕している。




「やっぱり、ここでころすのはもったいないかな~?」

「お前は何を言っているんだ……?」

「だからー、ここでおわりにしようといっているの~」


  向こうから喧嘩を売って来て、向こうがやっぱり、喧嘩を辞めにしようと言っているものだった。まさに、身勝手な野郎だと。




「逃がすと思いですか?」

「よわいのに、そういうんだね~? ふきとばされたくせに~」

「……っ!」


  エルネスはテミアに興味もなく、すぐに輪廻へ眼を向けていた。そして、さっきまであった地下100階のボスの物である魔石と、何か(・・)に指を指して「あげる」と言ってきた。




「は?」

「たのしませてくれた、おれいだよ~」


  エルネスにとっては、輪廻達との戦いは遊びでしかなく、楽しませてくれたお礼と言っているのだ。




  つまり、エルネスは輪廻達を格下と見なしているのだ。




「貴様ぁぁぁ!!」

「ばいばい~」


  エルネスは既にメアを側に呼び戻しており、足元に現れた奇妙な影でエルネスとメアを包み込んで消えた。怒っていたテミアは攻撃を加えようとしたが、エルネスの発動が早く、空を切るのだった。




  残った輪廻達はぶつけようのない怒りを心に残すのだった…………




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