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閑話 あの人は?

誰かさんの回になります。


今回は短いですが…………



 輪廻達がアルト・エルグに向かい、勇者達はラディソム国で鍛えている頃、そろそろ皆に忘れられているかもしれない、あの人が何をしているのか?




 王城の研究室では…………









「も、もう嫌ぁぁぁぁぁ!!」

「お、落ち着いて下さい! 周りに危ない薬品もありますから!!」


 研究室で叫び狂う女性、白衣を着ていて見た目は理科を教えている女性のような感じだった。

 その女性は実際に物理を教えていた経験がある。

 そこまで話せば、その女性が誰なのかわかるだろう。




「菊江さん! 同じことを繰り返すのが嫌なのはわかりますが、落ち着いて下さい!!」


 そう、クラスメイトの生徒と一緒に紹介された、たった一人の先生であり、菊江先生なのだ。




「そりゃ、叫びたくなるわよっ!? 一日に1000本の薬を毎日、作っていればねっ!!」


 学校にいる菊江先生の性格は、先生としての責任を持っており、優しい先生だったのだが…………




「手作りで1000本? 体力があっても、精神的に持たないわよ!! 何を考えてんのよ!?」

「すみませんが……、この国では薬が足りなくなっていて……」

「なんでよ!? まさか、戦争でもしているから数が足りないと言うつもり!?」


 まず、菊江先生のことを話そうと思う。菊江先生の職業は製薬師であり、薬を作り出す職業なのだ。

 薬を作るスキルは珍しくて、数が少ないほどなのだ。”製薬術”と言うスキルは、作った薬の効果を上げることが出来、他の人が作った薬よりいい効果が出ている。

 それがわかったロレック国王は訓練より薬作りをさせるように指示を出した。


 始めは薬を沢山作れば、生徒達が傷を負っても助けることが出来ると思い、その仕事を受けた。

 だが…………




 今は一日に1000本の薬を作っていた。始めは100本ぐらいと今の十分の一しか作っていなかったが、最近になって作る量を増やしてほしいと指示があったのだ。




 そして、一日に1000本も作る指示が続き、誰にも優しかった菊江先生が、誰にも見せたことが無かった地が出ていた。


 学校、外では優しい先生で通っているが、家の中では違った。




「そんなに働かせるなら、お酒を持ってきなさい!! これだけで割が合わなすぎるわよぉぉぉぉぉ!!」

「さっき、飲んだばかりではないですか!!」


 菊江先生は家では酒乱で通っているのだ。菊江先生は物凄い酒好きで、酒を飲むと人が変わったような性格になり、叫び散らしてしまう癖があるのだ。


 その癖をわかっている菊江先生は異世界に来てからお酒を我慢していた。だが、一日に1000本という無茶な仕事でガタが外れてしまったのだ。

 お酒を飲まないとこんな仕事はやってられないと。




「そこの新人! さっさと手を動かしなさい!!」

「す、すいません!!」

「だ・か・ら、ここはこうするのよ!!」

「あ、わかりました!」

「そこ! 逃げるなぁぁぁ!!」

「こんな職場は嫌だぁぁぁぁぁ!!」


 研究室は大忙しで、逃げ出す新人が絶えない。こんな菊江先生になっているが、仕事だけはキッチリとやっており、酒を飲んでいるのに、鈍る様子も見えない。




「後、300本! 気合いを入れとけよっ!! 終わったら酒をせびりに行くわよぉぉぉぉぉ!!」

「「「うおぉぉぉぉぉ!!」」

「止めてください!! お酒なら何とかしますから、あんな姿を国王や生徒達に見せないでください!!」


 研究室で二番目に偉い研究員、副長が菊江先生のストッパーになる。ちなみに、一番目は菊江先生になっている。


 菊江先生がそんな癖を持っていることを知っているのは、ここにいる研究員だけだ。

 副長は、生徒達に菊江先生の隠れた姿を見られて幻滅させたくないという配慮をしているのだ。



 菊江先生は召喚された人の中では、タガが外れる程にとても苦労している人物かもしれない。




 だが、周りの人から見たら、無茶に突き合わせられる副長が一番、可哀相に見えるだろう…………







菊江先生の回でしたっ!!

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